<シマウマ死亡>大阪市天王寺動物園の無責任な運営に対する抗議書
詳しくは下記をご参照ください。
大阪市長 吉村洋文 殿
東 さちこ
大阪市天王寺動物園の無責任な運営に対する抗議書
― グラントシマウマ「バロン」の逸走及び死亡に関連し、
同園を運営する大阪市に抗議いたします ―
動物保護団体のPEACEと申します。私どもは、現代社会において不当に苦しめられている動物たちの状況に心を痛め、活動する市民グループです。
先般、愛知県内の三国ウェスト農場から逸走したシマウマに関し、岐阜県のゴルフ場内で不適切と思われる捕獲作業が行われ、結果としてシマウマが死亡するという大変痛ましい事件がありました。
このシマウマは2年前に大阪市天王寺動物園で生まれ、動物交換によって動物商経由で愛知県の動物業者、有限会社ガイアプロダクトに放出されるまで同動物園で飼育されていたオスのグラントシマウマ「バロン」であることを天王寺動物園に確認しております。
逸走は、ガイアプロダクトが飼育を委託する三国ウェスト農場に3月22日に搬入された直後に起きたものであり、愛知県も同牧場に報告の提出を求めるなど両関係業者に指導中ではありますが、シマウマの飼育に対して見込みの甘い業者に天王寺動物園がシマウマを譲ったことは間違いがなく、本抗議書を送付させていただきます。
私どもは、以下の点について抗議するとともに、今後の園の運営の改善につなげていただきたいと考えております。何卒よろしくお願い申し上げます。
1.動物の放出先の選定・確認を怠ったことについて
三国ウェスト農場がシマウマの飼育管理ができる施設であるかどうか、現地の施設等の確認を行っていないにもかかわらず、動物商経由でグラントシマウマの「バロン」を放出したことに関し、大阪市に抗議いたします。
シマウマの譲渡先が見つからなかったために、他の動物と一括で動物商と動物交換を行ったとのことですが、その結果、シマウマの行き先を動物商が選定することとなり、天王寺動物園が行き先を把握するのは事後報告によるものとなりました。
天王寺動物園にて繁殖を行い、誕生時には赤ちゃん誕生と喜ばしく広報をしていたシマウマの子の運命としては、あまりにずさんで無責任ではないでしょうか。赤ちゃんのときだけ客寄せに使い、用済みとなったら動物はどこへ行ってもよいのでしょうか。
また、そもそも天王寺動物園では、シマウマは飼育員と直接接しない間接飼育の形式がとられていましたが、それをふれあい展示用に慣らしたいからといって乗馬クラブに預けるような判断を最終的に許容してシマウマを搬出したのも疑問です。
逸走についても、牧場に用意された施設自体が、運搬車から急に広いところに出てパニックになったシマウマに対応できないようなものだったことが逸走の直接の原因かと思われますが、動物園関係者であれば、どの程度の施設が必要かということはわかったのではないでしょうか。
つまり、天王寺動物園が適正な譲渡先を選ぶという作業を怠った結果、シマウマは搬入直後に牧場の柵を蹴り逸走、死亡するに至ったと考えられます。
以後、このようなことが起きぬよう、動物を交換・譲渡する場合には、①動物商に譲渡先の選定をまかせぬこと、②動物の行き先の施設や飼養管理状況、経営状態等の確認を必ず行い、不適切な施設には動物を譲渡しないこと、の2点を要望いたします。
また、有限会社ガイアプロダクトへの譲渡も、今後は行わないものとしていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
2.余剰動物を生むような繁殖が行われていることについて
グラントシマウマは「天王寺動物園コレクション計画」において、「ランク○(繁殖推進、展示種として維持)」となっており、自然繁殖に任せているとのことですが、自園で将来的に飼育できないことがわかっており、譲渡先も見つからないような動物種の繁殖を行ったことに対しても抗議をいたします。
天王寺動物園のような大手動物園が、ふえるに任せるような繁殖を行うことは、結果として飼育管理のレベルの低い施設への動物の放出につながり、仮に今回のような悲劇が起こらずとも、動物たちは劣悪な飼育環境に追いやられることになります。
余剰動物の行く末に対して繁殖元の動物園が無責任であるのは、なにも天王寺動物園に限らぬこととは存じますが、改めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
3.逸走したシマウマの捕獲に助言等を行わなかったことについて
柵等の何もない場所でのシマウマの捕獲は困難であることを天王寺動物園は知っており、たとえ現地警察等から要請がなく、かつ現地へ行くには時間がかかるとしても、逸走したシマウマをもともと飼養管理していた園として、技術的な指導等は自ら積極的に行うべきであったと考えます。この点についても、厳重に抗議いたします。
シマウマの捕獲について、天王寺動物園であれば柵等のある場所に追い込んで網を使用する等するとのことでした。今回のことは、なにぶん搬出直後のことであり、搬出側の動物園が知らぬふりというのは一般市民にすれば信じがたいことです。このようなことが起きぬよう、職員への教育・指導の徹底をお願いいたします。
以上