昨年、SNSでのみの呼びかけになっていました「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針の骨子についての意見募集」(11月1日締切)ですが、結果の公表がありました。
結果をまとめた文書「パブリック・コメントで寄せられた御意見とSDGs推進本部の考え方」では、「関係府省庁における各種計画や戦略、方針の策定や改訂だけではなく『予算の配分』に当たってもSDGsの要素を最大限反映するものとしてほしい」としか載っていませんが、PEACEでは、畜産業に投下されている補助金を生物多様性保全型に回してほしいということを例示してこの意見を送りました。
これに対しては、「適切な財源確保の在り方や補助金等による予算配分についてのご指摘は、今後、実施の段階における検討に活かしていく考えです」との回答でした。
つまり記述の追加はないということになりますが、多くの意見の中であえて補助金・予算について言及があったことは成果でした。
また、肉食を減らすべきことについても意見を送りましたが、これについては「持続可能な食料生産について、植物を大量に消費する畜産の割合を下げることを検討すべき。例えば『和食の推進』など、肉中心から植物中心の食生活へ推進する施策を入れるべき。(同旨多数)」とまとめられています。(同旨多数と書かれているものは少ないです!)
この意見に対しては、「今次実施指針に基づき、優先課題6に基づく施策を進めていくに当たっては、持続可能性の観点を踏まえつつ、頂いた御意見も参考に取り組んでいきます」との回答が付されています。
家畜飼料輸入と絡め食料自給率アップについても書きましたが、これについては、食育基本法に関する意見としても意見があったようです。
◆以下の意見を送りました
【意見1】
指針(骨子)5ページ 「(2)SDGsの主流化」について
●関係府省庁における各種計画や戦略、方針の策定や改訂だけではなく「予算の配分」に当たってもSDGsの要素を最大限反映するものとしてください。
国内の事業者へ配分されている補助金・助成金をどこに重点的にかけるかによって、その事業が環境破壊型になるか生物多様性保全型になるか、決まってきます。
良い例は、畜産に投下されている補助金です。EUはすでに生物多様性保全・景観保全・家畜福祉(ひいては人の健康安全)につながるような生産方式に傾斜して政府の補助金を出す方策に出ています。EU加盟国ではありませんが、スイスではすでにこういった補助金政策により、環境破壊型の工場畜産による畜産品より、家畜福祉型の産品のほうが安くなっているそうです。
どういった事業者を支援するかを大きく左右する補助金(助成金)の配分について見直しが図られるよう、「(2)SDGsの主流化」において、予算について言及してください。
【意見2】
付表(骨子)
●農林水産省の施策として、「和食の推進」と「食料自給率アップ」も加えてください。
集約的な畜産を支えるために多くの飼料を海外から輸入しており、そのことが自給率を大きく下げています。またその飼料を食べた家畜から排出される糞尿等により、土壌・大気・水質が汚染されています。特に硝酸性窒素は国民の健康も脅かします。畜肉中心でない日本の伝統文化「和食」を推進し、日本の食自体を持続可能なものにしなければなりません。農水省の取り組みに、「和食の推進」と「食料自給率アップ」を加えてください。
※案には「農林水産業における気候変動対策及び生物多様性の保全」が含まれており、放牧推進などの畜産業の改善もここに含まれると考えられたため、あえて異なる視点から意見を送ってみました。
※若干わかりにくい言い回しになっていたところを修正して掲載しています。
参考:
持続可能な開発目標(SDGs)について、日本政府は推進本部を設けています。こちらでもパブコメ結果が公表されています。