神戸学院大学の研究不正、氏名と研究費返還・停止が公表された。痛みに関する実験で論文取下げ…

Shinichi Harada,Shogo Tokuyama,

結局、氏名も公表されている

神戸学院大学のマウスの動物実験での研究不正について、大学側はどの論文が不正だったかなど、詳細について公表を行っておらず、処分についても回答はしないとのことでしたが、本年1月20日、文部科学省の研究費配分機関である日本学術振興会がこの件について公表を行いました。

結局、氏名も公表されています。大学は一体何を必死に隠そうとしていたのでしょうか。

大学による処分内容はわかりませんでしたが、日本学術振興会からは、研究費の返還と、研究費配分の一定期間の停止(不正を行った本人は5年間、教授は2年間)が公表されています。不正を行った本人は既に研究者を辞めて他の仕事をしているため、研究費配分停止そのものに意味はありませんが、措置がとられることで公表につながるのであれば意味はあると思います。

不正が行われていた論文は、大学によると10本とのことでしたが、学術振興会からは研究課題7件について、研究費、計2,766万円の返金が求められているので、どの研究で不正が行われたかはだいたい絞られることになるのではないかと思います。

ざっと見たところ、取り下げ(Withdrawal)になっている論文が1本ありましたが、現時点でまだほかの論文に動きはないように見えます。

⇒追記:もう1本、取下げられていました。詳細はこちら

取り下げられた論文は痛みに関する論文!

取り下げられた論文は、脊髄や坐骨神経の痛み、特にアロディニア(異痛症)といって、本来は痛くない刺激でも痛く感じる症状に関する実験でした。

マウスの両側頸動脈をクリップで留め人工的に脳梗塞に近い(かもしれない)状態をつくる、外が見えないカップに3時間閉じ込める、床の金網の隙間から足の裏をつつき、マウスが痛みで足をびくっと動かして避けるしぐさが多いかどうか数える、殺して脊髄と坐骨神経を取り出して調べるという内容です。(足の裏をつつく試験はフォンフライ(Von Frey)テストと呼ばれ、専用の器具も販売されているものです。) これが本当に人間のアロディニアの研究になるのかもそもそも疑問です。

また他の論文でも、人工的に脳梗塞に近い(かもしれない)状態にしたあと、電気ショックを利用する、断頭を行う等、残酷な実験が行われています。

大学は不正の詳細を公表していませんが、写真がある論文もあり、動物実験自体は行われた上での不正だと思います。

こういった動物たちは、単に研究者が論文を書き、職業上の肩書・立場を得るために苦しめられているのです。

なぜなら、大学の回答がそうとしか思えないからです。参考➡

日本学術振興会「科学研究費助成事業に係る研究活動の不正行為について」

本会は、神戸学院大学からの研究活動の不正行為に関する調査報告書の提出を受け、「研究活動の不正行為及び研究資金の不正使用等への対応に関する規程」(平成18年12月6日規程第19号)に基づき、以下の措置を講ずることとしました。

措置の対象者

原田 慎一(神戸学院大学薬学部元助教)
徳山 尚吾(神戸学院大学薬学部教授)

不正行為が行われた事業

研究種目:基盤研究(C)
研究課題名:脳梗塞誘発性糖代謝異常に対する中枢-末梢臓器間連関機構の関与とその関連因子の同定
交付額:平成29年度~平成30年度 3,640千円

研究種目:基盤研究(C)
研究課題名:脳卒中後疼痛の発症機序における HMGB1-RAGE 系の関与
交付額:平成28年度~平成30年度 4,680千円

研究種目:若手研究(B)
研究課題名:脳梗塞治療に対するorexin-A中枢-末梢臓器間連関機構を介した役割
交付額:平成27年度~平成28年度 3,900千円

研究種目:若手研究(B)
研究課題名:中枢-末梢臓器間連関を介したエポックメイキングな脳梗塞治療戦略の開発
交付額:平成25年度~平成26年度 4,160千円

研究種目:基盤研究(C)
研究課題名:中枢性疼痛の発症機序における長鎖脂肪酸受容体GPR40の関与
交付額:平成25年度~平成27年度 4,940千円

研究種目:基盤研究(C)
研究課題名:脳虚血ストレスセンサーとしてのグルコース受容体及びオレキシン神経の新規役割の解明
交付額:平成22年度~平成24年度 4,940千円

研究種目:特別研究員奨励費
研究課題名:脳卒中における臓器間連関の変容の解明と新規治療戦略開発のための基盤研究
交付額:平成22年度~平成23年度 1,400千円

不正行為の内容

調査機関による調査の結果、論文10編において改ざんを行ったと認定された。

措置の内容

○研究費の返還命令
不正行為と直接的に因果関係が認められた研究費の支出について、その返還を求める。

○研究資金を交付しない期間について

原田 慎一(神戸学院大学薬学部元助教)
令和2年度から令和6年度の5年間、本会の研究資金を交付しないこととする。

徳山 尚吾(神戸学院大学薬学部教授)
令和2年度から令和3年度の2年間、本会の研究資金を交付しないこととする。

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