OIE(国際獣疫事務局)の実験動物福祉規約の和訳について

2010年、日本国も加盟する国際獣疫事務局(OIE、世界動物保健機関)の陸生動物衛生規約 (the Terrestrial Animal Health Code) に実験動物の福祉に関する章が盛り込まれました。

しかし、農林水産省の仮訳は総会で採択される前のものがあるだけなので、最終版を反映した訳がありません。

当会としてはこのコードの内容全てを支持するわけではないのですが、日本で実験動物福祉に寄与する仕組みとして公的に採用されていない事柄が多々あるため、農林水産省仮訳を修正してアップしました。誤字や訳の不統一、より適切な訳があると思われる部分などを見え消しで修正しています。

最終的に採択時にはOIEのコードが後退してしまうところなどがよくわかると思います。ちなみに、当時、日本が内容のレベルを下げさせたことを関係者が自慢げに語っていました。

しかしそれでも、日本はこれをクリアすることが全くできていません。

たとえば倫理審査を行う委員会には「一般社会を代表する民間人1名。科学および動物のケアに関係しておらず、また、研究において動物を使用することにも関与していない者。」の参加が求められています。

こんな仕組みは日本にはないですね。

少なくとも年1回の査察もそうです。

通常はあるはずの国による動物実験の監督制度もありません。

ということで、日本では明らかに今すぐ全ての実現は無理ですが、法改正ごとにステップアップしていくべきではないでしょうか。

農水省は、前回の動物愛護法改正時には、OIEコードのこの部分は義務ではないからやらなくてよいとの見解でしたが、そのように言ってしまうのも恥ずかしい時代が来ているかと思います。

この7.8章を図式化したものが下記の図で、これは農水省が作成したものそのままです。

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