アメリカには、「動物福祉法」に基づく動物実験施設への規制とは別に、「健康科学推進法」という法律もあり、この法律にも実験動物福祉に関する規定があります。
これは、NIH(アメリカ国立衛生研究所)などの国立の研究機関から研究費を得る動物実験に対してかかってくるもので、「動物福祉法」と二重規制になっていると言われることもありますが、研究費の給付と直接リンクしていることが特徴だと思います。
つまり、アメリカでは、動物福祉に関するガイドラインを守らなければ研究費の停止・取消とすることが法律に明記されているのですが、これは日本ではまだ実現しておらず、文科・厚労の科研費の募集要項で若干触れられているにとどまっています。
しかも、日本では本当に指針が守られたかどうかを担保する仕組みはありませんが、アメリカの「健康科学推進法」は施設の動物実験委員会に幾つかの義務事項を課しています。
またアメリカでは健康科学推進法に基づくガイドラインである「PHS方針」を遵守させるためにNIHの中に動物福祉局(OLAW)が作られており、動物実験福祉を所管しています。「PHS方針」は、今年、若干リニューアルして再版されました。
これまで、動物福祉法のことしかご紹介してきませんでしたが、新たに健康科学推進法の概要のページをアップましたので、ご参照ください。
日本でも、「日本版NIH」と呼ばれていたAMED(独立行政法人日本医療研究開発機構)が4月から立ち上がりますが、倫理指針等はこれまでの省庁のものがそのまま継続になるので、動物実験指針も縦割りが継続されます。
AMEDは独立行政法人であり、AMEDが国の指針をつくることはできませんが、指針が遵守されていることの担保等について、日本でも何らかの対策を検討するべきではないかと思います。