一昨日(20日)、文部科学省で、カルタヘナ法と名古屋議定書に関する説明会が開催されました。研究機関が対象かとは思いましたが、事前の案内に動物実験指針についての説明もあると書かれていたので、参加してきました。
メインはカルタヘナ法と名古屋議定書(ABS)なので、動物実験指針については一瞬で話が終わってしまうのかと思いきや、思っていたよりは時間がとられていました。
話の内容は、現状の自主管理体制の概要と、昨年の動愛法改正の経緯、文科省の取り組み(アンケート調査や競争的資金の公募時の対応)などです。
動物愛護法については、改正はなされなかったが附帯決議が付いたことが示され、資料には「法改正の議論や動物愛護管理のあり方検討会報告書において、情報公開が不十分であると指摘されており、透明性の確保は重要な課題」と書かれていました。
動愛法改正成立以降、研究者の動向としても、情報公開については「不十分だ」と認める発言があるなど、雰囲気に変化が見られますが、文科省の見解も、そういった動向を反映しているのではないかと感じます。
●文科省からの回答は?
論点が情報公開だけに限られてしまうのは問題だとも感じているところではありますが、実はこの説明会にあたっては、PEACEとしても情報公開に関係する部分で質問を出していました。
「指針に基づく情報公開について問い合わせると、『未対応』と回答が来る大学があるが、文部科学省のアンケート調査では100%対応済みとなっているのはなぜか?」というのがその内容ですが、これだけでは具体性に欠けるので、実際に得られた回答などについて、事前に文部科学省に情報提供もさせていただきました。
これに対して説明会の際に回答があり、動物実験は機関による自主管理を行っているため、文部科学省から指導をするといったことはできないが、引き続き適正に行うよう啓発をしていくとの説明がありました。他には質問は出ませんでした。
アンケート調査は、ちょうど現在平成24年度分を実施中とのことなので、大学の皆さんにも、虚偽ではない正確な回答していただきたいと思いますが、やはり法律で義務になっていない、違反があったときに当局が何も手を出せないというのでは日本の状況はあまりにお粗末だと思わざるを得ません。
ちなみに、現在の研究費公募時の対応としては、以下のようになっているとのことですが、指針自体が簡単なことしか言っておらず、自己点検や情報公開が形骸的なものであっても問題なしとされる状況では、ペナルティと言えるほどのものにはなっていないと感じます。
- 科研費の公募では、動物実験などが含まれている場合は、講じる対策と措置について記述することが必要。
- 平成23年度より、政策課題解決型のライフサイエンスに関する競争的資金等の公募については(注:つまり、すべての研究費が対象ではないです)、自己点検報告書の提出が必要。
- 指針等に違反し、研究計画を実施した場合には、補助金の交付をしないことや、交付を取り消すことがあると要領に記載されている。