先日、環境省が37年ぶりに実験動物の飼養保管等基準の解説の改訂を行いました。古い版は長年新規の入手もできず、特に安楽殺法などの内容が古いため、当会含め動物保護団体が改訂を求めてきたものです。前回の動物愛護法改正の後、動物愛護基本指針のなかに改訂する旨が盛り込まれていました。
改訂版も、いろいろ残念かつ問題のある部分もあるのですが、それはまた別途まとめるとして、実験手法等についてはかなり詳細になりました。テキストのような感じです。
●ジエチルエーテルは麻酔・安楽殺ともに不適切と明記!
特に、ジエチルエーテルの使用について、麻酔用、安楽殺用、ともに不適切と明記されたのは前進です。(129ページおよび145ページ)
「動物に対して気道刺激性が強く、流涎や気管分泌液の増加、喉頭痙攣等の副作用がある」ということも書きこまれましたし、「医薬品として販売されておらず、倫理的観点からも推奨されない」とはっきり明記されました。
これで、小学校・中学校・高等学校等での安易な解剖は実質できなくなったのではないでしょうか。倫理的でない方法で学校教育を行うことが許されるとは思えません。
また研究においても、ある国立大学で、エーテルの使用が理由で海外のジャーナルから論文がリジェクトされた例があると聞き及んでいます。国が明記したことで、日本も国際水準をもっと意識するようになることを願います。
●千葉県教育庁のサイトからエーテルを用いた解剖の手順が削除されました!
「千葉県学校教育情報ネットワーク」というサイトに、高校の先生がラットの解剖実習の手順や実施報告についてまとめた文書が掲載されていました。
命を犠牲にする解剖実習そのものが教育手法として非倫理的であり、かつ不要なものですが、不適切とされているジエチルエーテルを用いることが先生たちの手本として掲載されているのはさらに問題だと考え、削除の要望をしました。
そうしたところ千葉県教育庁教育振興部学習指導課教育課程室から回答があり、「御指摘のあった『https://www.chiba-c.ed.jp/shidou/k-kenkyu/H20/rika.pdf』については,千葉県のサイトから削除いたします」とのことでした!
すでに文書は削除されています。
この先生の分だけではなく、古くなっている平成20年度分をすべて削除する形で対応するとのことでしたが……環境省の解説書が早速威力を発揮しました。
学校で解剖が行われることに悩んでいる学生の皆さん、先生に「国の実験動物の飼養保管等基準の解説にエーテルは不適切と書かれているのですが」と聞いてみてください。そして、もしおかしな反応があったら教えてください。