死体の埋設だけではなかった神戸市立六甲山牧場の不適正事案

六甲山牧場

3月19日、観光牧場である神戸市立六甲山牧場(神戸市灘区)が、敷地内に動物の死体を埋め、違法に処理していたという報道がありました。

神戸新聞によると、「2013年ごろから19年11月までの間、飼育担当の職員9人が、老衰で死んだり死産だったりしたヒツジやヤギ、ブタ、ウサギ、アヒル、モルモットの死骸計約60匹を敷地内の複数箇所に埋めていた」。六甲山牧場、死んだ動物を埋めて処理 敷地内にヒツジやヤギ約60体 神戸新聞 2020年3月19日)

そして、六甲山牧場の運営を行う神戸市の外郭団体、一般財団法人神戸みのりの公社が記者会見を行ったとも書かれていました。(公社は、いわゆる第三セクターです)

会見では、公社の理事長から、「飼育員の間で(死骸処理の)マニュアルが徹底されず、前例踏襲の中で『そこに埋めといたらいいんじゃないか』という安易な発想があったようだ」「飼育員に法令違反の認識がなかった」との説明があったとのこと。(六甲山牧場の飼育員「埋めたらいい」 マニュアル徹底されず、違法認識なし 神戸新聞 2020年3月19日)

正直、これを見たとき、自分の土地に動物の死体を埋めている動物業者はけっこういるのではないか?と思ってしまいました。

公社に確認したところ、事業者の出す廃棄物なので、埋設は廃棄物処理法違反となる(正確には、こちらの補足記事をご覧ください)。家畜が含まれているので、化製場法にも違反するのでは?と思いましたが、それも認めていました(ヒツジ・ヤギ・ブタ)。法律違反については、既に公社のほうから警察に通報済みとのことです。

衛生問題についても気になりましたが、死体が埋められていた土地は来場者が入る場所ではなく、既に石灰で消毒し、神戸市の保健福祉局の指導も受けているとのことでした。

死体をなぜ埋めてしまったかというと、休日だから正式な処理は面倒でということもあったが、お墓のような意味合いで、例えば死産の子を母親に近いところに埋めてあげたいといったこともあったと言っていました。もしそうなら心情的には理解できなくはないですが、ただ、お墓をつくったわけでもないそうなので、社会的に問題になるような、ただ単なるゴミの処理としての埋設と見かけ上は区別ができないです。

特に、年間30~40匹、生まれた子羊を売ることはあるとのことなので、畜産関連の事業者としても「死体の処理は適切にやるように」ということにはなるでしょう。食肉にするためにと畜場へ送ることはしていないそうですが。

実は堀井動物園も産業廃棄物法違反を起こしたことが記録にあるのですが、守山警察署は始末書を書かせて終わってしまいました。近隣からの苦情が端緒となっていてもです。

一方で、同じ法律違反でも真面目に記者会見までやっているところもあることに、実のところ、驚きを禁じえませんでした。もちろん市立の施設だから当然ではありますが、動物業者の不法行為に慣れてはいけないな!と、なぜかこちらが心新たにしてしまいました。

ただ、ウェブサイトを確認したところ、たったこれだけしか載っておらず、詳細の報告がなかったのはがっかりです。

六甲山牧場の不適正事案について

このたびは、死亡した飼育動物等の不適正な取り扱いがあり、お客様をはじめ関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。
今後は、適正な取り扱いを徹底していくとともに、安心して、ふれあい、楽しんでいただける牧場として全力で取り組んでまいります。

2020/03/19

神戸市からの公表内容は、別の意味で驚き!

六甲牧場は神戸市立の施設ですから、神戸市のサイトも見てみようと思い確認したところ、「神戸市からの要請に基づく外部調査の結果について」という公表資料が載っていました。3月19日付けです。

報道では動物の死体以外の部分があまり詳しくなかったですが、別の意味で驚くことが書かれていました。

  • 前役員が、売店改装工事において、実績等から特定の業者に依頼することが適切と判断し、契約事務審査会において十分な議論がなされずに随意契約を行っていた。
  • 前役員が、業務とは関係ない移動に公用車及びETCカードを利用していた。
  • 前役員が、販売促進目的のイベントにおいて、来賓等へ接遇として振舞うことに合わせて、販売用ワインを自らも飲んでいた。
  • 前役員により適正な範囲を超える不適切発言があった。

職場の雰囲気は推して知るべしです。「前」役員となっているので、既に役員ではないのでしょうが、改善されて風通しが良くなっていることを願います。職員が抑圧されているのは、動物の飼育にとっても、いいことと思えません。

そもそも、これらの不適切事案の発覚が、同じく神戸市の外郭団体である「神戸新交通」の不祥事に端を発した外部調査がきっかけだというのも驚きました。臨時の情報提供窓口が設置され、アンケート調査等も行ったため、不適切事案が浮かんできたわけです。

しかし、上に挙げたような役員の素行問題より、死体の不適切な処理のほうが大きく報じられていたことは注目に値します。違法性があったからだと思いますが、動物業界は、このことを重く見るべきではないでしょうか。

動物の死体等については、以下の通り報告されています。

2.事実が確認された事案に対する是正措置等について

〇不適切な事務処理に関するもの

<概要1>
六甲山牧場において、飼育を担当する職員が、平成25年ころから令和元年11月の間、死亡した動物(めん羊・山羊・豚・うさぎ・あひる・モルモット)を立ち入りできないエリアに埋却していた。

<是正措置等>
法令違反の疑いがあるため、警察への通報を行った。また、神戸市環境局・保健福祉局等への報告を行い、指導を受け安全性を確認した。
動物が死亡した際の処理マニュアル、動物の管理台帳の再整備及び管理状況等のチェック体制の再構築を行うなど再発防止策並びに土壌消毒等衛生上の対策を実施した。
関係職員に対して、処分を行う。

<概要2>
六甲山牧場において、飼育を担当する職員が、平成28年2月から平成30年9月の間、西側の未開放エリアに、食品として使用できない牛乳を散布していた。

<是正措置等>
法令違反の疑いがあるため、警察への通報を行った。また、神戸市環境局への報告を行い、指導を受けている。
平成30年10月以降は、堆肥化処理により是正しているが、処理方法の徹底を図った。
関係職員に対して、処分を行う。

職員の処分について

3月24日に、みのりの公社の職員の処分が公表されており、動物死体の埋却を指示した職員1名は停職7日間、埋設を行った職員2名は戒告、六甲山牧場における不適切事案についての管理監督責任については職員1名が減給(平均賃金1日分の半額)となりました。

また、この4名以外の職員6名に対しては厳重注意となり、理事長は報酬月額の10分の1(1か月相当)の自主返納、前役員は公用車の業務外利用としてのETC・ガソリン代と在任時の報酬月額の10分の1(2か月相当)の返納を行うこととなりました。(「神戸市からの要請に基づく外部調査の結果」に対する処分について

神戸市どうなってるの?

神戸市立の施設については、令和6年から須磨海浜水族園が民営化します。シャチを導入するとか、神戸市どうなっちゃってるの?と商業主義路線にばかり目が行っていましたが、以下の市長の会見での発言などを見ると「うみを出し切る」とまで言っています。ポストにあぐらをかいて、おいしい汁を吸っている人間がいることや、外郭団体の怠慢な体質が、むしろ問題になっているのだなと思いました。

実は、神戸市が須磨海浜水族園で飼育されている動物のことを全く把握しておらず、須磨海浜水族園に直接問い合わせるように言われた件について、同園に質問書を送っていました。指定管理者が変わる直前に回答が来ましたが、飼育数等、基本的なことについては回答できないとのことだったので驚きました。

鴨川シーワールドを経営する株式会社グランビスタ ホテル&リゾートに指定管理者が変わることで、より一層情報公開がなされなくなるのではないかと懸念をしていましたが、何のことはない、旧指定管理者も長年の管理にあぐらをかいていたのではないかと感じます。そもそも神戸市が飼育数すら把握していないのは、怠慢とも言える状態で、他の大都市の自治体とは決定的に体質が違うと感じます。

堀井動物園の問題でも、「一事が万事」ということをよく感じましたが、まさに死体の処理法だけの問題ではない。みのりの公社は六甲山牧場だけを運営しているわけではなく、ワイナリーや海づり公園などの運営も行う大きな組織です。そして、公社の問題だけではなく、神戸市全体の問題だということを感じます。

神戸市長 定例会見 2020年(令和2年)3月19日より

神戸みのりの公社の不適切行為について

記者:
それと、すみません、外郭団体で、きょう午前中に、神戸みのりの公社が六甲山牧場で動物の死骸を敷地内に埋めていたと。六甲山牧場はかなり観光面でも大事なところだと思いますけれども、それについて市長はどのように見ていますか。

久元市長:
極めて不適切な行為だというふうに思いますし、やはりこういうことが起きた原因というものをしっかりと調査・分析をして、そして、その原因をしっかりと踏まえた上での再発防止策、それから、やはり人事労務管理の確立、そしてガバナンスの強化と。みのりの公社は非常に多岐にわたる事業をやっているわけですが、やはり、市街地から離れた六甲山の上での出来事をきちんと把握できていなかったということですね。これはやっぱりガバナンスの問題だと思いますから、これをぜひ確立してもらうということだと思います。

同時に、私は、神戸市の外郭団体についてはいろいろな問題が隠れているのではないか、潜んでいるのではないかと、わかりませんが、そういうふうに考えてきました。やはり、新交通の問題が起きたということは、ほかの団体は全く違うとは言えないと思うんですよね。わからないんですけどね。

私は、新交通の問題が起きてから、全ての外郭団体に対して調査を行ってもらうことにしました。調査も、それぞれの団体の自主的な判断ではなくて、統一的なひな形、やり方を示すことにしました。それは、神戸ではない東京の法律事務所に通報窓口をつくって、そして、外郭団体の職員が、これは匿名でもよかったんですね。

職員:
はい。

久元市長:
匿名で通報することができるようにしたわけです。そして、その通報によって、今回のこのみのりの公社の不祥事案も明らかになったわけです。

やはり今回、これは非常に残念なことでしたけれども、神戸市がメスを入れることによって今回の事案が明らかになった。うみを全部出さないといけないと思います、隠れているうみを。今回これを、うみを出し切って、そして、それぞれの外郭団体が果たさなければいけない任務をしっかりと果たしていただくと、これに尽きると思います。

追記 その後の経緯

6月17日のMBSニュースによると、牧場を運営する「神戸みのりの公社」と、その幹部や飼育員ら合わせて11人が廃棄物処理法違反の疑いで書類送検されたとのことです。
2020年9月8日 牧場長と副牧場長について、神戸地裁で初公判。起訴内容を認めたとの報道がありました。(サンテレビ「六甲山牧場で動物死体の不法投棄に問われた裁判 職員2人が起訴内容認める」)

2020年12月10日 神戸地裁は、元牧場長の男に、廃棄物処理法違反により懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を下しました。報道によれば、「動物の管理責任者としての自覚が不十分」とした一方で、「利得を求めたものではなく、賃金の減額など一定の社会的制裁を受けている」などとしたとのこと。(サンテレビ「六甲山牧場の元副場長に有罪判決 敷地内に動物の死体を不法に遺棄」)

また、副牧場長も執行猶予付き有罪判決を受けているが、控訴しているとのことです。

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