米国抗体供給企業の動物福祉法違反に免許取消と過去最大の罰金

動物福祉法違反で350万ドルの罰金は過去最大

かねてより米国で動物福祉法違反の申し立てがなされていた抗体供給企業、サンタクルーズバイオテクノロジー社(Santa Cruz Biotechnology, Inc.)に対し、アメリカ政府は350万ドルの罰金を科しました。これは動物福祉法違反としては、過去最大です。

そのことを報じるNatureニュースの記事です。

動物取扱免許取り消しと研究施設登録取り下げも

同社はヤギやウサギを用いて抗体をつくり研究機関等に販売する抗体供給企業としては世界最大級ですが、動物福祉法に基づく動物の販売・購入等の商取引に関する免許は取り消しが決まり、研究施設の登録についても取り下げが求められています。

アメリカの動物福祉団体AWIが既にアメリカ農務省に対する同社の同意文書を公開していますが、それによると罰金の支払い及び研究施設(登録番号93-R-0380)について登録取り下げが求められているのは本年5月31日までで、動物取扱免許取消は今年の12月31日になります。

つまり、同社は12月31日まで抗体等を販売することはできますが、去年(2015年)8月21日以前に動物の生体から作られた製品を販売することが許されているだけです。それ以外の生体由来製品(抗体、血液、血清等)は現在既に販売できません。

来年以降、同社はアメリカの動物福祉法が対象とする動物種に由来する抗体等を販売することは、アメリカ国内ではできなくなります。

これまでの悪行……

同社に動物福祉上の問題が浮上していたのは10年ほど前からですが、今年2月には、査察時に数千匹のヤギとウサギが施設から消えており、それらの動物たちがどうなったかはわかっていないとNatureニュースが報じていました。2012年には、ヤギ800頭がいる施設を国の査察官に隠していたこともありました。

これらは日本でも劣悪業者がやるのと同じ手口ですが、バイオ関連企業がこの規模でやるというのはやはり驚きです。

また、2011年にヤギの腫瘍が放置されているところなどをUSDAの査察官が撮影した写真をアメリカの団体が公開しています。

下記は2007年の写真です。

日本も監督制度の確立を

アメリカの動物福祉法はマウス・ラット・鳥類を対象にしておらず、運用にも多々批判はあり、ここまで来るのにも長い時間がかかりました。それでも法律や、それに基づく規則・基準があることでバイオ関連企業にも罰金を科し、対象動物の取扱いを止めさせることができています。

これは、日本人の感覚からすると、ものすごいことなのではないでしょうか。

日本には研究等の目的で動物を利用する施設に対しては公的な査察制度すらなく、問題を第三者が把握することは困難です。仮に動物福祉上の問題が疑われても、どこがそれを是正するのか、たらい回しの現状があり、監督官庁すら明確ではありません。

このような緩い国は、国際展開をしているバイオ企業にはどう見えるでしょう。早急に日本の状況も是正されるべきでしょう。

参考・アメリカ農務省動植物検疫局(APHIS)のリリース:

※写真はイメージです(日本の大学の実験動物のヤギ)
東大の実験用ヤギ

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