水族館計画補足:韓国は2018年に残酷な方法で捕獲されたCITES対象種の輸入を禁止済み

先日、韓国の「第一次水族館管理総合計画(2021~2025)」についてご紹介しました。

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この計画が公表された際に、韓国のメディアである「朝鮮日報」が、「鯨類の輸入禁止、韓国では今後イルカショーの観覧も困難に」と報道していたのですが、韓国は2018年にすでに太地からのイルカの輸入禁止について決定していたはずなので、韓国のイルカ保護団体「ホットピンクドルフィンズ」に問い合わせ、事実関係を教えていただきました。

結論から言うと、すでに2018年にイルカの実質的な輸入禁止措置もとられており、新しくイルカを展示する水族館をつくることはできなかった。今回の計画は、その状態を追認しただけであるという内容でした。

ますます「すごいな」という印象を持ちました。

ホットピンクドルフィンズからの回答は概ね以下のとおりです。

韓国の輸入禁止措置に関する説明

イルカは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(CITES)の対象になっており、付属書IIに掲載されています。韓国で CITES対象種の輸入許可書を発給する機関は環境府です。環境府は「野生生物保護及び管理に関する法律」に従いCITES対象種の輸出・輸入管理業務を行っています。

なので、我々ホットピンクドルフィンズが、日本の太地町で捕獲されたイルカを韓国内の水族館に輸入することを禁止させるために努力をしたことは、「野生生物保護及び管理に関する法律」を改正することでした。

我々の努力で、2018年3月にまさに「野生生物保護及び管理に関する法律」が改正され、海外で「残忍であったり、非人道的な方法で捕獲された生物は、国内輸入を不許可とする」条項が新しくできました。

そして、その条項に従い2018年3月から、環境府は日本の太地で捕獲されたイルカは、国内への輸入許可をしていません。

この改正は極めて大きい事件でした。

既に水族館業者たちもこの法改正を知っていて、2018年以降にはイルカの輸入申請自体を環境府にしていません。

このことは、貿易統計からもはっきりしており、2017年7月に2頭、12月に1頭が輸出されて以来、日本から韓国への「くじら目、海牛目及び鰭脚下目」の輸出はありません。

以下は、朝鮮日報の日本語記事で、すでに動物園・水族館法改正があったように書かれていたことなどもあり、細かく聞いたことに対する回答です。重複する部分もありますが、掲載します。

1.今年、動物園・水族館法は既に改正されましたか。それとも、今は第一次水族館管理総合計画が公表された段階で、法改正はこれからでしょうか。

今回、海洋水産府が「新規イルカ水族館禁止」および「鯨類輸入禁止」等を行うと、水族館管理計画を通じて発表したことは、既に2018年に関連法律が改正されていたから可能な措置でした。

我々ホットピンクドルフィンズが見るに、「新規イルカ水族館禁止」及び「クジラ類輸入禁止」は既に2018年3月に到達した事案なので、再び海洋水産府が関連内容を発表したことに関しては、我々の声明書では言及していません。

我々は海洋水産府の水族館管理計の中で、意味がある部分について指摘しました。また、不足している部分も指摘しました。

既に、我々の運動の成果によって2018年3月にイルカの新規輸入が禁止されたのですが、まるで今回の海洋水産府の発表でそうなったかのように一部メディアや、海外に知らされたことは、事実とは若干の差異があると言えます。

これとは別に 海洋水産府が、動物園・水族館法を今年末までに改正しようとしています。なので、我々はもっとたくさんの禁止内容を 動物園・水族館法を通して盛り込もうとしていますが、政府は業者たちを気にしながら、中間で適当に綱渡りをしようとしています。

2.今年、鯨類の海外からの輸入が禁止された(もしくはこれからされる?)のでしょうか。それとも、水族館が新たに鯨類を入手することが禁止になった(もしくはこれからされる?)のでしょうか。

朝鮮日報の内容は見ないほうがよいです。精神に悪いです。参考にする程度でいいです。

すでにイルカの海外からの輸入は2018年3月に禁止されており、韓国内の海でイルカを捕獲して水族館に供給することも、我々ホットピンクドルフィンズのキャンペーンの結果として2012年からできなくなっているので、自然な成り行きとして新しいイルカ水族館をつくることもできず、つくろうとする業者もいません。

また、海洋水産府でも、この度の水族館管理計画を発表する前に、もしもある業者が新しいイルカ水族館をつくろうと申請をしたとしても、受理しなかったでしょう。なぜなら、申請を許可した場合に市民社会から大きな反発があることを 海洋水産府も分かっているため、当然、許可をしなかったと思われます。

整理してみると、環境府によってイルカ輸入が2018年3月に禁止されながら、これと同時に海洋水産府も2018年3月以降からは新しいイルカ水族館設立を許可しないという内部方針を打ち出し、実際に申請をした業者もなかったため、事実上不可の段階にありました。この度、2021年に初めて水族館管理計画というものを発表して、公式に新規イルカ水族館事業を禁止すると発表したにすぎません。

なので、 海洋水産府の公式発表は、我々が見るには、既に2018年から実効的に不可能な状態だったので、特に大きな意味があったわけではないのです。

 3.2018年2月に、日本の太地からの鯨類の輸入を禁止する予定とホットピンクドルフィンズのニュースにあったのですが、これは予定通り2018年3月から実現しているでしょうか。

2018年2月に我々が環境府と国務総理室担当者、そして野生生物保護及び管理に関する法律改正委員会に出席して、日本のイルカ輸入を禁止しなければならない理由に関して説得力をもって説明し、この弁論が受け入れられ、2018年3月から法が改正され、日本のイルカ輸入が禁止れました。

2018年2月にイルカ輸入が禁止されたことを我々が知り、そして広く知らせました。実現は3月でした。

〔注:PEACEは、この2018年2月の段階の情報をブログでご紹介していました。〕

 4.韓国は、日本以外も含めたすべての国から、鯨類の輸入は禁止になっているのでしょうか。そうだとしたら、いつからでしょうか?

2018年3月に「野生生物保護及び管理に関する法律」を改正したのですが、この改正案によると、非人道的や残忍な方法で捕獲されたイルカ、クジラ等、動物は国内への輸入が不可になります。

この条項に従ってロシアのベルーガをはじめとして、全てのクジラ類を国内輸入することが「実質的に」禁止されました。

もしも(実現の可能性はないですが)、万が一頭のおかしいイルカ水族館業者が、海外どこかの国から人道的な方法で捕獲された、イルカやクジラを輸入しようと申請することは理論的には可能です。

しかし、国内の雰囲気、そして市民の反応、そして我々市民団体の緻密な反対運動等々…様々な理由のために、政府はこの申請を不可とすることは99%確実です。

よって、現在、法、条項を見ると「全ての国から、全てのクジラ類に対して、韓国への輸入が禁止された」という条項はないですが、実質的にはそのように解釈することができます。2018年3月から、そうなったと解釈できます。

よって、2018年3月の法改正が我々にとって、大きな勝利だったということと、このような理由で我々は2018年2月に「イルカ輸入を阻止した」と歓喜し、広く広めたのです。

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