9月12日、学校ウサギ廃止署名の主宰者の方が文部科学省に署名を提出されました。提出に際してPEACEもお手伝いをさせていただいたので、同席をしてきました。
署名は58,708名分が提出され、非常に多くの方々が関心を寄せている問題であることがわかります。署名主催者の方が、多くの方の思いを文科省に伝えてくださったことに感謝いたします。提出先は、文部科学省初等中等教育局教育課程課です。
提出に際しては、今年の夏が外飼いのウサギたちにとって致命的な暑さだったこと、繊細で飼育が難しい動物であるのに適正でない飼育方法がとられていること、教員の負担となっており、働き方改革の問題としても学校飼育は廃止すべきであること、ウサギが繁殖により多頭飼育崩壊に陥りやすい動物であることなどを文科省に伝え、署名主宰者からは多くの問題事例を集めた資料も手渡されました。
文科省からは、種の選定について検討が必要だという話は出ましたが、やはり改善をしていくことに主眼が置かれており、廃止の一言がいただけなかったことは残念です。これからも多くの働きかけが必要です。
署名提出に際し、ご尽力をくださいました串田誠一参議院議員と、秘書の方が同席してくださいました塩村あやか参議院議員に心より感謝申し上げます。お二人は、これまで国会質疑でも学校飼育動物の問題を取り上げてきてくださっています。
報道されました
当日、教育新聞の記者の方が取材をしてくださいました。10月11日に記事になりました。
かつては多くの小学校でよく見かけた光景だった動物の飼育が今、岐路に立たされている。気候変動による環境の変化や教職員の負担…
ご協力ください
文部科学省へ意見を!
署名にご協力ください
関連情報 文科省が8月に教育委員会などに速やかにな改善を求めて通知!
9月23日、日本教育新聞から「学校飼育動物で小学校調査 休日の管理、1割不適切」との報道がありました。文部科学省が学校での動物の飼育状況についてアンケート調査をしており(下記参照)、その結果に基づいて、8月下旬に教育委員会などに対し、速やかに是正するよう通知が出されていたとのことです。
通知本文はこちらで公開されており、後半に調査結果も添付されています。
- 学校における動物の飼育について(依頼)
別紙「⼩学校における動物の飼育状況について(調査結果)」
調査結果
調査期間は、今年の6⽉3⽇〜7⽉8⽇であり、6⽉末時点の状態についての回答と書かれています。
調査対象は、全国の公⽴⼩学校(義務教育学校を含む)18,608校のうち、無作為抽出による1,235校が対象で、有効回答数は1,224校です。
- 約6割の学校が、学校として所有したり貸し出しを受けたりして動物を飼育している。
- 学校として動物を飼育していると回答した学校のうち、家庭動物飼養保管基準の対象となる哺乳類・⿃類・爬⾍類を飼育している学校は約4割。
- 学校として家庭動物飼養保管基準の対象となる動物を飼育している学校では、ウサギやカメ等を飼育している場合が多い。
(ウサギ56.2%、モルモット7.2%、ハムスター1.0%、ヤギ・ヒツジ2.7%、ニワトリ3.8%、インコ1.4%、カメ35.3%、その他はャボ、ヒメウズラ、クジャク、カナヘビ、トカゲ、ヤモリ、アオダイショウ) - 学校として家庭動物飼養保管基準の対象となる動物を飼育する学校における回答は以下の通り。
- 教育委員会、地域のボランティア、保護者等と連携した休⽇等の管理体制については、適切な体制を整えている学校が7割以上である⼀⽅、不適切な状態を招く可能性のある学校が約1割。
その他と回答した学校の中にも、適切に対応しようとしている回答、不適切な状態を招く可能性のある回答が含まれている。 - ⽇頃からの獣医師や愛玩動物看護師との相談体制(疾病や負傷時の対応)については、適切な体制を整えている学校が約7割である⼀⽅、不適切な状態を招く可能性のある学校が2割以上。
その他と回答した学校の中にも、適切に対応しようとしている回答、不適切な状態を招く可能性のある回答が含まれている。 - 不適切な飼育環境に陥らないための繁殖制限等の対策について、適切な体制を整えている学校が約8割である⼀⽅、不適切な状態を招く可能性のある学校もあった。
その他と回答した学校の中にも、適切に対応しようとしている回答、不適切な状態を招く可能性のある回答が含まれている。 - 適切な飼育環境の確保 (動物の⽣態、習性、⽣理等の考慮、⽇照、温度、震災等の緊急時の対応等)について、適切な体制を整えているとする学校が約9割である⼀⽅、不適切な状態を招く可能性のある学校もあった。
その他と回答した学校の中にも、適切に対応しようとしている回答、不適切な状態を招く可能性のある回答が含まれている。
- 教育委員会、地域のボランティア、保護者等と連携した休⽇等の管理体制については、適切な体制を整えている学校が7割以上である⼀⽅、不適切な状態を招く可能性のある学校が約1割。
各学校に答えてもらうアンケート形式なので、「体制を整えている」等の回答も、あくまで自己申告です。なので、実態よりずっと甘い数字になっている可能性が高いですが、それでも適切でない状況を申告している学校が1~2割の割合であることは驚きです。
例えば、哺乳類・鳥類・爬虫類を飼育する学校は調査対象となった学校の約4分の1であり、そのうち1割が休日を含め不適切飼育を招く可能性がありますが、この割合を全国18608校に当てはめれば、500校近くには懸念があることになります。
また疾病や負傷時の対応や、繁殖制限等の対策ができていない学校が2割ということは、1000校近くで問題が起きうる(起きている?)ということです。
命を尊重する教育は、植物の栽培でも効果があることがわかっていますし、ビオトープなどで自然環境を呼び込むなどの方法のほうがずっと学びになると思います。
動物は利用する「モノ」ではありません。ウサギの外飼いなどの不適切な飼育をすることで、間違った教育をしないでほしいと思います。