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動物用ワクチンのための検定試験で、動物を使う試験が減りました

医薬品だけではなく動物用医薬品についても、承認申請時等の試験方法を国際的に調和させることで効率化を図り、使用される動物の数を減らす取り組みがされています。医薬品ではICH(医薬品規制調和国際会議)になりますが、動物用医薬品は、日米欧3極によるVICH(動物用医薬品の承認審査資料の調和に関する国際協力)がその役割を担っています。

一去年、このVICHでの試験法調和の動きを受けて、動物用ワクチンの検定試験(販売前に製品単位ごとに行う試験)の動物実験を減らす方向でのパブリックコメントが、行われました。不活性化ワクチン用(VICH GL50Rによる)と生ワクチン用(VICH GL55による)と計2件のパブコメで、ワクチンの対象動物を用いる販売バッチごとの安全試験 (TABST)の省略を可能にする改正です。(バッチとは、製造ロットと同義のときもありますし、少し範囲が違う場合もあります)

また今年に入り、シードロットという製法を用いている場合について、一定の条件のもと「異常毒性否定試験」、「安全試験」及び「力価試験」を廃止するという改正を行うためのパブリックコメントも実施されました。国家検定用の基準と企業のための検定基準の両方について2件のパブコメでした。

4月27日、これら4つのパブコメの結果が公表されるとともに、動物医薬品検査所長通知「『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係事務の取扱いについて』の一部改正について」(30動薬第51号、新旧対照表)が出され、新しい動物用生物学的製剤基準通則及び検定基準通則も掲載されました。一部ワクチンの製剤基準・検定基準も改正されています。

また、公益社団法人日本動物用医薬品協会にも通知がされています。(この通知を読むのが、一番流れがわかりやすいかもです)

TABSTについては、日本では省略ができるようになった形ですが、既にEUでは要件から削除されているため、パブリックコメントでは日本でも今後削除を検討するよう求めました。農林水産省からは、今回の改正後に実績が積みあがればそれを見て検討していくと聞いていますが、パブコメでは「省略要件については、ガイドラインの見直しの際に引き続き検討します」との回答でした。

「異常毒性否定試験」、「安全試験」及び「力価試験」の廃止については、「シードロット製剤が上記VICH GL50R及びVICH GL55と同一の条件を満たす場合には」という条件の上で廃止になりました。

パブコメ回答では「動物実験の3Rを今後とも推進してまいります」とあり、今後も動物の使用数の削減に取り組んでほしいと願います。

またどれくらい減るのかを可視化するために国家検定に用いられた動物の使用数の公表についても要望しましたが、これは回答とは別枠の扱いとなり、「今後の行政運営の参考に致します」との回答でした。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係事務の取扱いについて(平成12年3月31日付け12動薬A第418号農林水産省動物医薬品検査所長通知)の主な改正箇所(抜粋)

[新設]
(3)シードロット製剤における特定動物試験の省略について
シードロット製剤の最終小分製品に規定される試験項目のうち、「対象動物を用いる安全試験」、「実験小動物(マウス、モルモット)を用いる安全試験」、「生ワクチン成分(含有量試験のある成分に限る。)の力価試験(発痘試験等力価に相当する試験を含む。)」及び「異常毒性否定試験」(以下「特定動物試験」という。)については、VICH GL50R及びGL55と同一の条件を満たす
場合は省略する事を可能とする。
(以下略)
 

別添2 動物用医薬品等の承認申請資料のためのガイドライン等の主な改正箇所(抜粋)

[新設]
5-5 動物用生ワクチンの対象動物バッチ安全試験省略要件(VICH GL55)
1序言
VICHの参加地域における動物用ワクチンのバッチ販売のためには、対象動物又は実験動物を用いたバッチ安全試験データの提出が必要とされている(EUでは、すでにTABSTは要求されていない。2の(2)のア参照。)。VICH運営委員会は、異なる国の規制当局に対し個々に試験を実施する必要性を最小限にするために、地域全体のバッチ安全試験の統一化を目指すことを決定している。しかし、地域間の要求事項に大きな相違があるため、段階的取組を採用するとの結論を下した。
第一段階として、動物用不活化ワクチンの対象動物バッチ安全試験省略要件の統一化に関するGL50が作成され2013年に採択された。第二段階として、現在、生ワクチンの対象動物バッチ安全試験(TABST)に焦点を当て、この試験が要求される地域における省略要件の統一化に重点的に取り組んでいる。さらに、VICHは実験動物バッチ安全試験の省略要件の統一化にも取り組んでいる。
このガイドラインは、VICHの原則の下で作成され、TABSTの省略を受け入れる政府規制当局のために統一基準を提示する。地域限定の流通製品に対して類似の取組をするためには、このVICHガイドラインの使用が強く奨励されるが、あくまで地域の規制当局の判断による。さらに、代替法を実施する科学的に正当な理由があるときは、このガイドラインに必ずしも従う必要はない。
世界的にTABSTを省略することは通常のバッチ販売のために供試される動物数を減少させるため、奨励されるべきである。

(1)ガイドラインの目的
このガイドラインの目的は、安全試験が要求される地域の動物用生ワクチンのTABSTを省略するために要求される資料の基準に対して
国際的に協調した勧告を与えることである。

ア背景
実験動物及び/又は対象動物を用いる最終製品に対する大半のバッチ安全試験は、一般安全試験として考えることができる。これは幅広い動物用ワクチンのグループに適用され、製品が対象動物に対して安全であるという一定の保証を与える。すなわち「生物学的製剤に起因する好ましくない反応」(9CFR(米国))、「異常な変化がないこと」(動物用生物学的製剤基準(日本))又は以前欧州で要求されていた「異常な局所又は全身性反応」を検出する。この20年にわたって、バッチ安全試験の妥当性は、規制当局及びワクチン製造業者によって疑問視されている(Sheffield and Knight,1986年;van derKamp, 1994年;Roberts and Lucken, 1996年;Zeegersら, 1997年;Pastoretら, 1997年;Cussler, 1999年;Cusslerら, 2000年;AGAATI, 2002年;Cooper, 2008年)。特に、GMP及びGLP
(OECD, 1998年)、又はワクチン製造に関する地域の要求に適合した同様の品質保証システム及びシードロットシステムがワクチン製造に導入されたことが、バッチ製造の一貫性を非常に高め、それによって、これらの品質と安全性を非常に向上させている。また、これは動物用ワクチンのバッチ管理に対する考え方が従来の主にin vivo試験に基づく手法から、主にin vitro技術に基づく製造の一貫性を裏付けることに重点を置く方向へと品質管理に対する考え方に影響を与えている(Lucken, 2000年;Hendriksenら, 2008年;de Mattia ら, 2011)。動物用不活化ワクチンのTABSTに関するVICH GL50の最終決定に続き、このガイドラインは生ワクチンの対象動物バッチ安全試験省略要件を記載している。

(以下略)

動物用生物学的製剤基準のの改正箇所

パブリックコメント結果公表

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