この本は、大学の動物実験施設で働く「テル」さんの毎日を追ったノンフィクションです。
仕事は、実験動物たちのお世話や看護。実験動物たちが、大学の施設でどういう生を生き、そして実験を経て、どのようにしてこの世を去るのか――あまり知られていない本当のことがわかる、とても貴重な本です。
「動物実験は、どうして必要なの?」
帯に、そう書かれているのを見たとき、大学の先生が、動物実験が必要な理由を書いている本かな?と思いました。そして、その通り、どうして今の科学が動物実験を避けられないのかが書いてありました。
でも本を読み終わって、ぶーちゃん(豚さん)たちや、ビーちゃん(ビーグル犬)たちが耐えた動物実験のことを思い出すと、「あれ? どうして必要なのかな?」という気持ちが、わき起こります。彼らが、「どうして?」と私たちに聞いているようにも思えます。
データや論文に書いてあることだけではない、動物たちの姿を知ってください。
少し難しい医学の話も出てきますが、小学校高学年くらいからを対象にしているので、わかりやすく書かれていると思います。この夏、読書感想文にも最適な1冊。ぜひ手に取って、実験施設にいる動物たちに思いをはせてください。
「ありがとう、実験動物たち」
笠井憲雪監修、太田京子著 岩崎書店 本体1,300円+税 A5・144ページ
動物たちの現状について知り、ライフスタイルを見直そう!読んで広める、買ってプレゼントする、感想文やレポートを書く、図書館に購入をリクエストするなど、本を通じてできるアクションもあります。動物倫理トム[…]