古い価値観のエンターティメントの崩壊を感じさせる実写版『ダンボ』!

ティム・バートン監督の実写版『ダンボ』を観てきました。

同じディズニー映画でありながら、アニメーション版の『ダンボ』は、いじめられっ子の小象がサーカスで人気者になることがハッピーエンドという動物搾取肯定の物語でした。その映画の実写版? 果たしてどのような結末になるのか? 日本はまだサーカスで動物利用してるから変な話だと困るんだけど? と、いぶかしく思っていましたが、海外の団体は実際のゾウを撮影に使っていないことを評価している様子。(その他の動物の撮影利用についてはこちら参照)

さらに監督のインタビューを見ると「サーカスは好きじゃなかった」と語っています。「動物は囚われの身」とも。(MANTAN WEB「ダンボ:ティム・バートン監督に聞く 現代で実写映画化した理由」)

そしてインターネット上の評判も、どうやらアニマルライツの立場ならグッとくるところがあるらしい!

ということで、遅まきながら見てまいりました。

書くとネタバレになってしまうのでググっと押さえますが、確かにラストに「おおおーっ!」と声をあげたいくらい感銘を受ける一言が!

そして、古いアニメーション映画の『ダンボ』からの脱皮を感じました。オープニングでものすごく上手に演出されていたサーカスのワクワク感を活かしつつ、でも新しい価値観を伝えるラストになっていたと思います。

動物解放の視点からすると、確かにあと今一歩!という部分もあることはあるのですが、動物のエンターティメント利用を肯定してきたディズニーが、まるで自らの帝国の崩壊を描くかのようなストーリー展開を挟みつつ、この結末を用意したことに感銘を受けます。

人とゾウの家族の両方の再生を描きながら、ディズニー自らも再生する物語なのかもしれません。

そして、動物が話をしたりするような擬人化がされていないのも、よかった。そのほうがラストのリアリティが増します。

言葉はなくても、母子の別れが辛いことはわかるし、鎖でつながれることの残酷さも伝わる。

日本にも必ず、この価値観の波は来ると信じたいです。

そして、今、まさにサーカスでのゾウの利用を止めなければ!の思いを新たにしました。

日本のサーカスとしては唯一、ゾウを使う木下サーカス。いまちょうどラオスからのゾウの貸与期限が切れ、次のゾウの輸入待ちです。何とタイムリーなことでしょうか! 名古屋公演開催中ですが、アニマルライツ中部の方から、まだゾウは来ていないこと、輸入は難航していることなど情報をいただいています。野生動物を使う旧態依然のエンターティメントにノー!を。ぜひご意見をお送りください! 

詳細は:

『ダンボ』では、どのシーンに生きた動物が使われたか

エンドテロップにAmerican Humaneのロゴが入っているのを確認しました。団体のサイトには、この映画で生きた動物がどのシーンでどのように使われたか、より詳細な情報が出ています。生きたゾウは使われませんでしたが、ウマ、鳩、ヘビ、プードル、魚が撮影に使われました。サル、ネズミも完全にCGだったことになります。

※American Humane(2016年にAmerican Humane Association(AHA)から改称)はアメリカの動物福祉団体で、1940年から、映画やテレビの撮影に使われる動物たちの福祉をモニタリングする活動をしています。1939年に撮影された「Jesse James」という西部劇映画のスタントで馬が死んだことがきっかけで始まりました。海外の映画のエンドテロップによく出てくる“No Animals Were Harmed”(動物は虐待されていません)の表記を付与するための監視・承認を行っています(有料)。結局撮影現場しか見ていない等の批判もありますが、こういった仕組みを取り入れていない日本の作品よりは、まだマシなのではないかと感じます。

ダンボ アジアゾウ circus 

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