オーストラリアでは実験用マウス・ラットのトップサプライヤーが廃業を公表

今年7月、オーストラリアのほとんどの大学や研究機関の医学研究に実験用マウス・ラットを販売してきたトップサプライヤーが、廃業を取引先に通知しました。オーストラリアの動物実験関係者には打撃が大きいようで、ネイチャー誌サイエンス誌のサイトのニュースでも報じられています。

この会社は西オーストラリア州のパース近郊にある「アニマル・リソース・センター(Animal Resource Centre:ARC)」という実験動物生産会社で、営業を7月以降12〜18か月間で終了し、2022年12月までに完全に廃業するとしています。

ARCは、オーストラリアを代表する繁殖業者であり、実験用マウスとラットの特殊な系統のサプライヤーであり、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、シンガポールの大学や医学研究機関に動物を供給しているとのこと。年間収益は約800万豪ドル(約6億5千万円)で、スタッフは約60人、2020年には199,258匹のラット・マウスを販売したそうですが、正直、日本の感覚だと「少ないな?」と感じてしまいます。(2020年は新型コロナウイルスの影響があった年かとは思いますが…)

この数字なら当然だろうと思いますが、経営は自立できておらず、西オーストラリア州の財政措置によってやっと維持できていたようです。廃業に至る直接の理由は、使用しているマードック大学の施設のリースが2023年に期限切れになるためで、立ち退かなければならないが、新しい繁殖施設を設置する資金はないわけです。

法律的には経済的な自立が求められているそうですが、もともと西オーストラリア州の研究機関にモデル動物を供給をするために作られた会社なのに、現在では西オーストラリア州の販売シェアは16%に過ぎず、それでは、州が税金を拠出するのはおかしいという話になるのもわかります。

これにより動物実験ができなくなると科学者側は騒いでいるわけですが、当然人道的な科学を求める立場からは異論があります。Humane Research Australiaの科学顧問であり、感染症の研究者であるBrett Lidbury准教授は、「研究に動物を使用しなくなった」と下記の記事のなかで述べています。動物モデルは人間の病気を予測するのに90-95%効果がなく、動物モデルは人間の病気を研究するための最良の方法ではないが、オーストラリアは変化が遅すぎたというわけです。研究費の獲得や研究成果を出すための競争にさらされる中、変わりの方法への研究費が乏しいままであれば、研究者はこれまでの方法を変えようとはしません。

the Guardian

関係団体などが大変だと騒いでいるので、まだどうなるか予断を許さない状況ですし、輸入や代わりの施設の建設などに取って代わられてしまうのかもしれませんが、研究の世界が大きく変わるチャンスを生かしてほしいと願ってやみません。

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