8月8日に文部科学省が開催した「カルタヘナ法及び名古屋議定書に関する説明会」を聞いてきました。全国の大学から担当者が集まるため、文部科学省の動物実験基本指針についての説明も同時に行われています。
基本指針自体には変更はありませんので、ほぼいつも通りの説明かとは思いますが、下記の2点について、明確に言及があったことはよかったと思います。資料にも赤字で記載されていました。
- 小規模な実施や、教育(学生実習等)も対象となることに注意。
また、野生動物を対象とした野外調査の場合でも、マイクロチップを埋め込むなどして行う場合には対象となる。 - 観察実験のために飼養、保管している動物も対象となる。
◆計画書の審査を受けずに動物実験を行った場合について質問
質疑応答では、動物実験計画書の審査を受けずに動物実験を行った場合の処罰等について、対応が機関によってばらばらであることから、どうすべきであるのか、文部科学省としての見解を問う質問をしました。
回答としては、他に同時に違反している法令があるかどうかなど、事例によって状況が違うため、場合ごとに考えていく必要があるという趣旨だったかと思いますが、ひとつ、就業規則にのっとるということも例示されていたのは注目に値するかと思います。
動物実験基本指針には特に罰則についての定めはないため、現状では就業規則とのリンクは実効性を持たせる一つの有効な手段のように感じています。
◆アンケート調査では、動物実験を実施している機関数が減少
これまで何度か調査結果が公表されてきた、基本指針の遵守状況に関する調査の最新版が公表されました。
平成27年1月現在で動物実験を実施する大学等の機関数が426だったものが、平成28年10月年31日時点では、417※に減っていました。
※当日配布資料(下図)では416と公表されていますが、当会指摘により1校漏れがあることが判明しましたので、後日訂正される予定です。
喜ばしいことですが、これは一時的に動物実験をしなくなったため回答をしなかっただけかもしれませんので、何とも判断しきれないところはあります。
文科省によると、今回も100%の回答率とのことで、各調査項目についても動物実験を行っている施設での実施率は100%。
ただし、「実施している」という回答の中身がどの程度かの問題は残ると感じています。
▼下記が当日配布されたもの。
※2017.10.8追記:1件動物実験している大学に集計漏れがあることが判明、現在数値の修正依頼中。