まだこれから発行されますが、先日、「武田問題対策連絡会」の会報に原稿を寄稿させていただきました。
アメリカにある武田薬品工業のグループ会社が所有する動物実験施設の年次報告書から、実験動物の使用数をまとめて表にしましたので、ぜひ発行されたらご覧いただければと思うのですが、その際、少なくとも法律の対象となる動物の使用が近年なくなっているにもかかわらず(少なくとも武田買収後は使用数ゼロ)何年も登録が継続しており、年次査察も続いているのを不思議に思っていました。
疑問が氷解したのは、「サイエンス」誌のサイトに掲載されたこの記事です。アメリカ政府による監査報告書が出され、動物の使用の実態のない施設にも農務省の査察が行われている一方で、不必要な苦痛を与えた研究施設をきちんと罰することができていない等の実態があることが書かれていました。
- Audit questions U.S. oversight of lab animal welfare
(アメリカ政府の実験動物福祉の監視に対し、監査が疑問を呈す)
監査報告書の原文は下記ページからリンクしていますが、それによると、再び動物を使うようになったときのために登録を継続しておきたいからというのが、施設側が登録を継続する事情としてあるようです。登録を取りやめたのは8施設だけとのこと。ちなみに、武田のグループ企業も現在登録はなくなっています。(しかし、アメリカの動物福祉法は実験用マウス・ラット・鳥類を除外しているので、本当に動物実験しなくなったことを保証するものではないと思います)
そのほか監査では、罰金の金額が低い、動物実験委員会に違反がみられるなどの指摘がされています。報告書冒頭の概要部分の翻訳を掲載しましたので、ぜひご覧ください。
報告書より:
勧告内容及びアメリカの動物福祉法の体系について書かれた部分の翻訳は、近日中に追加予定です。 ※下記追記参照
追記
勧告内容及びアメリカの動物福祉法の体系について書かれた部分の翻訳も掲載しました。
アメリカの「動物福祉法」に定められた動物実験施設の監督制度はどのようなものでしょうか。2014年末にアメリカ農務省が出した監査報告書「動植物検疫局(APHIS)による研究施設監視について」(監査報告33601-0001-41)の概説[…]