化粧品の動物実験禁止について、世界の動向をまとめました│PEACE 命の搾取ではなく尊厳を

1 化粧品の動物実験を禁止している国の一覧をまとめました
2 オーストラリア：延期されていた化粧品の動物実験禁止が2020年７月１日に施行された
3 フランス：中国に動物実験なしで一般化粧品を輸出できる最初の国に！
4 EU：化学物質規制REACHに基づく動物実験の要請が優先されるとの決定が大問題に！
5 チリ：化粧品の動物実験を禁止する法案が提出されました
6 追記

化粧品の動物実験を禁止している国の一覧をまとめました

化粧品の動物実験に対する法的禁止を完全もしくは部分的に行っている国の一覧を作成しました。動向があったときは、このページを更新していきます。

化粧品の動物実験を禁止している国の一覧

2021年2月13日公開2023年9月18日最終更新化粧品の動物実験を禁止している国の一覧について化粧品の動物実験禁止は、今まさに世界中で状況が動いています。できる限りリアルタイムで更新しますが、タイムラグがあることはご容赦[…]

なかなかひとつづつご紹介できていないので、まとめてになりますが、最近の動向には以下のようなものがありました。

オーストラリア：延期されていた化粧品の動物実験禁止が2020年７月１日に施行された

Cruelty-free: Australia’s animal testing ban finally realised as AICIS comes into effect

オーストラリアでは、化粧品の動物実験禁止の時期について、３回の延期を経て、2020年7月1日から施行することが決まっていましたが、この日、無事に施行を迎えることができました。

同日から旧・国家工業化学品届出審査機構（NICNAS: National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme）は新たにオーストラリア工業化学品導入機構（AICIS: Australian Industrial Chemicals Introduction Scheme）に置き換わっており、新しい「工業化学品（届出・審査）法」の規制のもと、施行日以降に得られた動物実験データを新規の工業化学物質導入の申請に用いることが禁止されました。

ただし、この規制は「2019年工業化学品（一般）規則」に基づいて、例外が設けられています。例えば、化学物質にハザード特性があることが認められる場合や、環境ハザード特性を持つかどうかを判断する方法が動物実験に限られる場合については、適用除外となります。また、「異なるが関連する化学物質」に対して行われた動物実験も受け入れられてしまいますが、これは、その物質が化粧品用途のためだけに製造される場合のみとのことです。

フランス：中国に動物実験なしで一般化粧品を輸出できる最初の国に！

French beauty firms can now qualify to export ‘ordinary’ cosmetics into China without animal testing

中国では、今年1月1日から化粧品について新しい法律が施行されています（こちらのページを参照）。これまで海外からの輸入については、動物実験の義務付けがありましたが、一般化粧品については一定の条件を満たした場合に動物実験を行わなくてよいことになるとされています。

しかし、これがまだ不透明な感じがしていましたが、先日、フランスが中国に動物実験無しで一般化粧品を輸出できる最初の国になったとの報道がありました。

フランスは、中国の条件に準拠した適正製造基準(GMP)適合証明書を政府が発行することができるようにしたため、実現したようです。このような動きが広がってほしいものです！

ちなみに、染毛剤や日焼け止めなどの特殊化粧品については動物実験は免除されていません。

EU：化学物質規制REACHに基づく動物実験の要請が優先されるとの決定が大問題に！

2013年に化粧品の動物実験の完全禁止を実現したEUですが、工業用化学物質全体を規制する「REACH」によって動物実験が求められるケースとの競合がずっと問題となっていました。

2020年８月、欧州化学品庁（ECHA）の上訴審委員会が、ドイツの化学品メーカー、シムライズ（Symrise）に対し２つの成分（ホモサレートとサリチル酸2-エチルヘキシル）について動物実験を行うよう求める最終決定をしました。これに対し、400を超える化粧品企業やブランド、動物保護団体などが異議を申し立てる要望に署名するなど、大きな問題となっています。昨年11月、シムライズはEUの一般裁判所へ訴訟を起こしたとの報道もありました。

他の法令が優先されるなら、化粧品の動物実験完全禁止の名が泣きます。

追記：

一方で2021年1月21日、フランスのEsso Raffinage（エッソラフィナージュ）に対して、EUの一般裁判所は、動物実験は最終的な手段でなければならないとし、ECHAに対し代替法を考慮する義務があるとする判決を出しました。

チリ：化粧品の動物実験を禁止する法案が提出されました

HSI welcomes tough new Chilean bill to outlaw cosmetic testing on animals

昨年12月、南米チリでも化粧品の動物実験を禁止する法案が提出されました。南米で２番めのクルーエルティーフリーな国になろうとしています。この法律が成立すると、化粧品の完成品および成分について動物実験を新たに実施することが禁止され、さらに、国外で新たに動物実験が行われて製造された化粧品の販売も禁止になります。

世界中で化粧品に動物実験を行うことに対し、法的禁止が進んでいます。

化粧品の動物実験を禁止している国の一覧

追記：その後、チリでは化粧品の動物実験禁止が成立しています。