遺伝子組み換えカイコ 展示 消費者の部屋

【8/9パブコメ締切】違法に使用されていた遺伝子組換えカイコについて、開放系での産業利用承認がなされます

遺伝子組み換えカイコ 展示 消費者の部屋
写真は、農水省で展示されていた遺伝子組み換えカイコの光る繭でつくったクリスマスツリー

明日8月9日まで、環境省と農水省で、カルタヘナ法に基づく遺伝子組換えカイコの第一種利用を1件承認にする件について、パブリックコメントが実施されています。

第一種利用とは、拡散防止措置のとられていない開放系での利用です。第二種は、研究施設など拡散防止措置がとられた場所(閉鎖系)での実験利用等が対象ですが、第一種は、拡散防止措置をとらずに、産業利用する際の承認になります。遺伝子組み換え作物の場合でいうと、実際に畑に種がまかれる実用化の段階です。

ですので、今回パブリックコメントの対象となっている遺伝子組み換えカイコは、一部条件はつきますが、ふつうのカイコと同じような場所で飼育・利用してよいということを国が承認することになります。

そして今回対象となっている遺伝子組換えカイコは、緑色に光る糸を吐き出すように遺伝子組み換えされていますが、ふつうのカイコと見分けがつくように、ブラックライトを当てると目が緑に光るように遺伝子改変されているそうで、大変驚きました。

さらに問題なのは、今回対象となっている遺伝子組換えカイコには、今年5月にカルタヘナ法に基づく農林水産大臣の確認を受けることなく、法令に違反した状態で飼育・繁殖・提供されていたことが発覚し、群馬県蚕糸技術センターが行政処分を受けたカイコが含まれます。

このとき、それだけではなく、結局おとがめなしになっていますが、2017年に3回、2018年に1回、未承認の緑色蛍光の遺伝子組み換えカイコが群馬県蚕糸技術センターから一般の養蚕農家に出荷されていました。これに関与した農研機構も厳重注意を受けています。

この違法使用によって得られた緑色蛍光の絹糸は、企業の試作品に用いられていると農水省は言っています。本来なら焼却処分等するべきではないかと思いますが、市販品に回っていないということで、そのままお目こぼしとなっているようです。試作品が何の試作品なのかも、農水省は把握していません。話では着物や帯などではないかと感じましたが、以下の記事が問題の遺伝子組み換えカイコのことを述べているのは間違いないとみられ、インテリアやアート作品などの用途で用いられるようです。

『蛍光シルク』、新ビジネスに期待 繭を商用で初出荷 群馬より抜粋
Sankei Biz 2017.12.25

 昨年、京都市の織物会社「細尾」から、緑色蛍光シルクを作るカイコを大量に育ててほしいと依頼があった。同社は美術家が2015年に発表した緑色蛍光シルクを使った作品づくりに携わった経験があり、闇の中に浮かぶように光り輝く作品の出来栄えや国外からの反応に、細尾真生社長(64)が「可能性を感じた」という。インテリアなどでの商品化を検討し、世界的なアーティストとの企画も考えている。

 センターの実験施設内だけでは大量のカイコを育てられないため、農林水産省と環境省の許可を得て前橋市内の農家が協力。計12万匹が育った。できた繭は約176キロ。青色LEDライトなど特定の波長の光を当てフィルター越しに見ると、幻想的な緑の光を放つ。

このときの行政処分等の内容は下記に転載した通りですが、法令に違反して無断で使用された遺伝子組換えカイコについて、産業利用を追認で認めてしまうということがあってよいのでしょうか。

昆虫には中枢神経はなく、私たち哺乳類と同じような苦痛を感じるとはされていないのが実情ですが、例えば捕まえようとすれば逃げる反応はあり、何を持って苦痛とするかが問題になるだろうとカイコを動物実験に用いている専門家は以前言っていました。知見はまだまだこれからなのに、遺伝子組み換えによりカイコが不具合を得ていないと断言できるのでしょうか。なにより、このような異様な生物改変を私たちの社会は許してよいのでしょうか。

しかも、単に奇をてらったインテリアなどという目的のために。

カルタヘナ法は、生態系破壊になるかどうかの観点しかない法律ですが、問題は私たちが、このような遺伝子改変を是とする社会を受け入れるのかどうかにあります。

またそもそもシルク自体、繭をつくった段階でカイコを茹で殺してつくる残酷な織物です。近年の「エシカル」の潮流のなかで、カイコを殺さず、自然に羽化したあと残された繭玉から紡ぐ「ピースシルク」も注目を浴びています。犠牲のないファッション、インテリアを求める声も、共に届けましょう。

ちなみに、生態系に影響がないかどうかを見るために、野生のクワコ(カイコの原種)を捕まえて殺して調べることも継続的に行われます。

対象となる遺伝子組み換えカイコ

遺伝子組換え生物等の種類の名称
緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ(HC-EGFP、Bombyx mori)
HC-EGFP ぐんま(ぐんまとの交配後代を含む。)、HC-EGFP 200(200 との交配後代を含む。)、HC-EGFPぐんま×HC-EGFP 200、HC-EGFP ぐんま×200、ぐんま×HC-EGFP 200

第一種使用等の内容
カイコの繭糸の生産を目的とした、①幼虫(3齢幼虫期以降のものに限る。以下同じ。)の飼育、②繭の生産及び加工、③幼虫及び繭の保管、運搬及び廃棄並びに①から③までに付随する行為

ちなみに、今回のパブリックコメントにかかっている遺伝子組み換えカイコの詳細について、申請者である農研機構に問い合わせようとしたところ回答拒否でした。下記参照。

日頃より農研機構の研究活動にご理解とご関心をいただき、御礼申し上げます。
広報課よりご連絡を差し上げております。

残念ながら農研機構では、承認申請中の内容についてはお答えすることが出来ません。
恐れ入りますが、農林水産省消費・安全局農産安全管理課にお尋ねください。

ご期待に添えず残念ですが、事情ご賢察のうえ、ご理解くださいますと幸甚です。

農研機構

産業として実用化しようとしているにもかかわらず、国民に説明できないというのは一体どういうことなのでしょうか。

ぜひ、一言でもかまいません、承認に反対する意見をお送りください! 

応募要項・応募フォーム

  • 意見公募要領
  • 別添(意見・情報の募集の対象となる第一種使用規程の承認 申請案件)
  • 審査報告書(資料)
  • ※応募フォーム:下記のページ下部にフォームへのリンクボタンがあります。

    締切:8月9日(金) ※郵送の場合は同日必着

    参考資料

    カルタヘナ法違反について(プレスリリース転載)

    カルタヘナ法に基づく行政処分等について ※環境省サイトより全文転載

     農林水産省は、本日、群馬県蚕糸技術センター(以下「センター」という。)に対して遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。以下「カルタヘナ法」という。)に基づく行政処分を行いました。

    1 被処分者の内容

     名称 群馬県蚕糸技術センター
     所在地 群馬県前橋市総社町総社2326番地2

    2 処分内容

     カルタヘナ法第14条第1項に基づき、HC-EGFP 遺伝子導入緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ(200×HC-EGFPぐんま(以下「当該カイコ」という。))の使用等を中止するとともに、当該カイコについて拡散防止措置を執ることを命じた。当該カイコを使用等する場合には、改めて農林水産大臣の確認を受けることを命じた。

    3 処分理由

     カルタヘナ法第13条第1項の規定に基づく拡散防止措置について農林水産大臣の確認を受けずに遺伝子組換えカイコを第二種使用等していたこと。

    4 その他

     本件は、第二種使用等の申請書に記載されていない系統である当該カイコをセンターが農林水産大臣の確認を受けたものと誤認して、平成29年度及び平成30年度に使用等を行っていたため、当該カイコの使用等の中止を命じたものです。

     また、センターと、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「農研機構」という。)が選定した養蚕農家において、第一種使用等の申請書に記載されていない系統である当該カイコが第一種使用等(運搬、飼育、繭生産等)されたことも確認されたことから、農林水産省及び環境省は、第一種使用等の承認を受けたものと誤認したセンター及び農研機構に対し、再発防止の観点から行政指導を行いました。あわせて、その他関係者も含め、法令及び関係通知の理解及び遵守について、引き続き周知徹底するとともに、誤認のないよう申請者に対する確認なども徹底してまいります。

     さらに、農林水産省及び環境省は、当該関係者への立入検査や報告徴収等により、当該カイコが生きた状態で施設内に存在していないこと及び環境中に逸出していないことを確認しており、生物多様性に影響が生じる可能性は低いと考えられます。

     なお、当該カイコについて改めて申請され、第二種使用等については拡散防止措置が適切であること、第一種使用等については生物多様性への影響が生ずるおそれがないことが確認できれば、使用の再開が可能です。

    (注)第一種使用等:環境中への拡散を防止しないで行う使用等
       第二種使用等:環境中への拡散を防止しつつ行う使用等

    (参照条文)
    遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律 抄(平成15年法律第97号)

    (定義)第二条 (略)
    2 (略)
    3 この法律において「使用等」とは、食用、飼料用その他の用に供するための使用、栽培その他の育成、加工、保管、運搬及び廃棄並びにこれらに付随する行為をいう。
    4 (略)
    5 この法律において「第一種使用等」とは、次項に規定する措置を執らないで行う使用等をいう。
    6 この法律において「第二種使用等」とは、施設、設備その他の構造物(以下「施設等」という。)の外の大気、水又は土壌中への遺伝子組換え生物等の拡散を防止する意図をもって行う使用等であって、そのことを明示する措置その他の主務省令で定める措置を執って行うものをいう。
    7 この法律において「拡散防止措置」とは、遺伝子組換え生物等の使用等に当たって、施設等を用いることその他必要な方法により施設等の外の大気、水又は土壌中に当該遺伝子組換え生物等が拡散することを防止するために執る措置をいう。

    (遺伝子組換え生物等の第一種使用等に係る第一種使用規程の承認)
    第四条 遺伝子組換え生物等を作成し又は輸入して第一種使用等をしようとする者その他の遺伝子組換え生物等の第一種使用等をしようとする者は、遺伝子組換え生物等の種類ごとにその第一種使用等に関する規程(以下「第一種使用規程」という。)を定め、これにつき主務大臣の承認を受けなければならない。ただし、その性状等からみて第一種使用等による生物多様性影響が生じないことが明らかな生物として主務大臣が指定する遺伝子組換え生物等(以下「特定遺伝子組換え生物等」という。)の第一種使用等をしようとする場合、この項又は第九条第一項の規定に基づき主務大臣の承認を受けた第一種使用規程(第七条第一項(第九条第四項において準用する場合を含む。)の規定に基づき主務大臣により変更された第一種使用規程については、その変更後のもの)に定める第一種使用等をしようとする場合その他主務省令で定める場合は、この限りでない。
    2~7 (略)

    (主務省令で定める拡散防止措置の実施)
    第十二条 遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする者は、当該第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置が主務省令により定められている場合には、その使用等をする間、当該拡散防止措置を執らなければならない。

    (確認を受けた拡散防止措置の実施)
    第十三条 遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする者は、前条の主務省令により当該第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置が定められていない場合(特定遺伝子組換え生物等の第二種使用等をする場合その他主務省令で定める場合を除く。)には、その使用等をする間、あらかじめ主務大臣の確認を受けた拡散防止措置を執らなければならない。
    2・3 (略)

    (第二種使用等に関する措置命令)
    第十四条 主務大臣は、第十二条又は前条第一項の規定に違反して遺伝子組換え生物等の第二種使用等をしている者又はした者に対し、第十二条の主務省令で定める拡散防止措置を執ることその他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
    2・3 (略)

    (報告徴収)
    第三十条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、遺伝子組換え生物等(遺伝子組換え生物等であることの疑いのある生物を含む。以下この条、次条第一項及び第三十二条第一項において同じ。)の使用等をしている者又はした者、遺伝子組換え生物等を譲渡し、又は提供した者、国内管理人、遺伝子組換え生物等を輸出した者その他の関係者からその行為の実施状況その他必要な事項の報告を求めることができる。

    (立入検査等)
    第三十一条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、当該職員に、遺伝子組換え生物等の使用等をしている者又はした者、遺伝子組換え生物等を譲渡し、又は提供した者、国内管理人、遺伝子組換え生物等を輸出した者その他の関係者がその行為を行う場所その他の場所に立ち入らせ、関係者に質問させ、遺伝子組換え生物等、施設等その他の物件を検査させ、又は検査に必要な最少限度の分量に限り遺伝子組換え生物等をことができる。無償で収去させる
    2・3 (略)

    第三十八条 第十条第一項から第三項まで、第十一条第二項、第十四条第一項から第三項まで、第十五条第二項、第十七条第五項、第二十六条第二項若しくは第三項又は第二十九条の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

    第三十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。一 第四条第一項の規定に違反して第一種使用等をした者
    二 (略)

    第四十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
    一 第十三条第一項の規定に違反して確認を受けないで第二種使用等をした者
    二~六 (略)

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