非常に腹立たしいことですが、木下サーカスにラオスから2頭のアジアゾウが来てしまいました。6月1日から興行で利用されている旨が、現在木下サーカス公式サイトで告知されています。
ゾウは特定動物ですので名古屋市の動物愛護センターに定期的に来たかどうかの確認をしていたのですが、どうもごまかされてしまったのか、センターも知らなかったのかはっきりわかりませんが、4月末には来日し、5月にはセンターの立入りも行われていたそうです。(法律的には、入手から30日以内に届出をすればいい仕組みなので、特定動物の入手後に許可地の行政が知るということはあり得ます。)
そして、この1カ月間でサーカス向けの調教を入れたということだと思います。
PEACEでは本日、木下サーカスに対し、下記の抗議書を送付いたしました。
皆さまもぜひ、木下サーカス株式会社に対し、ご意見をお送りください。ゾウだけでなく、ライオンやシマウマも含めた動物ショーをいつまで続けるつもりなのか、ぜひ質問・要望してください。
また、名古屋公演の主催者である中日新聞社は2頭が来たことを報道しています。野生動物の娯楽利用に対し厳しい目を向けるべきマスメディアが、日本では自ら興行を主催し、宣伝を行っているのも、非常に嘆かわしいことです。この時代に新たにサーカスにゾウを導入することは恥ずかしいことなのに、なぜ宣伝するのか、なぜ動物ショーを行うサーカス興行の主催者となっているのか疑問だと厳しいご意見をお送りください。
抗議意見先
木下サーカス株式会社
〒700-0822 岡山市北区表町3-22-22
FAX:086-231-4972
E-mail:webmaster@kinoshita-circus.co.jp
中日新聞社
E-mail:center@chunichi.co.jp
木下サーカスあて抗議書の内容
2019年6月8日
木下サーカス株式会社
代表取締役社長 木下唯志 殿
アジアゾウの輸入ならびに動物ショー継続に対する抗議書
ラオス政府に対し、アジアゾウ輸出の中止を求めてまいりました動物保護団体のPEACEです。貴社が同国より新たにアジアゾウ2頭を輸入し、サーカス興行目的で調教し、6月1日より名古屋公演で利用していることに対し、動物福祉ならびに野生動物保護の観点から厳に抗議いたします。
すでに貴殿におかれましても、動物を用いるサーカスやショーに対し、世界的に批判が高まり、廃絶の方向にあることは十分ご承知のことと存じます。その理由は改めて当会が述べるまでもなく、サーカスにおける動物の調教や飼養管理方法等が彼らの福祉にかなわぬこと、動物と人の関係性について誤ったメッセージを発してしまっていること、絶滅へ向かう野生動物の商業利用・搾取を是認する気風を広めてしまっていることなどが挙げられます。
特に今回、あらたにアジアゾウがわざわざサーカス興行のために日本に連れて来られたことで、人間が楽しむために野生動物を自由に利用してよいのだという強いメッセージを人々に伝えてしまっていることは非常に遺憾です。また遠く異国の地へ連れて来られたカンムーンとカンマイの2頭の姿に、深い悲しみを覚えます。
昭和どころか平成も去り、日本も令和という新しい時代に入りました。日本に残る歴史あるサーカス団として、速やかに野生動物の娯楽利用に終止符を打ち、人の能力を最大限に活かす新たなエンターテインメント集団として生まれ変わっていただきたく、ここに強く要望いたします。
また大変不躾ではございますが、動物とのかかわり方に関する日本の世論も徐々に変わりつつあることをご勘案の上、アジアゾウを含む野生動物のショー利用について、今後の貴社の方針・廃止の見通し等についてご回答をお寄せいただきたく、お願い申し上げます。
PEACE 命の搾取ではなく尊厳を
代表 東さちこ
中日新聞あて抗議メールの内容
Subject:木下サーカス名古屋公演を主催していることに対する抗議
動物保護団体のPEACEと申します。
先日、木下サーカスにアジアゾウ2頭が来たことを
宣伝するかのように中日新聞が報じている記事を拝見し、驚愕いたしました。
そもそもアジアゾウのような野生に生きるべき動物を、人間の娯楽のために調教し、
意のままに従わせて楽しむような貧しい精神性を、報道機関である
中日新聞が支持しているところが全く理解できません。
貴社が報じることで、日本人の野生動物への無理解がますます進んでしまいます。
木下サーカスのゾウ使いはゾウを動かすときにブルフック(金属製の鎌状の形態をした鈎爪)を
用いていますので、ゾウたちは間違いなくこれまでの生涯のどこかで
この道具によって心を折るほど痛めつけられた経験があるはずで、
人間がこの道具を自分たちに苦痛を与えるために使うことを知っています。
またアジアゾウはワシントン条約付属書I掲載種であり、
ラオス国内でも近年生息数を著しく減らしているにもかかわらず
野生アジアゾウの保全について明確な取り組みがなされているとは
思えない同国から輸入してくるのも、卑怯なことだと思います。
現地でゾウを使役のために所有している人々の貧しさにつけこんだ
先進国の商業主義に、貴社は加担しています。
そもそも動物ショーを行うサーカス興行に対して、全世界的に批判がなされるように
なってきており、野生動物のサーカス利用を法的に禁ずる国も
数十か国にのぼる現状を、報道機関としてどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
日本人はゾウに極端に不自然なポーズをさせるような虐待を楽しむ民族だから
このまま放置でよいとお考えなのでしょうか。
自国民の人間性の涵養に報道機関は貢献するべきではないでしょうか。
動物を用いない健全なサーカス興行であれば、貴社が主催として
関与することに疑問は感じませんが、動物の虐待や搾取を前提とする
エンターテインメントに主催者として積極的に関与していることに対し
強く抗議をいたします。
今後一切、動物ショーを行うサーカス興行を行わないことを
要望いたします。よろしくご検討のほど、お願いいたします。
参考
木下サーカスに新しいアジアゾウが来てしまいました。以下のアクションを終了しますが、今後はぜひ木下サーカスに動物ショーを止めるよう、ご意見を継続してお送りください。詳細はこちら。▲新しくくるゾウも、特定動物の飼養・保管許可[…]
追記
その後、ラオスのアジアゾウは国際取引停止措置がとられました。木下サーカスの2頭のゾウたちに間に合わなかったことが悔やまれます。
追記:2023年11月、ワシントン条約第13条に基づくラオス人民共和国への取引停止勧告は、付属書の動植物全てに拡大しました。この勧告の中でも、要件を満たすまでアジアゾウを輸出しないよう、引き続き同国に対し勧告が継続されています。下記の記事は[…]