ビックカメラへの要望書全文:店舗での猿回しイベントの実施を廃止してください

猿回し ビックカメラ 日光さる軍団 モンキーエンターテイメント

ビックカメラ柏店、立川店で猿回しの興行が行われたことに対し、今後実施しないよう、本社へ要望書を送付しました。イベントの詳細はレポートをご覧ください。ビックカメラからの回答についてはこちら

レポート

今年1月、家電量販店のビックカメラが店内で、何と猿回しの興行が行われました。有楽町店は中止となりましたが、柏店、立川店では実施されてしまいました。PEACEは、ビックカメラ本社に今後このような時代遅れのイベントを行わないよう要望書を送り[…]

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回答が来ました

家電量販店ビックカメラの柏店(千葉県)と立川店(東京都)で今年1月に実施された猿回し興行に対し、今後の実施廃止を求める要望書を提出しました。ビックカメラの猿回し興行に対しては、当会を含め多くの中止を求める声があがっていました。動物の[…]

猿回し ビックカメラ 日光さる軍団 モンキーエンターテイメント

2025年3月3日

株式会社ビックカメラ
代表取締役社長 秋保 徹 様

店舗での猿回しイベントの実施を廃止してください

拝啓

突然のご連絡失礼いたします。私どもは、現代社会において人々が利用する動物たちの苦しみに光をあて、課題の解決を目指すべく活動する市民グループです。貴社の柏店、立川店、他数店舗において「株式会社モンキーエンタープライズ」の猿回しイベントが開催されました。つきましては今後の利用の中止のお願いをしたく、本要望書を送付させていただきます。

世界的に動物の、特に野生動物の調教やふれあいは廃止の流れとなっており、例えば、動物を使用したサーカスを禁止する国は56か国にのぼります。台湾韓国といった近隣諸国でもイルカショーなどの調教芸や野生動物のふれあいは禁止の方向にあります。最近ではミシュランがツアーガイドからイルカショーを行う施設を除外しました。こういった国際的な流れの中で、貴社の店舗では猿回しという野生動物を用いた調教芸のイベントが行われてしまいました。

店頭の幕やチラシには伝統芸能とありましたが、もともとは昭和30年代に一度消滅した見世物です。現代の猿回しは、それを受け継いだものではなく、新たに興したものであり、極めて商業主義的なものに変貌しています。かつて身体障害者を舞台に出演させて見世物とすることなどが行われていましたが、それが差別的だとして消えていったように、本来であれば時代と共に消滅していく「芸能」でした。

そもそも、次世代に育むべき自然や動物の尊厳については無関心でよいのでしょうか。ニホンザルに人と同じようなしぐさを仕込んで擬人化し、人間の支配下で調教された姿を娯楽として楽しむことは、人々を野生動物保護の意識から遠ざけてしまいます。ニホンザルの理解と共存には不利益でしかありません。

「楽しみのため」「ニホンザルを知るため」という名目も大いに疑問です。動物の調教芸で楽しむこと自体が間違いであることは、すでにおわかりかと存じます。調教され、擬人化された姿を見ても、ニホンザルを知ったことにはなりません。衣装を着せられ、直立させられた姿は猿には負担です。

また、子どもたちの教育にも悪い影響を与えるはずです。動物は支配してよい、笑いの対象にしてよい、という支配欲と優越感を植え付けてしまいます。猿をヒモでつなぎ、逆立ちや竹馬の難度を次々とあげて笑わせる調教芸は虐待であり、子どもたちには特に見せるべきではありません。サルの身体能力について知らせたいのであれば、野生ザルを追ったドキュメンタリーなどを見せるべきです。

モンキーエンタープライズは猿との絆を強調しており、「猿と寝食を共にする」ことが美化される傾向にあります。しかし、猿回しの猿は幼いころに親と離され、人間に逆らえないように仕込まれています。これは野生種に対して正しい行いではなく、人間の支配下に置かれた動物の尊厳を奪っています。

また、モンキーエンタープライズの調教師によれば猿は10~20歳で引退になります。25~30年の寿命があるにもかかわらず、見世物に使える期間は限られます。野生動物は体が大きくなったり性成熟を迎えたりするとともに制御がきかなくなってくるため、調教ショーには若い動物が使われます。チンパンジー、クマなどの調教芸も同様でした。モンキーエンタープライズの関連企業である日光さる軍団の本拠地では、飼育されているサルの半数は引退猿です。野生に近い環境に放されることもなく、狭い檻に幽閉され、不遇な生涯を終えます。

ニホンザルにとって尊重すべきは、本来の生息環境で群れを構成し、本能に基づいた社会的な生活を送れることです。害獣駆除の殺処分から救うため、保護した猿を養うという主張もされていますが、人間が発生原因に関わる問題は人間で解決すべきです。猿に負担を強い、労働させても問題はいつまでたっても解決しません。駆除個体を引き取ることは農業被害を減らしません。むしろ引き取り先があるために駆除を促進してしまう側面があるように感じられる地区があることも事実です。

ちなみに、ニホンザルは人に危害を与えうる動物として「特定動物」に指定されており、飼育は許可制です。飼育下においても、過去に数多くのニホンザルによる人身被害が報告されており、現在は一般家庭で飼うことは禁止されました。猿回しによって起きたケガの事例については、添付資料をご覧ください。

貴社イベントでも猿との記念撮影が行われていましたが、人との距離や安全対策などは万全だったか疑問です。

テレビでは調教師が家に連れて帰り、一緒に寝るといったシーンが流されることがありますが、例えば2023年のドキュメンタリーでは、放映された調教師のアパートの部屋は特定動物の飼養・保管許可を受けていませんでした。栃木県より、「猿は、常にアパートで飼養されているわけではなく、あらかじめ届出た日数及び時間のみ連れ帰っています。一緒にアパートで暮らすというような誤解を生じるナレーションがあり、この点については注意をしました」と回答を得ました。この番組以外にも、放送内容が許可内容と異なっており、自治体から指導してもらったことがあります。

また、貴社のSNSアカウントが猿回しの写真をアップし、宣伝していましたが、国際自然保護連合(IUCN) 「ヒトと霊長類の関係」部門が定めた「霊長類に関する適切な画像配信のためのガイドライン」に抵触します。このガイドラインには、猿回しや猿との記念撮影にも該当する部分が多々あります。野生動物保護の観点から、人と猿との関係のあり方を誤認させるような写真・動画は不適切とされています。こうしたガイドラインが指摘する問題には慎重になっていただきたいです。

貴社の担当者によると「お客様に少しでも楽しんで頂ける様計画」とのことでしたが、猿回しに不快を感じ、ストレスをうける利用客の心情を無視しないでいただきたいです。単に楽しむよりも、拒絶の方が企業に対して強く反応し、広く作用することを考慮してください。

担当者からの回答文や当日現場にいた店員は、自分たちでは対応せず、モンキーエンタープライズに対応させるような姿勢でしたが、まず貴社の動物に対する倫理観を問うものであることをご理解ください。猿回しで集客する前に、現代社会においてニホンザルが直面している問題に目をむけるべきではないでしょうか。

ちなみに、当会は一般社団法人日本エシカル推進協議会(JEI)の会員であり、当方はアドバイザリーも務めております。JEIが定める「エシカル基準」は、企業などが自社の商品やサービスについて、「それがエシカルと呼ぶに値するかどうか」を自己診断するための基準としてとりまとめたものですが、その基準の解説書として昨年出版されました『58人の未来を考えるエシカル経営の専門家が書いたエシカルバイブル』(出版/日本生産性本部)のうち、「生きた動物の売買・展示などでの動物の利用を避ける」の項目を執筆いたしましたので、その写しも同封いたします。今後の貴社の経営において、ご参考いただければ幸いです。

今後は動物の福祉・権利を尊重し、生きた動物は使わず、野生動物や自然環境の保護・理解増進につながるようなイベントをご検討ください。すべての店舗において、猿回しや動物を使役したイベントを今後一切行わないよう強く要望いたします。

なお、本件に関するご回答を文書にてお願いしたく、よろしくお願い申し上げます。

敬具

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回答が来ました

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