去年11月ですが、EUのジョイントリサーチセンター(JRC:共同研究センター)が、動物実験の3R(代替、削減、苦痛の軽減)に関する情報源の一覧を公表しました。
データベースといってもエクセルの表になっているだけですが、下記からご参照ください。
動物愛護法改正を求める活動をするなかでも、「義務化といっても何が3Rなのかわからないんじゃないか」といった声を聞きます。確かに、日本は知見の収集や整備も未発達で、国も「機関管理」(自主管理の別名)としているのをいいことに、まったく目安を示していませんし、やる気がありません。こんな中では、確かにイメージがわきづらいのかもしれません。なので参考までご紹介してみました。
EUは、昨年2月に情報を解析し、報告書「よりよい知見の共有による動物実験の削減」を公表しています。100万人署名の欧州市民イニシアチブ”Stop Vivisection”(下記参照)を受けた動きの一環です。
3Rに関する知見はあるが、その共有と教育訓練に問題があるといったことも示されていますが、日本に比べると格段に意識が違うと感じざるを得ません。
「科学における動物の使用の代替、削減、苦痛の軽減は、EUでは法的要件となっています。 この分野おける知見の共有は、完全な置き換えのためだけではなく、科学的ツールを進歩させるためにも重要です。」
■ 欧州市民イニシアチブ”Stop Vivisection”とEUの動物実験の段階的廃止について
2015年、既存のEUの実験動物保護規制を撤廃し、動物実験を段階的に排除する新しい法制度をつくることを提案する100万人以上の署名”Stop Vivisection”が欧州委員会に提出されました。動物で得られた結果はヒトにあてはめられず、最新の、より効果的で、ヒトについて予測できる手法に置き換える必要があることを根拠としています。
この署名は「欧州市民イニシアチブ(European Citizens’ Initiative:ECI)」に基づくものです。このECIとは、駐日欧州連合代表部のサイトによると、「EUが権限を持つ政策分野について、加盟国7カ国から計100万人以上の署名を集めれば、欧州委員会に対して立法を提案することができる制度」となっています。欧州委員会は提出から3カ月以内に対応を決めなければなりません。効力のある制度のためか、当時、EUでは科学者サイドもかなり反応していました(反発ですが)。
2015年6月3日、欧州委員会は、この”Stop Vivisection”に対する回答を公表しました。欧州委員会は、動物実験がヨーロッパで段階的に廃止されるべきであるという確信については共有しているが、その目標を達成するためのアプローチは、この市民イニシアチブで提案されたものとは異なるとしています。
欧州委員会は”Stop Vivisection”が廃止を求めている現行のEUの実験動物保護指令(2010/63/EU)の目的は動物実験の段階的廃止であり、この指令の廃止は行わないとしました。
そもそも、2010年に改正されたEUの実験動物保護指令には、「動物実験の完全代替という最終目的のための重要な一歩」ということがもともと書き込まれているのです。
署名の要望は拒絶されたものの、動物実験代替法3Rsの開発促進や、それらを規定した上記指令の3Rsに関する遵守状況の確認がまずなされるべきだとする通知が公表されました。動物試験を代替する方法の早急な開発が加盟各国に要請されています。