株式会社マンダムと国立大学法人大阪大学が、2020年3月1日付けで、研究に関する協定を締結したというプレスリリースを公表しました。
研究者が「企業と大学」など複数の機関に所属しながら、研究開発や教育に従事することを可能にする「クロス・アポイントメント制度」という制度を活用し、動物実験代替法の開発を加速させるという内容です。
クロス・アポイントメント制度は、近年、国も積極的な導入・活用をうたっているもので、大阪大学薬学研究科では2例目になるそうです。
具体的には、こう書かれていました。
この協定において、マンダム製品保証部評価分析室に所属する女性社員1名が、大阪大学大学院薬学研究科にも所属し、「動物実験に依らない安全性試験方法の構築」の研究に従事します。当女性研究者にとってはアカデミックな立場で研究に取り組むことでのモチベーション向上と視野拡大につながり、異分野の研究者との交流が盛んになることで、動物実験代替法開発の加速が期待できます。
すごい!
そして、このグッドニュースをあえてご紹介したいと思ったのには、理由があります。
企業と大学との共同研究等には、実のところ、企業が表向き「動物実験を行っていない」というスタンスを保ちながら大学の研究者に動物実験を行ってもらうことで抜け道として活用できるという側面があるからです。
これまでPEACEも参加する美しさに犠牲はいらないキャンペーン実行委員会が交渉してきた企業でも、大学との共同研究等が行われていた事例が複数あり、PEACEでは契約書や実験計画書等の情報公開請求を大学側に対して行ってきました。
共同研究についても動物実験を行わないことを、これら企業については確認してきましたが、まだ私たちが詳細を確かめていない企業では、この抜け道が使われているかもしれません。
また、日本でも化粧品会社などが動物実験をしづらくなってきていることを受けて、今後一層、この抜け道が使われてしまうのではないかという懸念も持っていました。
そういうなか、あえて動物実験代替法の研究開発について企業と大学が協定を結び、それをプレスリリースとして公表もするというのは、とても心強い動きでした。
これからもぜひ、動物実験ではなく、脱動物実験へ向けて、企業と大学が手を取り合って進んでほしい!と願っています。
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