かつて「日本版NIH」と呼ばれていた独立行政法人日本医療研究開発機構(AMED)が今年の4月より発足します。アメリカの本家NIHには実験動物福祉局(OLAW)があり、資金提供に際して動物実験倫理についても一定程度の質を担保しようとする取り組みがありますが、日本版は倫理問題も含めて「似て非なるもの」となると言われています。
しかし、昨年策定された「医療分野研究開発推進計画」には「動物代替試験法」との文字が書き込まれており、予算の動向が気になっていました。
●レギュラトリーサイエンスの推進
日本が世界に先駆けて開発する核酸医薬の副作用評価法に関する研究、最先端技術に対応した新たな品質公定試験法や動物代替試験法等の新たな安全性試験法の開発等を行う。
厚生労働省によると、上記計画のこの部分に該当する事業は「医薬品等規制調和・評価研究事業」とのことで、既に公募が行われた「平成27年度日本医療研究開発機構研究費公募要領」を見てみると、非動物試験の新規開発にあたるものには以下のようなものがありました。
旧薬事法を医薬品医療機器法とするなど医療機器の重点化が進んでいることを感じますが、この分野でも動物実験代替法の取組みが始まることは歓迎したいと思います。
○革新的医療機器で用いられる医療材料の生体への安全性等の評価方法等に関する研究
「革新的医療機器の安全性と有効性を評価するための動物実験代替法を含む新たな簡易評価法を策定する」ことが掲げられています。
研究費の規模:1課題当たり年間、30,000千円程度※(間接経費を含む)
研究実施予定期間:最長3年度 平成27年度~平成29年度
新規採択課題予定数:1課題程度
○ヒトiPS分化細胞技術を活用した医薬品の次世代毒性・安全性評価試験系の開発と国際標準化に関する研究
「医薬品のヒトに対する毒性・安全性の評価をより予測性高く実施する評価系を開発するため、ヒトiPS細胞を分化誘導する技術を活用した試験系を開発するとともに、得られるデータに基づき、医薬品開発における安全性評価手法の国際標準化を図る」とあり、これまでの課題の継承です。
研究費の規模:1課題当たり年間、300,000千円程度※(間接経費を含む)
研究実施予定期間:最長3年度 平成27年度~平成29年度
新規採択課題予定数:1課題程度