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動物とヒトのキメラ 動物性集合胚の規制を緩めてよいのか

ヒトクローン規制法に基づく特定胚の一つに指定されている「動物性集合胚」とは、動物の胚にヒトの細胞を入れたものを指します。現在は、原始線条が現れるまで(原始線条が現れない場合は14日以内)は研究が許されていますが、動物やヒトの子宮に移植することは禁じられています。

しかし現在、これを解禁し、胎児として成長させたり、出産させたりしてもよいとすべきかどうか、内閣府の生命倫理専門調査会で議論が進められています。ここで何らかの変更を行うような意見が取りまとめられた場合、次は文部科学省で指針等の改正を行うための議論がなされることになります。

こういった動物とヒトのキメラの解禁を求めているのは、ブタの胚にヒトの多能性幹細胞を入れて移植用の膵臓をブタにつくらせることを目指していると報じられている東大医科研の研究グループですが、動物性集合胚は、国際的には研究対象としてあまり関心を持たれていないものなのだそうです。

そのため、海外でも目だった規制はなく、むしろ動物実験の規制の中で扱われていたりするのですが、「日本にはイギリスのような動物実験をめぐる制度がないので全くバックグラウンドが違う」といった話が先月の生命倫理専門調査会でも出ていました。

傍聴をしたのはこの第72回の調査会が初めてですが、科学者の発言が目立ち、全体的に「解禁して何か問題があるのか」という雰囲気を感じました。中には「ブタと話せるようになったら素晴らしいという考え方もあるではないか」と発言する委員がいるなど、本当に生命倫理について話しているのか疑問に思う場面すらありました。(ブタと話せたら、このように動物実験に使われていることについてどう言うのか、聞いてみたいものです)

むしろ文部科学省など省庁のほうが「ほかの特定胚まで波及する可能性もあるが、動物性集合胚だけということか」と確認をしたり、抑制的であったような気がします。(気のせいかもしれませんが)

しかし全体には、解禁はするが、どこまで何をしていいかを議論する流れになっていました。規制としては、してはいけないことを定めるのがよいという意見があり、生殖と脳はダメなのではないか、霊長類はダメだろう、といった意見も出ていました。

ただし、中には「(ヒトの尊厳の保持だけではなく)動物のほうの種の保持といったことも語られるべきなのではないか。動物のほうから見て、その動物種のあり方に人は責任を持つのではないか」と、動物寄りの発言をしてくださった委員の方もいて、これはとてもうれしかったです。胎児まではいいかもしれないが、出産させるのはどうなのかと言っていた方もいました。

調査会は、今月もう1回開かれて、ここで大方の方向性は決まってくるのではないかと思います。コンセンサスが得られれば見解が出されるとのことで、スケジュールとしては7月くらいのようです。

PEACEとしては動物福祉の観点から以下の要望書を送付しましたが、動物とヒトのキメラを作成することに対しては、人の尊厳の面からも、もっと国民的に議論が起こってもよいのではないでしょうか。

報道は、再生医療礼賛・科学技術推進に傾いているように感じられますが、たとえば動物性集合胚の実験とは、以下のようなものです。実際読んでみると、驚かれる方もいるのではないでしょうか。「万人の倫理観に適合するわけではないステップを含む」と、はっきり書かれています。

文科省のサイトより実例:
特定胚(動物性集合胚)作成計画書(抜粋*)

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