世界各国の動物福祉レベルのランク付けなどで知られる国際的な動物保護団体WAP(World Animal Protection)から驚きのニュースが流れてきました。
9月18日、イギリスで、海外の低福祉な動物アクティビティのチケット販売や広告を禁止する法案が最終段階を通過したというのです。この規制が導入されるのは当初はイングランドと北アイルランドのみですが、世界各国の動物搾取産業にも影響を与える画期的な内容ではないでしょうか。
WAPも、世界に55万頭いるとみられる、娯楽産業に囚われた動物たちの苦しみを終わらせるための大きな前進だとしています。
Today is a massive victory for wild animals suffering for to…
驚いたので、イギリス議会の法案のページを確認しましたが、確かに通過していました。
WAPによれば、禁止の対象には、トラの子どもとのセルフィー撮影、ゾウとのふれあい、飼育下のイルカとの泳ぐ体験やイルカショーなどが含まれる可能性があるとのこと。何が規制対象になるかは、今後DEFRA(環境・食糧・農村地域省)が決定するとのことです。
WAPが特に言及しているのは、イルカについてです。世界中で 3,000 頭以上のイルカが娯楽のために苦しんでいますが、イルカは複雑なニーズを持つ認知機能の高い動物であり、飼育下では必要な要件を決して再現できません。自然界では広く深い範囲を泳いで暮らします。
イルカを用いたエンターテイメントは残酷かつ屈辱的なものであり、「観光客向けエンターテイメント」の背後には、はるかに暗い現実があります。イルカは芸を仕込むために食べ物を制限され、ショーの間ずっと大音量の音楽にさらされます。
イギリスにはイルカの飼育施設が 30 年間存在しておらず、最後のイルカの飼育施設は 1993 年 3 月に閉鎖されました。これは、イギリスのイルカ飼育に関する新しい規制が非常に厳しかったため、運営者が対応できなかったからです。
イギリス国内で残酷なイルカのエンターテイメントを許可しないのであれば、海外でもそれを支援してはなりません。イルカのエンターテイメントはこの法案の対象となるべきであり、旅行会社はチケットを販売・宣伝することでこの苦しみを煽ってはいけないとWAPは主張しています。
この法律が施行されたとき、国際展開している旅行会社のサイトはどのような対応をするのでしょうか。日本の多くの施設が、販売・宣伝禁止の対象になる可能性があるのではないでしょうか。
トリップアドバイザーは、世界中の何百万人もの消費者に利用されている旅行プラットフォームで、日本でも事業を展開しています。これまで、国際的な動物保護団体等の働きかけにより、クジラ目の動物(イルカ)を用いたアトラクションや、サーカスの野[…]
動物が見世物にされたり、不自然に調教を仕込まれたりする産業が花盛りなのは、旅行会社がツアーに組み込んだり、チケットを売ったり、宣伝したりしていることも大きく関係しています。そうした動物搾取産業との関わりを断つよう旅行業界や国等へ圧力[…]
2024年9月29日追記 この法律の施行に関連し、イギリス政府への要望に賛同しました。コピ・ルアク生産に関連して行われているジャコウネココーヒー・ツーリズムを対象に含めるべきとの意見書です。
コピルアク・ツーリズムを広告・販売禁止の対象に!イギリスでは、昨年、国外の観光業における低福祉な動物利用に関し、広告やチケット販売を禁止する「2023年動物(海外での低福祉活動)法」が成立しました。どういった動物利用アトラクションがこの[…]