北里大学獣医学部、2018年度前期より犬の外科実習廃止へ 

獣医学教育でもいよいよ始まった5、6年生対象の参加型臨床実習についての記事が、時事通信社の「厚生福祉」という雑誌に出ています(2018年01月05日 第6376号・合併号)。

執筆は、昨年の日本動物実験代替法学会市民公開講座にも登壇くださった森映子記者。

これまで「日本の獣医学教育では臨床実習の時間が圧倒的に少ない」「日本の獣医系大学を出ても即戦力は皆無」等言われていたことを少しでも改善するため新たに始まった参加型臨床実習について、実際に取材をされて書かれた記事です。

参加型臨床実習では従来の臨床実習が見学型であったのを改め、実際に診察・治療等に関与しながら実践力を身につけることが目指されており、そのための力量があることを在学中に判定するための「共用試験」の仕組みも全国で始まっています。

この記事では、その「共用試験」を経て北里大学の附属動物病院で参加型臨床実習に挑んだ学生さんたちの様子や、実習の具体的な内容、教える側が感じている課題やミッションなどについて知ることができます。

そして、とても重要なことも報じられていました。

北里大学獣医学部では2018年前期から、犬に開腹・開胸手術をして安楽死させる外科実習を廃止することが決まっているそうです! 

また八戸市に開設される動物愛護センターとの連携も検討されているとのこと。

教育は日本の獣医師の考え方も変えていくでしょうから、単純に救われる動物の数だけでは判断できない、とても大きな朗報だと思います。

また日本の獣医学部も国際水準を目指しつつあるのだなと感じます。

加計学園問題が盛んに言われ始めたころ、健康な犬を殺す旧態依然の外科実習に、もっと頭数が必要だなどと、古い時代に教育を受けた獣医師がラジオ番組で発言していましたが、とんでもありません。

世界の流れは逆。動物福祉は獣医師にとって重要なミッションと(少なくとも表向きは?)掲げられており、健康な実験用の犬をわざわざ教育のための実習で殺すなどということはもはや欧米では行われていません

また手技訓練等のためのモデルやシミュレーターなどのツールも海外では積極的に用いられている様子が伝わってきます。日本人は「ぬいぐるみ」などとバカにしているけれども、次々と犬を殺すわけにいきませんから、繰り返し訓練に使えるのはどちらなのか考えてみましょうね?と思います。

もちろんツールだけではだめで、臨床実習で生身の動物を扱うことは必須です。また海外では家庭動物の遺体の献体も用いられますが、これなどは社会の理解度だけではなく文化・習慣の違いもあるのだろうなとは感じます。

日本では一般人も、実験用の動物を苦しめたり殺したりしてしまう教育より、臨床実習のほうが重要だということをもう少し理解しなければいけないのではないかと、去年加計学園問題が吹き荒れる中、実感しました。

人間の医者を養成するために、学生に人間を殺させたりしません。獣医師の養成のためにも、同じように工夫していく必要があると思います。

紹介した記事:
「厚生福祉」2018年01月05日 第6376号・合併号
特集
獣医大の参加型臨床実習始まる
診療行為広げ、実践力向上目指す
民間で実習も制度化、北里大の取り組み

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