ウサギの目に被験物質を入れて試験する眼刺激性試験、いわゆるドレイズテストに関し、厚生労働省が留意事項に関する事務連絡を発出しました。これは、OECDのテストガイドラインが改訂されたことを受けて行われたもので、2月27日付けになります。
該当するOECDのテストガイドライン(TG405)が改訂されたのが2012年ですから、かなり時間が経ったようにも感じますが、この間、JaCVAMが日本でパブリックコメントを行うなどしていました。
今回のドレイズテストの手順改訂の要点は、
1)被験物質投与前には、局所麻酔薬(例:プロパラカイン、テトラカイン)と全身性鎮痛薬(例:ブプレノルフィン)による前処置を行う。
2)被験物質投与後では、全身性鎮痛薬(例:ブプレノルフィン、メロキシカム)による処置を行う。
などです。
安全性試験では通常、鎮痛剤等の薬剤を併用することはありえず、動物への配慮からこのような手順が含まれることになったのはドレイズテストが初めてのことだそうです。
そういう意味では画期的なことですが、いわゆるドレイズテストは、1980年代から常に反対運動のターゲットにされてきた試験法でした。これまで多くの代替法が開発され、行政的に受け入れられているものもある中、試験法そのものの廃止がなされなかったことは意外でもあります。
私たちにとって、試験そのものの廃止が最終ゴールであることは変わりありません。
🐰 後日談 🐰
改良されたドレイズテストが日本でも使えるようになった頃、従来の試験方法と、新しい試験方法とを比較する学会のポスター発表を見ました。鎮痛剤を使わない、古い試験法を行った群では、ウサギが「暴れる」などの記述がありました。新しい試験法では、そのようなことは見られなかったそうです。
新たに動物を犠牲にする比較試験を行ったことには疑問を感じつつ、やはり従来の試験法は、ウサギにとってとても痛かったのだと実感しました。シャンプーが目に入ったときの痛みを想像してみてください。