大きく話題になっていましたが、天王寺動物園の40代の飼育員が、サルたちやチンパンジーたちなどの食事として与える野菜や果物を、たびたび園から盗んでいたというニュース、本当に信じられません。
動物たちは、命以外のあらゆるものを奪われて、動物園の檻や施設に閉じ込められているのです。与えられている食事だって、多くの動物は、本来の食べ物を、本来の形で与えられているわけではありません。人間が食べているような野菜や果物が、野生にあるわけではないです。多くは人間の好みに合わせて改変されたものです。
この事件では、人間が食べられるものを、人間より身分の低い動物が食べているのはけしからんという、動物に対する「蔑視」とも言えるものすら感じますが、動物園の動物たちは、人間が都合よく手に入れやすいものを食べさせられているに過ぎないのです。
そのような不幸な動物たちから、さらに(おそらくは幽閉生活での主たる楽しみでもあろう)食事を飼育員が私的に奪うなんて、本当に腹立たしいことです。
書類送検を報じる産経新聞の記事によれば、「少なくとも事件の1カ月以上前から在庫のエサが減っており、同園が天王寺署に被害届を提出。10月1日、天王寺署に窃盗容疑で任意同行を求められ以降、出勤停止となっていた」とのこと。(「サルやチンパンジーのエサ盗む 天王寺動物園の飼育員を書類送検」2024年11月21日)
量が減ってバレるほど盗んでいるのも驚きですが、「出勤停止となっていた」と過去形となっているのも気になりました。天王寺動物園に今現在出勤しているのか電話で確認しましたが、捜査中ということで何も教えてもらえませんでした。もし、この飼育員が働き続けるなら、どのように再発防止策をとるのか、有罪判決が出るまで処分はしないのかが知りたいところでしたが、それらについても何も言えないようでした。
当会としては、当然懲戒解雇が必要だと考えていましたが、要望書を出すより早く、11 月 29 日、当該飼育員の処分が報じられました。懲戒解雇です。園の公式サイトでも、「天王寺動物園における職員の懲戒処分について」という文書が公開されました。
天王寺動物園は、独立行政法人化されましたが、大阪市から10億円以上の運営費交付金を受けて運営されている動物園です。公共性を考えても懲戒解雇は当然の帰結でしょう。
抜粋
令和 6 年 11 月 29 日
天王寺動物園における職員の懲戒処分について
天王寺動物園では令和 6 年 11 月 29 日(金曜日)、飼育展示課における不祥事案(令和 6 年 10 月2 日報道発表済み)について、次のとおり懲戒処分を行いました。
職員の非違行為に対しましては、不祥事の再発を防止するため、職員の服務規律の確保に引き続き努めてまいります。
1 被処分者
所属:飼育展示課 階級:係員 性別:男性 年齢:47 歳
2 処分内容
懲戒解雇
3 処分事由概要
令和 6 年 10 月 1 日(火曜日)に天王寺動物園内調理場に保管されていた動物飼料用青果物を園外に持ち出し、盗取した。
また、同日以前にも、複数回同様の行為を繰り返し行っていた。
4 対応策
今回の事案を重く受け止め、改めて一人ひとりの職員に対して、服務規律確保の取組に真摯に向き合い、勤務時間の内外を問わず法人職員としての立場を十分に自覚し、市民の疑念や不信感を招くような行為を厳に慎むよう、あらゆる機会を通じて周知徹底を図ってまいります。
今後とも、服務規律の確保及びコンプライアンス意識の徹底に、より一層取り組んでまいります。
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