中国・実験用カニクイザル密輸事件:日本の農林水産省指定の繁殖施設も有罪となり、繁殖・販売許可が取り消されていた

以前、中国で大型のカニクイザル密輸事件が摘発され、サルたちが最終的に運ばれるはずだった先が、日本とも取引のある(はずの)動物実験用霊長類繁殖施設であったことをご紹介しました。

関連記事

▲中国の報道の動画中国でカニクイザル2735匹のベトナムからの密輸の摘発がありました。これまでで最大規模だそうです。主犯が捕まり、サルたちの行き先は広西梧州市の動物実験用にカニクイザルを繁殖する会社だったことが明らかになりま[…]

関連記事

中国では、昨年、動物実験用の繁殖施設へ向けてカニクイザル2735匹がベトナムから密輸されていたと報じられ、PEACEのブログでもこのことをご紹介しました。(こちら)この事件では主謀者の呼び名は「阿六」と報じられており、広西チワン族自[…]

その後、どうなったかを調べたところ、密輸ザルたちの行き先となっていた実験用霊長類繁殖会社「広西桂東霊長類開発実験有限公司」にも野生動物保護法違反(希少動物密輸罪)で有罪判決がくだっていました。また、それにより、国家重点保護野生動物の繁殖と販売の許可が取り消されていました。

この会社は、日本の農林水産省が日本にサルを輸入することのできる検疫施設として指定する施設であり、日本との取引があったからこそ指定が行われていたはずです。

残念ながら、その後2022年8月に実験動物の生産・使用の許可申請が出され、10月に許可が出たことが告知されてしまっているので現在は営業できているのだと思われますが、日本に実験動物を供給することのできる会社が野生動物の違法取引で有罪となっていたことは驚きました。

このようなことをした会社でも、実験用カニクイザルの値段が上昇していることを書いたいくつかの最近の記事で名前が出てきますから、腹立たしいものです。

当時の、広西チワン族自治区林業局のサイトでの通知の内容(和訳)は以下の通りです。ちなみに、中国で摘発された実験用霊長類繁殖施設は、ここだけではありません。(こちら


日本語訳

広西チワン族自治区林業局より、
広西桂東霊長類開発実験有限公司の国家重点保護野生動物の
人工繁殖と商業利用許可の取消しに関する通知

2021年11月4日 15:00 広西チワン族自治区林業局

梧州林業局、広西桂東霊長類開発実験有限公司: 2019年6月14日、防城税関密輸取締分局による捜査の結果、広西桂東霊長類開発実験有限公司(以下、桂東公司)は、希少動物であるカニクイザルを密輸した疑いにより、事件は防城港市人民検察院に送致された。防城港市人民検察院は、桂東公司などを希少動物密輸罪で、防検刑訴[2020年]第12号起訴状により、2020年1月22日に防城港市中級人民法院に起訴した。2020年10月30日、防城港中級人民法院は刑事判決(2020年)桂06刑初14号を通達し、桂東公司を希少動物密輸罪で有罪とし、200万元の罰金刑とした(罰金は判決発効後1か月以内に納付しなければならず、期限内に納付がない場合は強制納付となる)。2021年1月27日、広西チワン族自治区高級人民法院は刑事判決(2020年)桂刑終452号を通達し、「控訴を棄却し、原判決を維持する。これを最終判決とする。」との判決を下した。

「中華人民共和国野生動物保護法」第48条、「本法第27条第1項および第2項、第28条第1項、および第33条第1項の規定に違反し、許可を得ず、或いは許可標識を未取得または不使用、また人工繁育許可証、承認文書の写し、または許可標識を所有、付帯することなく、国家保護野生動物や本法第28条第2項規定の野生動物とその製品を、販売、購入、使用、輸送、携行、配達した場合、県クラス以上の人民政府野生動物保護管理部門または市場監督管理部門は、職責により分担し、野生動物およびその製品、不法収益を没収し、野生動物およびその製品の価値の2倍以上10倍以下の罰金を科すものとする。重大な場合は、人工繁育許可証と承認書を取り消し、許可標識を回収するものとする。犯罪が成立した場合は、法律に基づいて刑事責任を追及する」。この規定に基づき、桂東公司の国家保護野生動物の人工繁殖、商業利用資格は剥奪され、桂林弁審字[2018]2号および桂林函[2018]949号は廃止とする。

梧州市林業局は、桂東公司が国家保護野生動物の人工繁殖と商業利用を違法に行うことがないよう監督管理を強化し、桂東公司による国家保護野生動物の人工繁殖と商業利用が判明した場合には、法律に基づき厳重に処分しなければならない。

以上ここに通知する。

原文
广西壮族自治区林业局「广西壮族自治区林业局关于撤销广西桂东灵长类开发实验有限公司人工繁育和经营利用国家重点保护野生动物资质的通知」
(http://lyj.gxzf.gov.cn/zfxxgkzl/fdzdgknr/zdjsxmpzhsslygk/t10706023.shtml, 最終アクセス日:2023年12月19日)

関連ページ

関連記事

実験用の霊長類は、感染症法のもと衛生条件が定められている特定の国からしか輸入できませんが、条件はそれだけではなく、30日以上の係留による検査を行う施設を農林水産省が指定しており、それらの施設以外からは輸入できません。そうした指定施設[…]


関連記事

▲中国の報道の動画中国でカニクイザル2735匹のベトナムからの密輸の摘発がありました。これまでで最大規模だそうです。主犯が捕まり、サルたちの行き先は広西梧州市の動物実験用にカニクイザルを繁殖する会社だったことが明らかになりま[…]

関連記事

中国では、昨年、動物実験用の繁殖施設へ向けてカニクイザル2735匹がベトナムから密輸されていたと報じられ、PEACEのブログでもこのことをご紹介しました。(こちら)この事件では主謀者の呼び名は「阿六」と報じられており、広西チワン族自[…]

関連記事

「中国、研究用サルの違法取引の危険性に目覚める」と題する記事SIX TONEというサイトに、「中国、研究用サルの違法取引の危険性に目覚める」と題した長い記事が発表されています。中国の製薬業界における実験動物の需要急増により、野生捕獲され[…]

中国・広西チワン族自治区へのカニクイザルの密輸

関連記事

動物実験に使われるサルたちについての記事一覧です。目次実験用ニホンザルを繁殖する国家事業[sitecard subtitle=関連記事 url=https://animals-peace.net/experiments/[…]

ニホンザル親子
アクションをお願いします

署名にご協力ください日本が最大の消費国 ジャコウネココーヒー「コピ・ルアク」の取り扱い中止を求めるアクション[sitecard subtitle=関連記事 url=https://animals-peace.net/action[…]

活動分野別コンテンツ

活動報告ブログ

最新情報をチェックしよう!
NO IMAGE

動物の搾取のない世界を目指して

PEACEの活動は、皆さまからのご寄付・年会費に支えられています。
安定した活動を継続するために、活動の趣旨にご賛同くださる皆さまからのご支援をお待ちしております。

CTR IMG