動物実験を利用した不当広告
人への有効性を実証するデータがない広告は不当表示!
食品やサプリメントなどの宣伝では、よく「動物で効果があった」というエピソードが使われることがあります。
しかし、種差が存在するため、効能などの反応は動物と人間で同じではありません。動物実験を経てヒトで試した候補物質の95%が失敗に終わり、医薬品として売られることはないとされていることからも、その違いは明らかです。
動物で有効であったからといってヒトでどうかはわからないということは消費者庁もわかっており、「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(平成28年6月30日)で国の考え方を示しています。
「商品の成分に関する試験データが提出されたが、マウスやラットによる動物実験データであって、ヒトへの有効性を実証するものではなかった。」という例が挙げられており、不実証広告(景品表示法第7条第2項)に該当する「表示された効果と提出資料によって実証された内容が適切に対応していないもの」だとはっきりと示されています。
いわゆる、不当表示です。
消費者がこのことをわかっていないと、食品等を売るための小手先の動物実験による動物たちの犠牲がいつまでたってもいなくなりません。
PEACEのブログで取り上げてきた動物実験データによる不当表示の事例には、下記のようなものがあります。詳細は各ページでご確認ください。
通報した事例
人への有効性を実証するデータがないのに広告することは不当表示に該当住宅のポストに動物実験の写真を堂々と使ったチラシが投函されていました。驚きます。マウスとカイコの動物実験を大々的に根拠としていますが、人でどうだったかの科学的根拠[…]
先日、動物実験しか根拠がなく、意味不明のグラフや、疑わしい比較写真などが使われている健康食品のチラシについてブログでご紹介しました。こんな怪しい内容でも見たら信じてしまう人がいるかもしれないので商品名は伏せましたが、乳酸菌の一種です。[…]
行政処分を受けた実例
動物実験等を根拠にした宣伝に対し、景品表示法に基づく措置命令が出た!動物実験しか根拠がないのに「体にいい」「効能がある」などと宣伝する広告がしばしば目につきますが、「人ではどうか」ということが立証されていないのに宣伝につかってい[…]
動物実験では医学的根拠にならないのに、「有名医科大のマウス実験で実証済!」などと宣伝していた育毛剤メーカーに対し、消費者庁が課徴金納付命令を出しました。この行政処分を受けたのは、今年3月に、同じく消費者庁から措置命令を受けていた株式[…]
不当表示を回避できた事例
日本の医療分野の研究開発や、その環境整備を取り仕切る立場にある国の機関、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)が、「研究公正に関するヒヤリ・ハット集」日本語第2版を発行したとのこと。これは、実際に研究不正に至る前に防ぐこと[…]
過去のパブリックコメント
動物実験の結果で「人に有効」と誤認させるのは不当表示に該当!食品や、いわゆる健康食品の宣伝の中で動物実験のデータを使うこと自体は法律に抵触しません。しかし、動物実験の結果はあくまで動物での結果です。人間で効果があるかどうかは、人間のデー[…]
通報窓口
消費者庁のウェブサイトに、「申出・問合せ窓口」のページがあり、その中の「景品表示法に関する情報提供」とある連絡先が、不当表示に関する通報窓口になります。
通報をしても、不当表示に該当するかどうかは個別具体的に行政機関が判断しますから、必ず措置命令が出るわけではありません。しかし、動物実験はもっともらしい広告を打つために行われており、消費者が「動物のデータだけでは信用しない」という態度を示すことは、無用・有害な実験を阻止するためにもとても重要なことです。
最新の動向は活動報告ブログ<動物実験カテゴリ>をご覧ください動物実験について知ろう[caption id="attachment_21728" align="aligncenter" width="640[…]