化粧品の原材料メーカーに聞いてみました
化粧品のための動物実験は、いわゆる化粧品メーカーだけではなく、原料メーカーも行っています。原材料を開発・製造して、化粧品会社に販売している企業です。
そこで、まずこれまでに動物実験のデータを添付して化粧品基準の改正の申請を行ったことのある企業のうち、原料メーカーにも動物実験について聞いてみました。メール・FAXが公表されている企業に対しては、以下の質問を送り、電話しか公開していない企業には電話で問い合わせを行いました。
1)現在、御社では、試験受託機関等への外注も含め、化粧品及び医薬部外品分野での動物実験を行っていますか。また、今後行う予定はありますか。2)EUが、動物実験された原料を使った化粧品の輸入を完全に禁止としたため、欧州への輸出を射程に置いた場合は、原材料メーカーにとっても影響があるものと考えますが、この点で御社の研究開発に影響はあったでしょうか。
3)また、御社の動物実験に関するポリシー等ございましたら、教えてください。
原材料メーカー | 回答 | 動物実験に関するポリシー |
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ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社 | (親会社であるダウ・ケミカル日本株式会社より電話回答) 今のところ動物実験を行う予定はないが、(健康被害が疑われるなどして)国から求められた場合は行わざるを得ない。 研究開発は国内では行っていない。 | |
岩瀬コスファ | 回答なし | |
DSMニュートリション ジャパン | 回答なし | |
ロンザ | (ロンザジャパンよりメール回答) 1)現在ロンザジャパンでは、動物実験を行っておらず、また今後も行う予定はございません。 2)弊社の本社はスイスにあるため、ヨーロッパの動物保護に対する意識は、ロンザグループ全体で共有しております。 また、日本に研究開発および製造部門はなく、日本で原料を開発・製造することはありません。 | |
日光ケミカルズ株式会社 | 回答なし(返事が行っていなければ回答の必要がないと判断したということだとのこと) | |
クラリアントジャパン株式会社 | 回答なし | |
原料メーカーは顧客が企業であり一般消費者相手の商売ではないせいか、回答はふるわず、また外資系企業と国内企業で対応が真っ二つに割れました。
さらに第2弾として、化粧品原料協会会員企業に問い合わせを行ってみましたが、回答率は19.3%と非常に低く、業界全体の状況を把握できるには至りませんでした。
そもそも、化粧品メーカーがどの企業から原料を仕入れているか、またその原料メーカーが動物実験を行う企業であるかどうかなどを消費者が知ることは大変難しいですが、日本における最終的な化粧品の動物実験廃止をどのような形で実現させるのかを考えると、これら原料メーカーの行う動物実験についても考慮に入れなければいけないことは明白だと思います。
仮に化粧品メーカーが順次動物実験廃止を宣言していったとしても、原料メーカーが動物実験を行い続けるのであれば全面的な廃止には遠く、日本においても諸外国と同様、何らかの法的手段によって化粧品の動物実験廃止を実現させる必要があるのではないかと思います。
この2回の問い合わせをまとめた結果の詳細については、下記のPDFファイルをご覧ください。
※対象:
・化粧品基準改正の承認を受けたことのある企業6社(うち化粧品原料協会会員は5社)
・化粧品原料協会会員企業138社中、上記以外の企業で連絡先のわかった129社
合計135社
※問い合わせ方法:
メール、fax、郵送。一部、電話による問い合わせも行った。
※回答率:19.3% (2013年8月9日時点)
回答が得られたのは
・化粧品基準改正の承認を受けたことのある企業 2社
・化粧品原料協会会員企業 24社 合計 26社
※問い合わせ時期:
化粧品基準改正の承認を受けたことのある企業に対しては 2013年3月~4月
その他の化粧品原料協会会員企業に対しては 2013年6月~7月
※動物実験を行っている、もしくは行う可能性について言及した企業
結果としては、いわゆる商社などであり、そもそも原材料の開発は行っていない企業も多くみられました。動物実験を行っている、もしくは行う可能性について言及した企業は以下の通りです。
新規原料開発で動物実験を行っていると考えられる企業 | 一丸ファルコス(株)、花王(株)※1 |
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国から法令上動物実験を求められれば行う※2 | ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)(回答は親会社のダウ・ケミカル日本(株)から)、新日本理化(株)、東レ・ダウコーニング(株) |
国から法令上動物実験を求められた場合、実施の是非を検討する※2 | ビタミンC60 バイオリサーチ(株) |
※1 回答の解釈について確認を行ったが、個別には回答できないとのこと。
※2 既に販売している原料について安全性に関する問題が浮上した場合などのことを指していると思われる。
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