動物実験では医学的根拠にならないのに、「有名医科大のマウス実験で実証済!」などと宣伝していた育毛剤メーカーに対し、消費者庁が課徴金納付命令を出しました。
この行政処分を受けたのは、今年3月に、同じく消費者庁から措置命令を受けていた株式会社T.Sコーポレーションです。3月の措置命令のときは、「今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、『有名大学がマウス実験で実証』等の表示と同様の表示を行わないこと」等を命じられていました。
そして、さらに9月22日付けで課徴金納付命令も出され、消費者庁サイトでも公表されました。
(消費者庁「株式会社T.Sコーポレーションに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」より)
同社は、令和4年4月25日までに、課徴金として1747万円を支払わなければなりません。
宣伝の内容など詳細は、PEACEブログの過去記事をご覧いただければですが、問題となったのは、「有名医科大のマウス実験で実証済!」「たった2ヶ月で髪がフサフサ」などの表現を使い、短期間で、外見上視認できるまでに薄毛の状態が改善されるほどの発毛効果が得られるかのように示していた2つの広告です。
これに対し、消費者庁のリリースでは、以下のように書かれています。
景品表示法第8条第3項の規定に基づき、T.Sコーポレーションに対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
詳細は書かれていないので推測にはなりますが、つまり、
- 同社は、宣伝内容から、少なくとも動物実験データは出したものと考えられる。
- ヒトでのデータは出せなかったと考えられる。(あれば宣伝に使うはずだから)
- 消費者庁は、動物実験では合理的な根拠とは認めなかった。
ということかと思います。
薬用化粧品(医薬部外品)や健康食品などで、動物実験がもっともらしい根拠として使われます。
でも、動物でどうだったかは、人間でも同様ということを立証しません。ヒトについては、ヒトでどうだったかの知見が必要です。
無駄な動物実験を企業にさせないよう、消費者はむしろ、動物実験が行われていると宣伝する製品を買わないようにしましょう。
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