東京都のハルスプラン(東京都動物愛護管理推進計画)改定へ向けて実験動物について質問した件をご報告しましたが、東京大学の実験用ヤギの件で対応をしてもらえない理由については、その後、都から回答がないままでした。
ハルスプランには、「実験動物の不適正な取扱いについて情報を探知した場合に、情報収集や施設へのアプローチ方法等、国や実験動物関係団体と連携した対応について検討していきます」と書かれているにもかかわらず、実際には何も検討して来なかったし、根拠がないことについては動物がどのように苦しんでいようとも何も動くつもりはないということだと思います。
現在国会で検討されている動物愛護法改正骨子には、実験動物と畜産動物についても業登録が別紙検討事項として残っていますが、畜産動物の福祉の担保については農水省ラインの畜産関連部局にやってもらうべきだと考える自治体も多いようです。
しかし、実験動物については押し付けられる部局はどこにも存在しないため、そういう声は聞きません。たらい回しにする意見は出てきようがないというのが正確なところでしょう。自分たちがやるしかないと、ようやく、気がついたでしょうか?
ちなみに、文科省がやると勘違いしている自治体もありますが、文科省はあくまで実験手順の審査手続きの周辺を所管しているだけで、動物の飼養保管については動物愛護法だとして関与は長年拒絶してきています。(施設の登録制が云々言うと、文科省が出てきて指針の話をするので多くの人がミスリードされていますが、文科省は動物福祉、特に飼養保管管理についてはタッチしないというスタンスを貫いています)
そして環境省は、知る限りでは一度も不適切事例で現場に出向くなどしたことはありません。手足がないのが環境省です。
実験動物の福祉の担保のための施設監視は、いったい日本ではどこが担っているのでしょうか。こんな国が先進国だというのは、認識が間違っているでしょう。
東京都のハルスプランについては、昨年10月~12月にかけて3回の小委員会での検討があり、中間報告が出ています。
この中では、下記のように書き込まれました。委員からも実験動物について意見があったそうです。
産業動物及び実験動物については、「5つの自由※1」や「3Rの原則※2」等の動物福祉に配慮した適正な取扱いと利用の観点から、管理者等による自主管理が適正に行われることが重要である。
このため、引き続き、都が所管する畜舎等の監視指導体制を確保するとともに、区市保健所等とも連携して事業者への指導等を実施していく必要がある。また、研究機関等に対する実験動物の適切な取扱いに係る普及啓発についても検討する必要がある。
今後、動物愛護法改正やその後の国の基準の整備等の様子を見て、再度検討を行い、最終的にハルスプランを改定する予定とのことです。
ペット関連業は、基準が厳しくなれば、不適切業者がそもそも営業できなくなり、登録施設数や苦情、監視回数が減るはずです。そのリソースを他の産業利用する動物の福祉の担保に回すことも、考えていくべきでしょう。
意見送付先
東京都福祉保健局健康安全部
環境保健衛生課 動物管理担当
〒163-8001 東京都新宿区西新宿2丁目8番1号
Mail:S0000292<at>section.metro.tokyo.jp ※<at>を@に変えてください
FAX:03-5388-1426