今年8月、アメリカのアクアバウンティという企業が、史上初の遺伝子組み換えサケを出荷していたことを公表しました。他の魚の遺伝子を導入することによって成長速度を2倍にしたサケです。
アメリカで認可された際に「フランケンフィッシュ」として大きな社会問題となりましたが、その後、カナダでも認可されていました。
このGMサケ「アクアアドバンテージ」は、カナダのプリンスエドワード島で受精卵をつくり、それをパナマに輸送し、養殖を行っています。それがさらに食品として出荷されたのはカナダ国内ででした。そして驚くべきことに、カナダでは遺伝子組み換えサケであることは表示しなくてもよいのだそうです。
このサケは食べた場合の安全性について日本では未審査であり、日本で売ることはできません。しかし既にカナダで流通していることがわかったことを受け、日本政府は8月31日から、輸入サケやサケの卵(すじこ、いくら)及びそれらの加工品について、遺伝子組み換えではないかどうかの検査を開始しています。
といっても抜き取り検査ですから万全とは思えませんが、我が国にしてはやけに迅速な対応ではないでしょうか。それだけ、気づかずに市場に出回る可能性があるのか、いや風評被害的な影響を気にしているのかと、いろいろ疑ってしまいます。
初の遺伝子組み換え動物食品が既に世に食品として流通していることにやはり衝撃を受けます。厚生労働省が実際に検査を開始していることからも、その存在をますます身近に感じます。
さらに時代はゲノム編集にシフトしており、人間の産業にとって有利に有利にと動物の体を操作することが当たり前のようになってきています。しかし、それらの生命操作に倫理的な問題はないのか、また動物の身体に直接に苦痛を与えるものではないのかということは、問うていかなければならない問題です。
これを受けて「平成29年度輸入食品等モニタリング計画」も改められていることが通知されています。