日本クジライルカウォッチング協議会の第3回シンポジウムを視聴しました

先日、日本クジライルカウォッチング協議会(JWDC)が開催した第3回シンポジウム をオンラインで視聴しました。

午前中は、日本でクジラ・イルカウォッチングを行っている各地域からの発表。午後は、鯨類の写真や著作で有名な水口博也さんの基調講演と、それを受けてのパネルディスカッションでした。

野生のクジラ・イルカに与える影響について、国際的には厳しい目がある

「ホエール・ウォッチングは“エコツアー”になりえるのか」と題する水口さんのお話は、おそらく実際にウォッチングをされている側やウォッチングファンからすると耳がいたいところもあったのではないかとは思いますが、とてもよかったです。

やはり世界は既に「まだドルフィンスイムなんてやってるの?」という情勢。親イルカが人と接触することで子どもにかける時間が減り、繁殖に影響が出た例など、野生イルカへに与える悪影響について、海外の研究をさまざま紹介されていました。

巷によく言われる「実際にクジラやイルカを見ることで得た感動が自然への畏怖や敬意を抱かせる(のだから、いいじゃないか)」という免罪符理論についても切り込んでいたので、「お、すごいな」と思いました。

また写真の持つ力には負の側面があるとおっしゃっていたことは、特に印象に残りました。迫力のある写真は、それを超える写真を撮りたいという衝動を人々に与えてしまう。確かにそうです。

しかも、かつて裕福な人たちが高いカメラを持って世界中の先住民を撮ったようなことが、いま動物で起きている。どんどん手軽になって、人々が野生動物に接近して撮りたがるようになっている。クジラやイルカに接近して撮った写真を「ハラスメント写真」と呼んでいたことも印象に残りました。

水口さん自身は、最近は、遠景の中に動物が映っているような写真を出すように心がけているとおっしゃっていました。 見た人に「ハラスメント写真」を撮りたいと思わせないようにするためということだと思います。なんてストイックな…と思います。

動物園の写真でも、動物園に肯定的な人の撮る写真は、動物のアップが多く、飼育環境などは映っていないことが多いので、そのことを思い出しました。「そこまでするのは動物にストレスでは?」と思われるほど身を乗り出して撮っている人たちに、水口さんの言葉を聞かせたいなあ…と思いました。

上野動物園で写真を撮る人たち
動物園もこんな感じ

話がそれましたが、水口さんのお話は、日本は研究がされていないので、研究にお金を出すことをはじめてはどうかといったことや、イルカ・クジラから100ヤード(約90メートル)の距離をとること、ウォッチングしない海域を設定することなどルール作りから始めてはどうかといったお話で終わりました。

ご本人による基調講演骨子が同団体のサイトに掲載されていますので、ぜひご覧ください。

質問コーナー~パネルディスカッション

質問コーナーでは、水口さんは、クジラの大きさなどに感銘を受けたのは最初だけで、シャチを撮るようになり、親子関係など人と同じような社会性を持つことにすぐ関心が移っていったということなどを話してらっしゃいました。

また、PEACEのスタッフが、陸からのウォッチングには問題があるか質問したところ、問題はない、すばらしいウォッチング方法だと思いますとおっしゃっていました。 陸からのウォッチングについては、そのあとのパネルディスカッションで、座間味の方が、陸から見えるスポットをウォッチング船が入らない海域にしている話もしていました。

昔、ホエールウォッチングに行ったとき、漁船でクジラを探したり追いかけたりするのが、まるで漁ではないかと思ってしまいましたが、小笠原のウォッチングの方は、最初は追いかけまわしていたが、その後、待っているほうがクジラが近づいてきてくれるとわかったという話をされていました。

しかし、各地でドルフィンスイムをやらないのか/やりたいという圧力があるようで、その背景には、やはり水族館などでイルカに近づくことが当たり前になっていることがあるのでは?と感じざるを得ません。(シンポジウムでそういう話が出たわけではないのですが)

野生動物は、偶然出会ってこそ感動があるものですが、そういう機会が減り、お膳立てしてもらってお金を出して何かを楽しまなければいけないような社会になってきたことが背景にはあるように思います。

イルカ飼育施設が多すぎる日本では「水族館のイルカではなく、野生のイルカに関心を持ってほしい」という問題が根底にあるので、ウォッチングやスイムを推すのかどうかは、とても悩ましい問題です。 いずれにしても、野生のイルカ・クジラの行動や健康、繁殖などに影響のない範囲で行わなければいけませんから、当事者の方々が、このようなイベントを開いていることには希望を感じました。

それにしても、イルカに近づくことすら繁殖や行動へ与える影響が問題視されているのに、追い込んで捕獲して水族館で飼育したり、捕殺したりはいかに論外か…と思わざるを得ませんが、特にそういう話は出ていたわけではないです。

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