医療ガバナンス学会のメールニュースに、実験動物を扱う現場からの記事が連続で掲載されています。第一弾、第二弾に続き、3回目はずばり、実験動物たちが経験することになる苦痛についてです。
「動物実験はやるのが当たり前、必要だ」という人たちは、しばしば「動物実験は麻酔などを使っているから苦痛は感じないのだ」などと断言することがあります。
しかし技術的にも、現実はそんなに簡単に言ってのけられるようなものではありません。こんな話は相手を説得したいがための適当な作り話と言っていいでしょう。
そもそも動物実験の半分を占めると思われる毒性試験等の試験系では、苦痛除去のための薬剤を使うことはありません。(例外は、批判を受け続けてプロトコールが変わった、眼のドレイズテスト)
それに、大学などでの研究では、そもそも研究者は動物が苦しむところは見ていないだけかもしれないんです。
「医科系大学の研究者は診療等で忙しく、動物のために十分な時間をとることができないため、動物が苦痛を感じている現場に居合わせないことが多いという現実があります」(Vol.116より)
実験動物と1日向き合っている技術者の方々から見た動物実験は、研究者の言う動物実験とはまた違っていると感じます。
- Vol.115 実験動物の苦痛と向き合う(その1) -福祉的順化と環境エンリッチメントによる
- Vol.116 実験動物の苦痛と向き合う (その2) -術後ケアによる肉体的苦痛の緩和-
東北大学大学院医学系研究科附属動物実験施設技術職員 末田輝子
末田さんの書かれた実験用ブタの福祉についての記事は当会のウェブサイトでもご紹介させていただいています。こちらもぜひご覧ください。