狩猟鳥獣の見直し案のパブリックコメントに意見を送りました

4月22日まで実施されていた環境省のパブリックコメントに意見を送りました。

⇒パブリックコメント結果についてはこちらに掲載しました

いわゆる野良犬・野良猫との区別があいまいなノイヌ・ノネコが未だ狩猟鳥獣として指定されていること、毛皮獣として指定されているホンドテンについて愛玩飼育の問題事例があったことを受けて、以下の意見を送りました。

提出意見

意見
・ノイヌ・ノネコの指定の解除をするべき
・ノイヌ・ノネコの指定解除を万が一行わない場合、狩猟者にマイクロチップの読み取りを義務付けるべき。


意見2
・ホンドテンを狩猟鳥獣から削除してください。
・狩猟鳥獣を、愛玩目的及び生体販売目的では狩猟できない仕組みにしてください。

提出内容

意見1

該当箇所
「1.狩猟鳥獣の指定の変更について」

意見内容
・ノイヌ・ノネコの指定の解除をするべき
・ノイヌ・ノネコの指定解除を万が一行わない場合、狩猟者にマイクロチップの読み取りを義務付けるべき

理由
ノイヌはイエイヌ、ノネコはイエネコがそれぞれ野生化し、自立して生活しているものだと言われていますが、実際には、いわゆる野良犬、野良猫との区別をつけることができません。奄美大島のノネコ捕獲事業で捕獲されている猫を見ても、人になついているなど、ノネコの定義に合致するとは思えない猫が多数捕獲されています。
ノイヌであるか、ノネコであるかは、あくまで狩猟者の自己申告です。極論ですが、自分の飼っている犬猫を殺しても、ノイヌ、ノネコと偽ることもできてしまいます。
ノイヌ・ノネコは、鳥獣統計を見ても、毎年いくつかの自治体で少数狩猟の報告があるだけで、統計的にもほとんど行われていないに近い実態が続いています。

狩猟できなくなったからといって問題があるとは思えません。事実、平成29年度に狩猟の報告がある自治体のうち、猫の狩猟数が最も多い自治体では、指定解除になって問題があるかと聞いたところ、ないとの回答でした。犬が最も多い自治体も、即答はできませんでした。
動物愛護法では、イエイヌ、イエネコは愛護動物に指定されています。飼い主のいない野良犬・野良猫であっても、動物虐待が行われれば処罰の対象になります。
このことと、狩猟でレジャーとして犬猫を殺していいこととの整合性がありません。犬や猫を食用や毛皮用に殺してもいいということも、現代の感覚と著しく乖離します。

またそもそも、現在の狩猟の仕組みでは、スポーツハンティングなのか、有害駆除の性格が強い狩猟なのか、または錯誤捕獲の末に殺したか死なせたかなのか、自治体が全く実態を把握できないことも問題です。ある年に狩猟数が多い自治体も、前年まではまったく実績がなかったりしています。

そもそも、放浪犬は狂犬病予防法及び自治体条例で、自治体が捕獲することができます。狩猟ができるエリアにいた犬や猫だったとしても、元の飼い主がいる可能性があります。迷子の犬猫の情報が集まっている動物愛護行政に捕獲された犬猫をつなぐべきであり、狩猟者に殺させてよいとは全く思えません。殺傷の方法も、残酷なものである可能性があります。

動物愛護法では、今年6月から犬猫販売時のマイクロチップ装着が義務化されます。また一般の飼育者にも、マイクロチップ装着が勧奨がされています。これらの規定は、飼い主不明の犬猫をできる限り飼い主に戻すために法制化されました。それなのに、一方では山野の犬猫を狩猟者が殺していいというのは法律上、
矛盾があります。
ノイヌ・ノネコの狩猟鳥獣への指定を解除してください。

万が一解除できない場合、マイクロチップリーダーでのマイクロチップの読み取りを義務化してください。

意見2

該当箇所 
「1.狩猟鳥獣の指定の変更について」

意見内容
・ホンドテンを狩猟鳥獣から削除してください。
・狩猟鳥獣を、愛玩目的及び生体販売目的では狩猟できない仕組みにしてください。

理由
2019年、Twitter上でホンドテンの若い個体を飼養している様子を写真や動画で投稿し続けるという事案がありました。有害駆除会社がフェレットだとして本人に渡したという話でしたが、全体に話が不自然でした。
投稿時期やホンドテンが子どもであることからも、ホンドテンとわかった上で狩猟期間終了後に違法に捕獲されたものと推測はされましたが、ホンドテンが狩猟鳥獣であることから、合法であるとの言い訳ができてしまう状況でした。

問題は、この投稿者が、ホンドテンの幼獣にハーネスを付け、まるでペットのように扱い、可愛らしく見える姿をインターネット上に投稿し続けたことです。これらの投稿に反応する人々が、野生種をまるで、家畜化された「ペット」と同等のもののように考えていることに衝撃を受けました。これらの人々は、テンが性成熟を迎え、成獣となれば簡単には扱えなくなるであろうことも、本来野生に帰さなければいけないことも、理解していないようでした。野生動物にストレスをかけずに飼育することはそもそも不可能です。家畜化されたフェレットと同じように小さなケージで当該テンを飼うことはやはり無理があったようで、結果としてこの投稿者は飼いきれなくなったとして、どうしたかも公表しないままアカウントを削除しました。

ホンドテンの幼獣の顔、姿はかわいらしいうえに、狩猟鳥獣であることから、狩猟期間中に合法な狩猟で捕獲されたものは、愛玩目的で自由に飼養してもかまわない法制度となっており、危機感を感じております。
SNSの発達した現在、一人でもこのような写真を投稿し続ける者がいれば、ほかにも飼いたいと考える者が現れ始め、「ペット」として捕獲・販売しようと企てる者が出てきてもおかしくありません。結果、小さな檻に閉じ込められ苦しむ野生動物がふえるのは許しがたいことであり、たくさん捕獲したいということになれば生息数への影響も懸念されます。逸走した場合に民家近隣で生じる被害等も懸念します。

既にコツメカワウソを始めとする外来のエキゾチックアニマルの「ペット」化が密猟・密輸を誘発するなど、人間と野生動物との誤った関係性により、生物多様性に実害が及んでいます。日本の野生動物でも「ペット」化が合法にできることが知られれば、ただでさえ消えつつある日本の野生動物について、ますます無理解が進むのではないかと危機感を持っております。

保護してしまった野生動物をどうしてよいかわからない、放したら死んでしまうかもしれないのでできない、どこに相談してよいかわからないという背景もあったかとは思います。保護からリハビリ、リリースまでを専門性をもってあたる野生動物救護の仕組みが自治体で明確に存在していれば、もっと早い時点で相談を促せたと思います。しかし、本来狩猟して殺してもよい動物に対しては、保護しなければならないという意識は低くなりがちです。

ホンドテンの指定理由は毛皮のためとお聞きしましたが、最も狩猟数の多い新潟県に確認してみたところ、毛皮目的ではなく、畑を荒らすからなどの有害駆除的な理由での捕獲が狩猟許可のもと行われているとのことでした。指定から外しても、有害捕獲で対応できるはずです。捕獲されている数も少なく、もはや毛皮の需要はないことも考え併せ、指定からの削除を要望します。よろしくお願いします。

参考

ノイヌ・ノネコの狩猟数実績

H29 鳥獣統計 ノイヌノネコのみ 表

※注:平成28年の佐賀県の数字が誤りであったことが判明したとの情報をいただきました。統計も、全都道府県合計が113匹から12匹に修正されています。(画像差し替え済)

追記

パブリックコメントの結果についてはこちらをご覧ください。

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