2019年動物愛護法改正:改正に反対した国会議員の質疑の内容(3Rの強化)

法律に3Rの理念だけで 20年間放置するつもりの日本! 不適正な者が守られる護送船団方式はいつまで続く?

2019年動物愛護法改正の検討の過程では、動物愛護法改正に反対する立場で国会質疑を行った議員もいる。動物実験の3Rの強化に反対する吉田統彦衆議院議員(立憲民主党)である。

2018年末に超党派の殺処分ゼロ議連が骨子案を公表したところ、3Rの強化について盛り込まれていたのを見て慌てた動物実験関係者がロビーを開始し、その内容を受けて国会質問を行ったものだ。

会議録は以下に該当箇所全文を載せたが、「蚊とかゴキブリも殺傷するのは本当に嫌い」だという吉田統彦議員は、「動物実験の数はもう絶対減らした方がいいですよね」と言いながら、なぜ法改正に反対するのか? 本当に減らしたいのであれば、まず理念から整えるべきである。本心ではないことが透けて見えるではないか。

(理念だけではなく欧米並みの実質的な法制度も導入すべきだが、業界はそれこそ抵抗して受け入れないわけだし、日本のレベルが低く欧米並みに実施できないのが実情なのだから、理念だけでも整えるべきだという意味である。)

質問の中で、同議員はノーベル賞京都大学iPS研究所山中伸弥所長も動物愛護法改正に反対だと述べており、共に活動した3団体では、本人に質問状を送り確認した。結果、法改正に反対であるとの回答は得ていない。市民に向けて堂々と答えられないのであれば、それは反対ではないと理解せざるを得ない。真実をもって国会質疑にあたってほしいものだ。

質問と回答全文は下記のページを参考されたい。

なお、我々の実験動物に関する要望はこちらの通りだ。

それにしても、このような陳情をする業界関係者は一体何を恐れているのか。結局は、動物福祉に正面から取り組んでいないのである。やましいところがあるからこそ、愛護団体に何か言われるのは嫌だし、まして法律などができることは許せないのである。


第198回国会 厚生労働委員会 第2号 平成31年(2019年)3月12日 国会会議録より

※該当部分のみ抜粋しています。質問者は吉田統彦衆議院議員(立憲民主党)、答弁者は根本匠厚生労働大臣です。

○吉田委員 (中略)では、大臣、今般、動物愛護法の改正が予定されていますね。私自身は蚊とかゴキブリも殺傷するのは本当に嫌いなので自分から逃げていくんですけれども、動物愛護、とりわけこういう生命の尊厳を私自身は非常に守る人間でございます。

ただ、今回の動物愛護法の改正によって、最低限、必要不可欠な動物実験まで制限されてしまうと、生命科学や医学、生理学研究を中心とするイノベーションだとか、ひとしく国民が享受する、いわゆる日本の医療の質にも影響が出てくると考えますが、大臣、いかがですか。

○根本国務大臣 動物愛護の推進は重要と認識しています。しかしながら、医薬品等の研究開発を所管する厚生労働省としては、安全かつ有効な医薬品等を求める患者の期待に応えることも重要だと考えています。

動物の愛護及び管理に関する法律、これは現在、議員連盟や各党で改正案が検討されているものと承知をしておりますが、医薬品等の研究開発に支障が出ないようバランスに配慮した議論が深まるように期待をしております。

○吉田委員 大臣おっしゃるように、本当に動物愛護の精神というのは極めて重要ですよね。悪質なペットの業者さんとかそういったものはしっかりと取り締まって、動物愛護、生命の尊厳をしっかりと守る、これは重要であると私は改めて、本当に、極めて重要なことなので申し上げておきます。

その中で、二〇一二年のノーベル医学・生理学賞受賞者である山中伸弥教授は、今回の動物愛護法の改正草案を実際にごらんになったそうです。科学研究者が、前回改正の際の、例えば参議院厚生労働委員会における附帯決議七の3Rの実効性強化などを起草した部分などを始めとして厳格に遵守をしてきた。ただ、そういうことが全く評価されていない。この草案がそのまま成立した場合、自身の今後の研究の遂行に大きくかかわる可能性があると危惧していらっしゃると仄聞をいたしております。

繰り返しになりますが、動物愛護法の厳格化や厳格な運用は極めて重要であり、一層進めていくべきであると私からも重ねて申し上げますが、しかしながら、こういった科学技術イノベーションの進歩、国民の健康、命を守る研究を障害するものになってはならないと考えます。

だから、厚生労働省としては、なるべく減らした方がいいですよ、もちろんなるべく減らした方がいいですが、研究開発に必要な適正な動物実験というのは、やはり適正数は必要である、そのようにお考えだと考えてよろしいでしょうか、大臣。

○根本国務大臣 実際の改正案、これは議員立法ですから、各党で今議論中と聞いております。それぞれの立場の皆様が参加されていると思いますが、そこはまさに議員立法という形で議論中だと承知をしております。

やはり必要なのは、動物愛護の推進と、一方で、安全かつ有効な医薬品などを求める患者の期待に応える、これも重要ですから、私は、その研究開発に支障が出ないように、これはバランスに配慮した議論を望みたいと思っております。

○吉田委員 そうですね、今バランスとおっしゃっていただいて。議員立法ですし、大臣、なかなかお答えしにくい部分がある。

逆に、大臣、さっきのイノベーションの話じゃないですけれども、iPSだとかそういう再生医療を生かすと実験動物を減らすことが今後できてくる、その生理活性を確認するに当たってそういったことも可能になっていきますので、もちろん、そういった科学技術を進めることによって動物実験の数はもう絶対減らした方がいいですよね、それは当たり前です。だから、そこを目指しつつ、ただ、やはり大臣おっしゃったように、バランスが大事だと私も心得ております。


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