早いものですが、EUで、化粧品の動物実験の実施と、2013年3月11日以降に動物実験された化粧品の販売の禁止が実現してから5年。
未だ80%の国で化粧品の動物実験が認められている状況を憂い、EUはいよいよ世界的な禁止へ向けて動き出しました。
5月3日、欧州議会は、国連の枠組み内での世界的な化粧品の動物実験の禁止を実現する国際条約の締結に向け、あらゆる働きかけを行うよう関係機関・加盟国に求めるなどする決議を採択。具体的には、化粧品の動物試験の実施禁止と、2023年以降に動物実験された化粧品の販売禁止を求めており、次回の国連総会の議題とすることを目指しています。
もしこれが実現して、WTO(世界貿易機関)の協定とリンクすることになったら。日本も確実に影響を受けることになります。化粧品のために動物実験がされていないことを確実とする仕組みが日本にも求められてくるはずです。(化粧品の範囲や、医薬部外品の枠組みが日本にはあることなど、幾つか越えなければいけない山はあるかと思いますが)
実は、国際条約のようなものがなければ、日本が禁止にまで動くことはないのではないかと感じてきました。まさか、そのような夢のような話を現実にしようとする動きが出てくるとは!
背景には、EUでは禁止をしたものの、動物実験が行われている第三国からの化粧品の輸入において、いつ安全性試験が実施されたかを含む情報を記載する製品情報ファイル(PIF:Product Information File)が完璧で信頼できるものなのか疑わしいという問題があるようです。
決議された文書の英語版はこちらですが、EUは世界最大の化粧品市場であり、約200万人が化粧品業界で働くが、禁止によって産業は衰えていないといったことも書かれています。
また、代替法がないことをもって禁止できないということはないと、EU自らが立証していることにも触れています。
国際情勢としては、グアテマラ、アイスランド、インド、イスラエル、ニュージーランド、ノルウェー、セルビア、スイス、トルコが化粧品の動物試験の禁止を実施しており、韓国やオーストラリアなど他の国々もこのような禁止に向けて大きな進展を示していることが指摘されています。
欧州議会のニュースリリースは下記をご覧ください。動画まで作って、なかなかの力の入れようです。