オランダが動物を用いない試験研究への移行戦略を公表

オランダの実験動物保護のための委員会は昨年12月、2025年までに安全性試験における動物の利用を止めるなどの目標を含む、動物を用いない試験研究への移行に関する報告書を公表しました。

農業大臣の諮問によりとりまとめられたもので、オランダは動物を用いない応用研究及び橋渡し研究への移行という分野で、同じく2025年までにイノベーションの世界的なリーダーとなることを目指します。

委員会のリリース文を翻訳しましたが、詳細は下記の報告書本文をご覧ください。

日本にいると「どんな突拍子もないことが書かれているか」と思ってしまうかもしれませんが、割とこれまで言われてきているようなことがまとめられているだけのようには感じました。あと10年もないところに目標の一つが据えられているところは確かにかなり早いですが、本気でやってこなかったのだからやればもっとなくせるはずだというところを示したものではないかとも感じます。


オランダはいかにして動物を用いない試験研究の先駆者になるか―NCadが意見表明

2016年12月16日

科学目的で使用される動物の保護のためのオランダ国家委員会(NCad)の委員長ハーマン・コイターは、「化学物質、食品成分、農薬、医薬品(動物用を含む)に関し、安全性のために法的に定められた動物試験は、2025年までに段階的に廃止することができる」と述べた。同じことが、ワクチンなどの生物学的製剤の販売ごとの動物を用いた検定にも当てはまる。今のところ〔これらの分野で承認申請時に〕法的に求められている前臨床研究については、同じスピードで段階的に廃止することはできない。基礎研究では、動物実験を減らす可能性は、研究領域ごとに異なる。これについては、動物実験を減らす方法について、各研究領域ごとに目標を設定する必要がある。以上が、本日(2016年12月15日)、ハーグのニーウポールト・プレスセンターにてオランダのマーティン・ファン・ダム農業大臣に提出されたNCadの答申報告書「動物を用いない研究への移行 – 動物実験を段階的に廃止し、実験動物を用いないイノベーションを促進する可能性について」の結論である。NCadは大臣からの諮問により、答申報告書を作成した。同委員会は、動物実験の数を減らすためのロードマップをまとめ、2025年までに実験動物に頼らないイノベーションの世界的リーダーになる可能性を特定するよう求められていた。

NCadによれば、動物を用いる実験に頼らない研究に移行するためには、既存の態度や習慣を放棄する必要があるだろう。政府と社会もまた、リスクへの異なるアプローチをとらなければならない。動物実験ではない試験への移行は、それ自体では起こらず、焦点と明確な戦略的方向性を必要とする。NCadは、動物試験に関する政策をイノベーションや持続可能性などの他の政策課題と結びつける政府横断的な一貫した方針を策定するため、大臣が主導権を握るべきであり、他の省庁も参加すべきだと勧告している。NCadは、次の3つの分野で提言を行っている。「移行目標の明確化」と「移行戦略」、「移行の管理」である。

移行を加速するために、NCadは大臣に対し、現行の規制のリスク評価手続きの改訂について国際的なロビーを行うよう求めた。さらに、イノベーション政策に対する、より連鎖的なアプローチにより、多分野の協力が促進され、動物実験が不要なイノベーションが開発段階から実用的な適用まで進展しやすくなるだろう。代替、削減、苦痛の軽減(3Rs)のような、動物実験を必要としないイノベーションに関する専門知識に対するモニタリング、評価、アクセスの提供は、この分野における進展への識見を向上させる重要な役割を果たす。

オランダでは、毎年約60万匹の実験動物が使用されている。動物試験は厳格な規制の対象である。3Rsは、動物を用いる実験を管理する規制の鍵となるものである。置き替え:動物試験は、動物を必要としない同等の方法がない場合にのみ認められる。削減:動物の使用数はできる限り少なくする。苦痛の軽減:実験によって動物に不快や痛み、ストレスをできるだけ引き起こしてはならない。身体の機能、病気の原因や治療に関する現在の知識の多くは、実験動物が関わる研究の結果である。しかし、これらの実験では、軽度なものから極度に高いものまで、動物に苦痛を引き起こす。NCadは、この答申報告書において、既存の法律および規則があるにもかかわらず、動物を用いない実験への移行を加速する多くの機会があると結論づけている。これは、動物試験および3Rsに関わる様々な省庁およびその他の当事者との幅広く協調的な関与によって達成可能である。

原文:
Opinion provided by NCad as to how the Netherlands can become a pioneer in non-animal research
https://english.ncadierproevenbeleid.nl/latest/news/16/12/15/ncad-opinion-transition-to-non-animal-research

※〔 〕内は報告書の内容から訳を補足した。

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