<アメリカ>FDA(食品医薬品局)の動物実験代替法ワーキンググループが報告書を公表

昨日はアメリカのEPA(環境保護庁)の動物実験代替への取り組みについてご紹介しましたが、アメリカでは、医薬品、化粧品、医療機器、動物薬、たばこなどの許可や監視業務などを行うFDA(食品医薬品局)も動物実験の代替に取り組んでいます。

FDAは、2017年12月に「FDA’s Predictive Toxicology Roadmap予測毒物学ロードマップ)」を公表しており、新たな毒物学的手法や新技術の開発と評価を促進し、これらの方法や技術を規制当局の審査に組み入れることを提言しています。

そして、このロードマップを受けて、2019年に代替法ワーキンググループが設置されました。

報告書「FDAにおける新しい代替手法の推進」

代替法ワーキンググループが今年1月に出した報告書「Advancing New Alternative Methods at FDA(FDAにおける新しい代替手法の推進)」は、FDAの科学者が、自らの研究によって、もしくはパートナーとの革新的な協力関係を通じて、予測可能性を向上させ、動物実験に代わる可能性のある新しい規制アプローチの開発を促進するために取り組んでいる活動を取り上げています。

FDAは、動物実験が必要だというところは未だ崩していませんが、「画期的な代替法を評価することは、FDAが使命を遂行する上で参考にできる知識の蓄積につながるだけでなく、FDAの規制を受ける新製品をより早く消費者に届けるのにも役立つ可能性がある」という動機があることがわかります。

FDAの各部局(チーフサイエンティスト部、食品安全・応用栄養センター 、タバコ製品センター 、生物製品評価研究センター 、医薬品評価研究センター、医療機器・放射線保健センター 、動物用医薬品センター 、国立毒性研究センター)で達成・研究されている内容や、パートナーシップ先の組織(Botanical Safety Consortium、Health and Environmental Sciences Institute、ICCVAM(Interagency Coordinating Committee on the Validation of Alternative Methods)、Tox21)の活動、関係する国際組織についてなどがまとめられています。

代替法ワーキンググループとは

報告書には、このワーキンググループについて以下のように書かれています。
代替試験法の開発と実施の促進におけるFDAの進捗状況を一般の人々に知らせるためのプラットフォームが必要であると認識し、2019年にFDAは代替法ワーキンググループを結成しました。
このワーキンググループは、FDAの製品分野全体で従来の毒性試験や有効性試験に代わる方法を提供する代替システム(in vitroin vivoin silico、システム毒性モデリング)の新規アプリケーションや潜在的アプリケーションと同様に、革新的な技術やツールを前進させる機会を求めています。
さらに、このワーキンググループは、FDAが規制する医薬品の科学上・規制上のレビューをサポートするために、新たな方法や新技術を進歩させる機会及び実行可能な方法を検討しています。
このワーキンググループは最近、開発者が自らの新しい手法や方法論をFDAの科学者に独占的に紹介する機会を提供するウェビナーシリーズを開始しました。in vitroin vivoin silicoの新しい予測手法に関する継続的な教育は、FDAの規制当局者や研究者が幅広いスキルを身につけ、科学技術の最新動向に対応できるようにするために不可欠です。
ワーキンググループの活動は情報提供であり、公式の規制のガイダンスとしての役割を果たすものではありません。

FDAには、ほかに、幹細胞および人体模倣システム(MPS:microphysiological systems)ユーザーグループ、モデリング及びシミュレーションワーキンググループが設置されています。

日本でも、食品安全委員会には評価技術企画ワーキンググループが設置されていますが、他はすべて日本動物実験代替法センター(JaCVAM)に頼っている現状があるのではないかと思います。組織や戦略面、ひいては予算・人員面で、日本政府はもっとやる気を見せるべきではないでしょうか。

参考:

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