動物実験の闇

【書籍紹介】『動物実験の闇: その裏側で起こっている不都合な真実』

動物実験の闇: その裏側で起こっている不都合な真実
マイケル・A. スラッシャー著 井上太一訳 合同出版

動物実験については、なかなかその内実が表に出てきません。

かつて欧米で動物実験に対し批判が高まった背景には、動物実験に携わる科学者だったにもかかわらず動物実験を真っ向から批判する著書『科学の犠牲者たち(Victims of Science)』を著したリチャード・ライダーの存在があります。彼がピーター・シンガーの『動物の解放』に大きく影響を与えました。

研究の現場で何が起きているのか真実を知り、人々は変わったのです。

その”Victims of Science”から約40年――。

再び、動物実験の現場を伝える著作が登場しました。しかも、今度は日本語訳が登場です!

ラットやマウス、そして犬、猿……。彼らに施される処置の詳細は読むのがつらいものばかりですが、著者は、なぜそのとき動物の苦しみに思い至らなかったのかということを繰り返し繰り返し分析します。

そして、いとも簡単に中止で終わる実験の数々。序盤では動物実験の92%が失敗に終わっているといったデータが紹介されていますが、最終的に著者は、どの研究も治療法の発見には役立たず、動物たちの命は無駄に葬られたと述べています。

現在は菜食を実践し、動物実験を拷問制度と断じる著者。

その心の動きに希望を感じました。

手に取りやすい1冊に読み物としてまとめられていますので、ぜひお読みください。訳者である井上太一さんの解説も素晴らしいです。

会員さんから寄せられた感想もご紹介します。

●会員さんから感想メールをいただきました

ツイッターに出ていた『動物実験の闇』を読みました。
恥ずかしいことに、動物実験についてのハードカバー本をちゃんと読んだのは初めてです。
最近本は大抵一気読み(=流し読み)するのですが、さすがにこの本は無理でした。
目次にかなりたじろぎ、読了できるか不安でした。

著者が長年動物実験に携わってきた人だけあって、生々しい内容ですね。
読み進んで、動物実験・動物実験を続ける人間(全体)って、なんてえげつないんだろうと実感しました。
そうしたら個体識別のために、麻酔なしでマウスなどの指を切るのを「えげつないと思える」とのくだりがありました。

マウスとラット、ハムスター、モルモットの違いもよく知らなかったけど、後でネットでも調べて少しはわかりました。
巻末にPEACEの名前も上がっていました。

なお実験動物よりはマシかもしれませんが、一生人間の犠牲になるという点では盲導犬などの使役動物も似た状況で、存在意義自体が疑問だと改めて思いました。
私の盲導犬ボラ体験はタフでしたが、それがなければPEACEともご縁がなかっただろうし、こんな動物実験などのひどいことも知らずにいました。
知らないのは犯罪だし、知って何もしないのも(たとえ成果がなくても)犯罪ですよね。
いつも色々教えていただきありがとうございます。

『動物実験の闇』でひとつ腑に落ちたことがありました。
東京・H市内のK社創薬研究所の動物実験で、かつてラブラドールが使われていたことを以前知人から聞きました。
「現在は実験用のビーグル犬を使っているが、実験用のビーグルにも血統書がある」と聞き驚き、不審に思っていました。

するとこの本に、マウスなどのげっ歯類も「仕入先」によって実験結果が大きく異なるとあったので、犬ももちろん同じで、結局人間の便宜のために実験用の犬にまで血統書を作っているんだと納得しました。

K社がラブラドールを使うのをやめたのは、ラブは表情がありすぎて担当者が感情移入してしまい、使いづらいからだそうです。

動物の感情に気が付いたのであれば、次は動物実験のおかしさに気が付いてほしいですね……。

日本からも、こういった告発が続くことを願っています。

ダ・ヴィンチのサイトにも書評が出ています。

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