動物実験用のSPFマウスでも衛生証明書の不備で輸入ができず、殺処分された事例が!

別件を調べていて、東京税関へ情報公開請求をした書類の中から、驚くべきものが出てきました。

平成28年(2016年)のことですが、日本へ空輸されてきたSPFマウスが、衛生証明書の不備のため、殺処分されていました。

SPFマウスとは、マウス固有の特定の病原菌を保有していないマウスのことで、実験動物とみて間違いありません。

「滅却(廃棄)申請書」とは、日本に運ばれてきたものの、何らかの事情によって輸入ができなくなった物(輸入者の都合による場合もある)の処分を税関に申請する書類ですが、生きている動物の輸入の場合は、必ず死体の処分についての申請になります。

滅却(廃棄)の理由欄に

「輸出国発行の証明書不備により、輸入が出来ない為
また、それにより成田空港検疫所所長より殺処分の指示の通知が出た為」

と書かれていますが、輸入に必要な証明書とは衛生証明書です。

げっ歯類の場合、感染症法の定める規制により、ペスト、狂犬病、サル痘、腎症候性出血熱、ハンタウイルス肺症候群、野兎病、レプトスピラ症を持っていないことが証明されていない限り、日本に輸入することはできません。

輸入できない場合、本当は輸出国への返送も選択できるのですが、実験動物の場合、クリーン化された施設から一度出した動物を再び戻して実験や繁殖に使うことはあり得ません。

それくらい病原体に対して神経を使っている業界なのに衛生証明書が不備で輸入ができないとは驚きますが、日本側で殺処分するしかない状況だったでしょう。

感染症法は人の健康や安全を守るための法律で、違反を見逃すことは、イコール、感染症を見逃すことです。

わざわざ輸入したのですから、何か特殊なマウスであった可能性もありますが、そういうことも考慮されませんし、仮に輸出国に戻したとしても殺処分されたでしょう。

この事例では、輸出側も輸入側も、実験動物を販売する企業なのか、研究機関なのかわかりません。エキゾチックアニマルと違って、衛生証明書が偽造ということは、ないのではないか……とは思ってしまいますが、その想像が当たっているかどうか、何があったのか、個別の詳しい事情は明かされません。

ちなみに、SPFマウスはどうやってつくるかというと、安楽殺した妊娠マウスから帝王切開で子宮ごと切り出して、そこから胎児を取り出し、クリーンな環境下にいる里親マウスに授乳させる方法や、雌雄のマウスを安楽殺して精子・卵子を取り出し、受精させて胚をつくり、それをクリーンな環境下にいる偽妊娠マウスの卵管内に手術で移植し出産させる方法などがあります。

こうして、実験以前にも犠牲や苦痛を伴いながら行われているのが動物実験です。

動物の命はとても軽く、輸入に失敗して「消耗品」が殺処分されたことくらいで、関係者にしてみれば、なぜ驚かれるのかわからないくらいかもしれません。

何か問題があったとしても、研究が遅れるとか、商売に差し支えるとか、そんな理由が想像できてしまいます。

しかし、現実にはこのようなことが起きていました。

注:1か所の税関の保有する書類のうち、さらに一部に限定してしか開示請求をしていないので、全国的に事例がこれだけかどうかまでは調べていません。

動物実験用だけが優遇されたげっ歯類の輸入

2005年に陸生哺乳類と鳥類を対象とした輸入届出制度が発足した当時、げっ歯類については、厚生労働大臣の指定した施設からしか輸入ができなくなるなど、ほかの動物種より厳しい規制となりました。

これに対して動物実験関係者から「いちいち施設の指定を受けるのは面倒である、衛生管理がされていることが普通なので厳しすぎる」等の不満が出て、結果として規制緩和が行われてしまいました。

齧歯目に属する動物のうち「高度な衛生管理がなされたものであって、厚生労働大臣が定める材質及び形状に適合する容器に入れられているもの」に限り、以下の条件をクリアしていれば、厚生労働大臣による施設の指定は不要になったのです。

実態として、実験用マウスの輸入がかなりあること自体が問題だと思いますが、やはりここでも、動物実験関係は優遇されていると思わざるを得ません。

1 齧歯目に属する動物が次のいずれにも該当する保管施設において、他の区域から隔離され、当該齧歯目に属する動物以外の動物が存在しない場所で出生以来保管されていたこと。
(1) 獣医師その他の関係者から構成される協議会の監督を受けて飼養管理(当該齧歯目に属する動物及びその繁殖、出荷、死亡等に関する情報の管理を含む。)及び衛生管理が行われていること。
(2) 動物の侵入を防止するための措置が講じられていること。
(3) 動物が当該施設に持ち込まれる際に、感染性の疾病の病原体に汚染されていないことについての確認が行われ、動物を介して人に感染するおそれのある疾病の病原体の侵入が防止されていること。
(4) 施設内の動物に対し、感染性の疾病の病原体の有無に関する検査が定期的に行われていること。
(5) 帳簿を備え付けて当該齧歯目に属する動物の飼養管理及び衛生管理に関する事項を記録し、かつ、当該帳簿を保存していること。

2 出生以来、感染性の疾病の病原体を用いた実験の用に供されていないこと及び当該実験の用に供された動物と接触していないこと。

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