〔補足〕動物の死体を敷地内に埋めて処理することについて

自らの敷地内に動物の死体を埋設することについて

先日、観光牧場である神戸市立六甲山牧場が敷地内に動物の死体を埋めていたことが廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律) 違反だという話がありましたが、質問を受けたり、疑問点が出てきたりしたので参考まで概略をまとめました。

廃棄物処理法では、「廃棄物」とは、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう」と定められており、動物の死体が廃棄物であることは明確です。(第二条第一項)

そして、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」という定めもあります(第十六条)。違反すると、いわゆる不法投棄です。事業で出る廃棄物については、「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」とも定められています(第三条第一項)。

ただし、動物の死体の場合、畜産農業に係るものは産業廃棄物、それ以外は一般廃棄物と扱いが違っており、いずれも勝手に埋めることはできませんが、一般廃棄物では、例外もあります。

概ね、以下の通りでした。

  • 畜産農業に係る動物の死体……産業廃棄物にあたる。産業廃棄物処理施設として許可を受けた場所以外に埋めることは違法。牛、馬、豚、めん羊及び山羊については、化製場法(化製場等に関する法律)の「獣畜」にあたり、同法の規制上も、許可なく埋めることはできない。
    死亡の原因が家畜伝染病予防法で定める家畜伝染病に該当する場合は、家畜伝染病予防法に従う。

    どこまでが畜産農業?

    日本標準産業分類「小分類:012 畜産農業」に該当する事業活動に伴って生ずる動物の死体が対象。

    (2) 畜産農業とは
    (ア) 乳用牛,肉用牛,馬,鹿,豚,いのぶた,いのしし,めん羊,やぎ,にわとり,あひる,うずら,七面鳥,うさぎ,たぬき,きつね,ミンクなどの飼養,ふ卵,育すうを行うことで,種付け目的のものも含まれる。モルモット,マウス,ラット,カナリア,文鳥などを実験用又は愛がん用に供することを目的として飼育する場合及びいたち,きじなどを森林保護又は種族保護を目的として人工的に増殖,飼育する場合も含まれる。
    (イ) 蚕の飼育及び蚕種の製造も含まれる。
    (ウ) 競馬などに専ら使用する目的で飼養しているもの及び家畜仲買商が一時的に飼養しているものは含まれない。
    (エ) 店舗で愛がん用の鳥獣を飼養する場合は含まれない。

    ※より詳しくは、日本標準産業分類「大分類A-農業,林業」のPDFを参照。(リンク先は、平成25年10月改定、平成26年4月1日施行の最新のものです)

  • それ以外の事業(動物園など)で出た動物の死体……一般廃棄物にあたる。運用は市町村ごとになっている。
    動物霊園事業で取り扱われる動物の死体については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二条第一項の廃棄物には該当しない。」との見解が国から出ている。伴侶動物の死体の項も参照のこと。
    実験動物の死体も、一般廃棄物との見解が出ている。「研究機関等から排出される実験動物の死体の処理について」(厚生省通知)

    • 神戸市は、動物園・水族館が敷地内に動物の死体を埋めることは不可としているとの回答。猪名川動物霊園で火葬できる。県外の処理施設で処理することもある。
    • イルカの死体を敷地内に埋設した犬吠埼マリンパークのある銚子市の場合、埋葬及び供養の目的にあたるものは廃棄物にあたらないとしている。公衆衛生上の問題や臭い等や土壌に問題が起きている等がある場合は指導する。
    • ある動物園が敷地内に埋めているとの情報が寄せられた某市の場合、そのことを承知していなかったので違法とも合法とも何とも言えない。埋葬等の目的であれば廃棄物には当たらないが、廃棄物を消滅させる目的や処分代を浮かせるために埋めるのは不法投棄にあたる。
    • ほか、個別の事例について把握してないので答えられない、動物の死体の扱いについて調べないとわからないなどの回答があった自治体もあった。
  • いわゆる「ペット」「愛がん動物」にあたる伴侶動物の死体……廃棄物として焼却するのに抵抗がある飼い主や、宗教・社会慣習等により埋葬・供養等を行いたい飼い主の場合、一般廃棄物の対象としない。ただし、化製場法(化製場等に関する法律)に定められた「獣畜」(牛、馬、豚、めん羊及び山羊)の場合は、仮に伴侶動物であっても同法の規制を受けるため、自分の敷地内であっても勝手に埋めることはできない。

ちなみに、

  • 他人の敷地内等に埋めた場合は、軽犯罪法も関係する。「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」に該当。

ということで、六甲山牧場の場合は、畜産農業に係る業を行っている施設であるため、そもそも違法であり、埋葬等の言い訳もできなかったわけですが、神戸市は展示施設についても埋設は不可の運用をしているので、いずれにしても不法投棄でした。

牛乳について

六甲山牧場の件では、食品加工に使えない牛乳(病気のときに絞ったもの)を散布して処理してことについても廃棄物処理法違反とされていましたが、牛乳は法律に明記されている酸性の廃棄物(廃酸)にあたるとのことでした。

現在は堆肥に混ぜるなどしていて不法投棄は行っていないとしていました。

死体の埋設だけではなかった神戸市立六甲山牧場の不適正事案

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