ノイヌ・ノネコの定義関連資料
ノイヌ・ノネコとは何なのか。その定義を記した資料のまとめページです。
以下、太字による強調はPEACEによる
改行
- 1 環境省「動物虐待等に関する対応ガイドライン」(令和4年3月)
- 2 内閣総理大臣官房管理室長回答「動物の保護及び管理に関する法律第 13 条に規定する「保護動物」の解釈について(回答)」
- 3 昭和48年(1973年)に「動物の保護及び管理に関する法律」(動物保護管理法、2000年より動物愛護管理法)が制定されて以降に、同法または動物愛護管理法との兼ね合いで「ノイヌ・ノネコ」の位置づけについてどのような議論が行われたのかがわかる文書等
- 4 昭和 25 年 12 月 25 日付 25 林野第 16999 号林野庁長官回答「狩猟法に関する疑義について(照会)に対する回答通知」
- 5 昭和39年8月31日 39林野造第716号「ノネコについて(照会)」に対する回答通知
- 6 国会質疑
- 7 大日本猟友会発行「狩猟読本」
- 8 関連ページ
環境省「動物虐待等に関する対応ガイドライン」(令和4年3月)
環境省は動物虐待事案への対応について見解等を取りまとめた「動物虐待等に関する対応ガイドライン」を2022年(令和4年)に出しました。現時点での動物虐待に関する国の公式見解といえる冊子です。この中の「2.対象となる動物」の「(2)愛護動物:動物虐待等事案の対象となる動物」の中に以下の記述があります。(17ページ)
「一号動物」とは、動物愛護法第四十四条第4項の第一号に定められている動物のことで、動物虐待・殺傷について罰則が定められている「愛護動物」に当たります。
① 一号動物
牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひるのことであり、一般的に人間に飼養されている動物とされる。
市街地や村落に生息する無主の野良犬、野良猫 3 は愛護動物に含まれるが、常時山野にて、野生の鳥獣等を捕食し生息している野生化したノイヌ 4、 ノネコ 5 等は、鳥獣保護管理法第2条第7項の規定に基づく狩猟鳥獣に位置付けられており、愛護動物には含まれない。ただし、犬、猫とノイヌ、ノネコを明確に判別することは難しく、市街地や村落以外の山野で発見された犬、猫であっても、その行動圏に人が居住等している場合は、原則として愛護動物の犬、猫として考えるべきである。
(以下略)
3 平成元年 10 月 24 日付総管第 473 号 内閣総理大臣官房管理室長回答「動物の保護及び管理に関する法律第 13 条に規定する「保護動物」の解釈について(回答)」(巻末資料(2)疑義照会⑭参照)
4 昭和 25 年 12 月 11 日付獣第 835 号愛知県知事照会「狩猟法に関する疑義について(照会)」
昭和 25 年 12 月 25 日付 25 林野第 16999 号林野庁長官回答「狩猟法に関する疑義について(照会)に対する回答通知」(巻末資料(2)疑義照会①、②参照)
5 昭和 39 年5月 28 日付姫路簡易裁判所裁判官照会「ノネコについて」
昭和 39 年8月 31 日 39 林野造第 716 号「ノネコについて(照会)」に対する回答通知(巻末資料(2)疑義照会③、④参照)
「図表 4 一号動物の考え方」より抜粋
一号動物 | 考え方 |
犬 | 食肉目イヌ科イヌ属イエイヌ(Canis lupus familiaris)。市街地又は村落に棲息する野良犬(無主の犬)は一号動物に含まれる。鳥獣保護管理法第2条第7項の狩猟鳥獣にいうノイヌは、山野に常棲する犬をいい、一号動物には含まれず、野生生物とみなされる。 |
ねこ | 食肉目ネコ科ネコ属イエネコ(Felis silvestris catus)。市街地又は村落に棲息する野良猫(無主の猫。地域猫含む。)は一号動物に含まれる。鳥獣保護管理法第2条第7項の狩猟鳥獣にいうノネコは、山野に常棲するネコをいい、一号動物には含まれず、野生生物とみなされる。 また、ヤマネコはイエネコと全く異なる種類のもので、広くアジア諸国に分布している生来の野生生物である。 |
内閣総理大臣官房管理室長回答「動物の保護及び管理に関する法律第 13 条に規定する「保護動物」の解釈について(回答)」
(令和元年は2019年)
平成元年10月24日
総官第473号
内閣総理大臣官房管理室長から
札幌市衛生局長あて
平成元年7月3日付け札衛動セ第127号をもって照会があった標記について、下記のとおり回答する。
記
1について
いわゆる野良犬及び野良ねこは、「動物の保護及び管理に関する法律」(以下、「動管法」という。)第13 条第2項第1号に規定する保護動物であると解する。
2について
動管法においては捕獲に関する規定はないが、捕獲行為の目的、手段、態様等によっては、当該行為が第 13 条第1項に規定する「虐待」に当たると判断される場合がある。
昭和48年(1973年)に「動物の保護及び管理に関する法律」(動物保護管理法、2000年より動物愛護管理法)が制定されて以降に、同法または動物愛護管理法との兼ね合いで「ノイヌ・ノネコ」の位置づけについてどのような議論が行われたのかがわかる文書等
2023年に設置された超党派議連の「ノイヌ・ノネコPT」において、環境省は、標記の文書について「議論された経緯は確認されず、今後の課題と認識している」と回答している。
昭和 25 年 12 月 25 日付 25 林野第 16999 号林野庁長官回答「狩猟法に関する疑義について(照会)に対する回答通知」
(昭和25年は1950年)
「狩猟法に関する疑義について(照会)」に対する回答通知
昭和25年12月25日
25林野第16999号
林野庁長官から
愛知県知事あて
本月11日付獣第835号を以て御照会に係る首題の件下記の通り回答する。
記
狩猟法施行規則第 1 条にいう「ノイヌ」とは山野に常棲する「いぬ」を謂い、市街地又は村落に棲息する無主の犬、所謂野良犬はこの範疇に入らないものと解する。
昭和39年8月31日 39林野造第716号「ノネコについて(照会)」に対する回答通知
(昭和39年は1964年)
「ノネコについて(照会)」に対する回答通知
昭和39年8月31日
39林野造第716号
林野庁長官から
姫路簡易裁判所裁判官あて
5 月 28 日付けで照会のあつたこのことについて下記のとおり回答する。
記
1 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律施行規則(以下「規則」という。)第1条にいう「ノネコ」とは、常時山野にて、野生の鳥獣等を捕食し、生息している「ネコ」をいう。
2 (1)「ノネコ」と「家ネコ」とは動物学上は同一の「ネコ」で「ノネコ」と称する別種類のものがあるのでない。畜養動物である「家ネコ」が野生化して1のようなものとなつたのが「ノネコ」である。
(2)「ヤマネコ」は、「ノネコ」とは全くちがつた種類のもので、広くアジア諸国に分布している生来の野生動物である。
その毛色は、固定しており、体は灰褐色で額に2ないし4本の栗黒褐色の平行の縦帯があり、それに接し白帯がある。
また体側から腹に褐色のはん点があり、尾に暗褐色の環状はんがある。
(3) 飼い主の支配をはなれた「ネコ」で1に述べた要件をみたすものは「ノネコ」に該当するが、飼い主のもとをはなれ市街地または村落をはいかいしているような「ネコ」は規則第1条にいう「ノネコ」ではない。
(4)「ノネコ」の名称は、特定地方の俗称ではなく、規則改正(昭和 24 年 10 月)の際あらたに付した名称である。
3 ノネコ、ノイヌ、ノウサギは特に保護していない。
そのため狩猟獣類に指定し、狩猟者に捕獲をすることを認めているのである。
国会質疑
第43回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 昭和38年(1963年)3月12日
質問:衆議院議員 湯山勇
答弁:農林技官 (林野庁指導部長) 若江則忠
○湯山委員 (略)
今度資料に直接入ります。たとえば狩猟鳥獣で、これも私はいいかげんな解釈をしておられるように思うのですが、狩猟鳥獣にノイヌ、ノネコというのがあるのです。これは何でしょうか。ノイヌ、ノネコという種名を持つ動物が日本にございますか。まずそれから伺います。
○若江説明員 ノイヌ、ノネコは、元来は家畜でございましたものが野性化いたしまして山野に自生いたしまして、野山におるというのを、のら犬、のらネコ等と区分いたしまして、この場合ノイヌ、ノネコと称しまして狩猟鳥獣に入れておるわけでございますが、アメリカあるいはカナダ等におきましてはこれらをファーラル・ドッグあるいはファーラルーキャットというように区分いたしまして、やはり狩猟鳥獣にいたしておるというような例もあるわけでございます。それにならいまして野山に自生しておりますノイヌ、ノネコを狩猟鳥獣に入れておるわけでございます。ただしこれは動物学上の分類では区分がないわけでございます。
○湯山委員 これはいつお入れになったのですか。
○若江説明員 たしか昭和二十二年に狩猟鳥獣に加えたというふうに考えております。
○湯山委員 昭和二十二年というのはちょうど占領下であって、そういうことがよくわからないで向こうの法律をそのまま訳したのではございませんか。
○若江説明員 先ほど申し上げましたように諸外国の例等に徴しまして加えたというふうに考えております。
○湯山委員 東京にノイヌがおりますか、あるいはノネコがおりますか。
○若江説明員 東京都下にはおりません。
○湯山委員 もう一ぺんお聞きします。東京都下にいるのかいないのかはっきりわからないのですか。どうなんですか。
○若江説明員 のら犬、のらネコはおりますけれども、ここでいうノイヌ、ノネコはいないと思います。
○湯山委員 それではどこにおったのでしょうか。それが狩猟されたという報告がございますか。いただいた資料にはそういうノイヌ、ノネコが狩猟されたというのは一つもないのですが。
○若江説明員 お手元に差し上げました資料の中には明記しておらなかったかもしれませんけれども、狩猟統計には狩猟された頭数があるわけでございますので、必要でございましたら、後刻年次別の頭数を御提出申し上げたいと思います。
○湯山委員 ほんとうに統計がございますか。
○若江説明員 ここに持ち合わせておりませんけれども、あるようでございます。
○湯山委員 ノネコというのもございますか。
○若江説明員 ノネコにつきまして資料を手持ちいたしておりませんが、あとで調べまして、お答え申し上げたいと思います。
○湯山委員 ノイヌ、ノネコ以外の犬、ネコを狩猟すれば違反になるわけですね。これはどうですか。
○若江説明員 狩猟鳥獣として指定されておりますノイヌ、ノネコを狩猟期間外に狩猟いたしますと違反でございます。
なお先ほど資料の手持ちがないので御答弁申し上げかねましたが、三十五年度の有害鳥獣の駆除の中には、ノイヌ、ノネコがそれぞれ八頭ずつ上がっております。
○湯山委員 狩猟期間以外、それからノイヌ、ノネコ以外の犬、ネコを狩猟すれば違反になるというけれども、狩猟されたものでノイヌ、ノネコと普通の犬、ネコの区別がつきますか。つまり店先につってあるそれを見てその区別がつきますか。
○若江説明員 判別は生息状況によって識別するのが最も判然とするのでございますが、これが店先に並べられたときに、どれがのらネコで、どれがノネコかということは、判別が非常に困難であろうかと思いますが、医学的に胃袋その他を検査して、食性の種類等で判別しなければならぬのではないかというように考えます。
○湯山委員 これは私、妙な問答をしようというつもりじゃないのです。こんな名前を残しておくことは不合理だ。これは今おっしゃったように判別困難だ。解剖して内蔵を見ればわかるだろうといってもわかるものではありません。そういう答弁じゃ何のために質問しておるかわからないので、そういうことをお尋ねしておるのじゃないのです。こういうわけのわからない、種類の名前でもないようなものはこの中からのけなければならぬでしょう。そうしてその野生化したものは人畜に害を加える場合があります。これはさっきおっしゃったように、ちゃんとはっきり野犬狩りとか、野猫狩りというのがあるかどうか知りませんけれども、そういう方法でやらないとできるものじゃないのです。あなた方のいうノイヌだって本来これは人になつく性格を持っていますから、野生化した犬だって、連れてきて飼えばけっこう役に立ちます。そうして非常に利口です。だからその区別をつけようたってつきません。私の家はちょうど松山の城山の下にありましたから、よく知っておりますが、あなた方の言うノイヌの子をとってきて飼うと、とてもいい犬が育ちます。そういうことですから、おそらくこれはアメリカあたりのほんとうの野生の犬というものとそれとをごっちゃにしておると思いますので、そういう判定もできないし、ことにそれによって処罰を受けるというときに、こういういいかげんなものを並べておくというのはよくないことだ。これは考えなければならない。そうでないと困るのじゃないでしょうか。
○若江説明員 仰せのようにノイヌ、ノネコとのら犬、のらネコとの識別は非常に困難でございますが、野生いたしておりますノイヌ、ノネコがいるということも事実でございます。この際これを狩猟鳥獣からはずしますと、ノイヌ、ノネコ等の狩猟に事かりまして、山野にこれを狩りに行くということになりますと、狩猟秩序を乱すということにもなりかねませんので、その点は先生の仰せのように、識別を十分行なうように考えて参りたいと思いますが、大へん困難な点はありますけれども、従前とも入れておりますし、ここでこれをはずすという特段の理由もありませんので、従前通り入れて参りたいと考えております。
○湯山委員 はずす理由がないという理由がわからないからお尋ねしておるのです。はずさなかったら今のように困るじゃありませんか。
○若江説明員 特にこの二種類を加えておりますために大きな障害があったという事例もないわけでございますし、今後ともそういうことのないように私の方でも運営して参りたいと考えるわけであります。
○湯山委員 障害は、こういうふうにお尋ねしてもはっきりお答えができない、また狂犬病の問題とも関連して参ります。そのほか関連するところ大きいのです。ネズミにはちゃんとノネズミという種類があるのです。ところが国の法律でノイヌ、ノネコというのがちゃんとあれば、これはずいぶん迷わしますよ。だからあって益なきものはやはり害があると見ていいわけなんですが、どうですか、これをのける意思はありませんか。
○若江説明員 先ほど来申し上げておりますように、これを直ちに除外するという考えはございません。
○湯山委員 それじゃ、めんどうになりますが、もう少しお尋ねしてよろしゅうございますか。
この犬、ネコの野生化したものですね、これは一体どの程度野生化したものをいうのですか、飼っている親が山に入って、山で生まれたその子はもうノイヌですか。それがたとい町へ出てきても、あるいはどこをどう通っていても、ノイヌというのですか。
○若江説明員 野生のノイヌから生まれましたいわゆる子犬でございますが、これは獲物を山野で得て、山野で自生していくという状態におきましては当然ノイヌと解しております。
○湯山委員 山からたんぼに出てきたらどうなるのですか。
○若江説明員 その行動範囲の中でたんぼ等へ出て参りましても、ノイヌであるということには変わりはないというふうに考えます。
○湯山委員 それじゃ家の中に入ったらどうなりますか。
○若江説明員 家の中に獲物を探しに来るという場合もあるいはあろうかと思いますが、それはたとえばイノシシが獲物がないために里山に来るというのと同じような現象であろうと思いますので、同然でございます。
○湯山委員 だから間違いを起こすのです。イノシシというのはイノシシという種類です。動物園の中にいようが、山の中にいようが、家の中にいようが、イノシシというのは動物の一つの極数の名前です。ところがあなたは、ノイヌというのは固定した種類の名前でなく、生息の状態であると言う。だから家にいたらどうなるか、田の中にいたらどうなるか、山にいたらどうなるかをお尋ねした。そうしたら今度はどこへ行ったってノイヌはノイヌだ——今度は種類になったのです。それならノイヌとはどういう種類ですか。またもとへ返りますが、どうなんですか。
○若江説明員 もともと山野におりまして、生まれた子供がたまたまたんぼに来た、家の付近まで来たというのは、行動半径の中で行動したのであって、本来終始山野で生活している限りにおいてはノイヌであるというふうに申し上げた次第であります。
○湯山委員 違うでしょう。今おっしゃったのは家の中に入ってきてもノイヌはノイヌ、だとおっしゃったのですよ。さっき私が申し上げたのはそれなんであって、あなたのいう意味のノイヌの子を飼えば、とても利口でいい犬ができます。それでもノイヌですか。生まれたのは山で生まれたのです。飼い方だっていろいろありますから、主た飼い方で聞かなければならぬことになるわけです。
○若江説明員 狩猟家がノイヌをとりまして自分の家で飼養するということになりますと、それは飼養鳥獣でありますので、自己の支配下で飼養されているノイヌであるというふうに解釈されます。
○湯山委員 そうすると、はっきり言ってノイヌというのはどこにどうあってもそれは撃っていいわけですね。
○若江説明員 先ほど来申し上げておりますいわゆるノイヌを免許者が期間中に撃つということは当然よろしいわけであります。
○湯山委員 ですから人の家の中にいてもいいわけですね。
○若江説明員 欄、柵、囲障あるいは人家等で狩猟するということは禁止されておりますので、撃つわけには参りません。
○湯山委員 私はそういうことを尋ねているの、じゃないのです。つまり狩猟の対象になるかということを尋ねておるわけで、今大へんな間違いを犯しておるというのは、その生息の状態だと言われたのが、今部長の御答弁ではだんだん一つの品種になってきておるのです。よろしゅうございますか、品種でないものがだんだん今の御答弁でも、どこにいてもノイヌはノイヌだ、今のように別な規定を考慮に入れればどこで撃ったっていいんだ、こういうことまで変わってくれば、もうそれは、はっきり一つの品種になっているのです。大へんな間違いですから。
○若江説明員 最初に申し上げましたように、ノイヌという区分が動物学上にはないけれども、それが生息の状態からしましてノイヌと判定せられる犬がおる、それを狩猟鳥獣の中に入れておる、そのノイヌがたまたま山野から田畑の付近まで現われてもそれはまだノイヌであろう、こういうふうに申し上げた次第であります。
○湯山委員 あろうじゃなくてこうこうだということが明確でなければ、間違ったら狩猟法違反に問われるわけです。罰金をとられるわけです。だからそういう不明確なものは明確にする責任があります。ところが明確にしようたってノイヌ、ノネコに関する限りは明確にしようがありません。私は前に古賀園長にもこれは聞いたことがあるのです。そんなことはわからぬとはっきり言っておられる。よろしゅうございますか、ほかの動物学者に尋ねてみましても、それはわからない、こう言うのが常識です。もしあなた方がこの法律の中にある言葉だからあるいは規則にある言葉だからというので統一解釈をおつくりになっても、ほかでは通用しません。その証拠には、狩猟されたもので、はたしてノイヌであったかどうかという区別はつかないのですよ。ことに今おっしゃった内臓を抜いて皮と目だけにしてつっておけば、絶対区別がつく人はないでしょう。どうなんです、区別がつかないでしょう。
○若江説明員 内臓を抜きまして皮だけぶら下げたというふうな仮定の問題では、ほとんど識別が至難であろうとは思います。
○湯山委員 そして同じようにノウサギというのは種類の名前です。だがわかります。見ても区別がつくのです。そういうノウサギというのは区別のつく種類でいいのです。ノイヌというのは区別がつかない。ましてノネコに至っては全くわからない。それをなお個室されるところにこの法律がまだ脱皮していない。私が申し上げたのはそこなんです。白痴、瘋癲という、わけのわからない言葉がそのまま残っている。そしてノイヌ、ノネコというようなものが、まだどうもあるようなことになっている。そういうところに不徹底さがあるから、それで抜本的に考えなければならぬのじゃないか。今のようなお考えだとほんとうの鳥獣保護はできませんよ。取り締まる人にもわからないのだから。
大日本猟友会発行「狩猟読本」
大日本猟友会発行のテキスト。狩猟免許や猟銃等の所持許可の取得・更新の際の講習で使われるもの。
2023年6月改訂発行版より。参考まで、古い平成20年度版の記載も載せておきます。
令和5年(2023年)発行版
※巻頭の狩猟鳥獣のカラーイラスト一覧にはノイヌ・ノネコは含まれていない。
ノネコ
【分 布】全国的に分布。ペットなどのネコが野生化したもの。寒冷地では少ない。
【特 徴】鳥獣法で扱うノネコとは、ノイヌの場合と同様、直接人間の助けを借りずに自然界で自活し、かつ繁殖しているものを言い、一時的に人間から離れて生活している個体は非狩猟獣のノラネコとしている。ネコには様々な品種がいて変異が大きく、ノネコの場合も様々な体色のものが見られる。
【習 性】平野部から山野にかけて、林地などの様々な環境に見られるが、市街地や集落の近郊の場合が多い。雑食性だが、小型哺乳類や鳥類などの野生動物を捕食することも多く、沖縄本島のヤンバルクイナや小笠原のアカガシラカラスバトの羽がノネコの糞から見つかっていて、最近特に問題視されるようになってきている。
【類似種とその識別】対馬のツシマヤマネコ(非狩猟獣で天然記念物)と西表島のイリオモテヤマネコ(非狩猟獣で特別天然記念物)は、いずれも眼の内側から頭頂にかけて淡色の細い樅条が特徴であるが、ノネコの一部個体と外観が似ているので、各々の生息地では十分な注意が必要。また、飼育個体や非狩猟獣のノラネコと外観上から区別することは不可能であり、生息環境や行動、首輪の有無などから推察するしかないため、ノネコを狩る場合にはその地域の人々にあらかじめその旨を周知して、情報を十分に収集するなどの事前の準備が必要となる。
平成20年(2008年)発行版
(比較のため、古い版の情報も掲載しました)
※巻頭の狩猟鳥獣のカラーイラスト一覧にはノイヌ・ノネコは含まれていない。
ノネコ
【分 布】全国的に分布。ペットなどのネコが野生化したもの。寒冷地では少ない。対馬のツシマヤマネコと西表島のイリオモテヤマネコは非狩猟獣。
【特 徴】鳥獣法で扱うノネコとは、ノイヌの場合と同様、直接人間の助けを借りずに自然界で自活し、かつ繁殖しているものを言い、一時的に人間から離れて生活している個体は非狩猟獣のノラネコとしている。ネコには様々な品種がいて変異が大きく、ノネコの場合も様々な体色のものが見られる。
【習 性】平野部から山野にかけて、林地などの様々な環境に見られるが、市街地や集落の近郊の場合が多い。雑食性だが、小型哺乳類や鳥類などの野生動物を捕食することも多く、沖縄本島のヤンバルクイナや小笠原のアカガシラカラスバトの羽がノネコの糞から見つかっていて、最近特に問題視されるようになってきている。地上で繁殖。一夫多妻。なお、ノラネコの捕獲は保健所等に任せることが適当である。
【類似種とその識別】対馬のツシマヤマネコ(非狩猟獣で天然記念物)と西表島のイリオモテヤマネコ(非狩猟獣で特別天然記念物)は、いずれも眼の内側から頭頂にかけて淡色の細い樅条が特徴であるが、ノネコの一部個体と外観が似ているので、それぞれの生息地では十分な注意が必要。また、飼育個体や非狩猟獣のノラネコと外観上から区別することは不可能であり、生息環境や行動、首輪の有無などから推察するしかないため、ノネコを狩る場合にはその地域の人々にあらかじめその旨を周知して、情報を十分に収集するなどの事前の準備が必要となる。
⇒現在発行されている版では削除されています。
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