野毛山動物園のふれあいコーナー

野毛山動物園

2014年2月17日 up

動物とのふれあいコーナーの問題点について探るシリーズの第2回は、野毛山動物園です。ふれあいの動物が生餌にされていること、間引かれていること等についてこれまでもとりあげてきましたが、横浜市との話し合いの場において、「ヒヨコは頭を地面に叩きつけて殺している」といった事実も出てきました。

※その後の変更点はこちらをご覧ください。(2014年末)


昨年(2013年)、会員活動コーナーに、野毛山動物園訪問記として「『園内リサイクル』に衝撃」の記事を掲載しました。詳細はご覧いただければと思いますが、ふれあいのマウスやモルモットがヘビや猛禽の生餌にされていることに衝撃を受けたという内容です。

また、その後、横浜市の統計を見たところ、繁殖したオスとメスの数が非常にアンバランスとなっており、オスの間引きが行われていることも明らかになりました。殺した数が統計に反映されていなかったため、改善を要望し、統計については来年度以降改善されることになりました。

 しかし、その後一般の方からPEACE宛にご連絡をいただいてわかったことなのですが、何と、これまでも神奈川新聞紙上で改善を求める市民の声が取り上げられ、動物園側のやりとりが続いてきたとのことでした。市のホームページで市民の声として公表されたこともありました。(今は掲載されていないようです)

※投書タイトル

  • 小さな命の一生を幸せに
  •  

  • 動物園は愛護教育の指導を
  •  

  • 愛護精神での飼育を望む

※横浜市のウェブサイト 市民の声
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横浜市と動物園に要望

 しかし、これらの経緯があったにもかかわらず改善がなされていないということで、今年(2014年)1月14日、これまで働きかけをされてきた方が市に申し入れをする場に立ち会わせていただくことになりました。相手は、横浜市環境創造局公園緑地部動物園課と野毛山動物園です。

 PEACEとしても、以下の要望をしました。

  • 入場者の数が多すぎ、ほとんど監視の目が行き届いていない状態になっているので、まず、入場者数を制限してください。配置されている人員で目の届く範囲にしてください。
  • 係員が、奥に入ってしまったりして、表にあまりいない状態でした。ふれあいをやっている間は常時、一定数の人員を外に配置するようにしてください。また、係員が動物を手渡して、1対1で指導する形としてください。
  • 動物に負担のかかる持ち方をする、急につかんでびっくりさせる、動物を持ちながらダンスなど激しい動きをする、大声で騒ぐ、足元を動物が歩いているのに気が付いていない等、不適切な状況に対して、きちんと注意をするようにしてください。
  • 水・エサに動物が常にアクセスできるようにしてください。
  • モルモットの金網の使用はやめてください。
  • 「ふれあい」の名のもとに、殺処分が常態化していることが理解できません。特に、ヒヨコが全て殺処分されていること、マウスとモルモットの繁殖においてオスを殺処分していることについては、市民の理解は得られないと思います。動物愛護法にも、終生飼養の努力義務規定が加わり、動物園であってもそれを逃れるものではないと考えますので、ぜひ他の動物同様、終生飼養を基本としてください。そのために繁殖数を減らす必要があると思います。(当会は、回復不能な病気などによる安楽死を否定するものではありません)
  • 小さい動物や生まれたての動物は、ふれあいに使うには特に不適切と考えます。
  • また、以上のことに対応不可能な場合は、ふれあいコーナーをやめることが最も適切と考えます。

話し合いでわかったこと~ヒヨコは頭を地面にたたきつける!?

 まず、電話でも聞いていたことではありますが、「園内リサイクル」の言葉は園としては使っていないとのことでした。しかし、実際に園に行ったときには飼育係がそういう言い方をしていると繰り返し言っていたので、隠語のように使われていることは間違いないのではないか?と思っています。市としては、もし仮にそうであっても、そのような表現は不適切だとはっきり言っていました。

 そして、ヒヨコはバケツなどに入れて炭酸ガス(二酸化炭素)で殺すと聞いていましたが、この話し合いの時に出てきた話では、頭部打撲もあるとのことでした。「頭部打撲とは?」と詳しく聞いたところ、なんと足側を手で持って頭を地面にたたきつけるとのことです。

 速やかな方法だとのことですが、子どもたちに「かわいいね」「あったかいね」と触らせておいて、実際には地面にたたきつけているというのは、多くの人にとって衝撃ではないでしょうか。

 一体、ふれあいが教えたいことは何なのだろう?と思わざるを得ません。 

 また、園に行ったときには、ふれあいコーナーの飼育係自らがマウスの頸椎脱臼をすることもあると言っていたのですが、生餌ではなく殺してから他の動物に与える場合、与えられる側の動物の飼育係(猛禽なら猛禽の飼育係)が殺処分を行うとのことでした。ふれあいコーナーの中にアオダイショウが飼育されており、マウスが生餌で与えられていますので、ふれあいコーナーの担当者も間引き・殺処分に関わっていることは間違いないですが、これも少し言っていることが違っているように感じました。

 ちなみに、モルモットは、1週間に数頭、コンドルなどの猛禽やニシキヘビのエサになっているとのことです。マウスは、ヘビや小型の猛禽類に与えられ、ヒヨコは小型の肉食動物のエサです。モルモットやマウスのメスは終生飼育をしているとのことでしたが、病気になったりすればエサにすると現場で飼育係は言っており、割と即エサになる印象を持っていたので、どの程度でエサに回っているのかが気になるところです。

 これについては、実はカルテを情報開示請求し、現在集計などを行っています。ざっと見たところでは、ニワトリとモルモットは治療の記録が比較的ありますが、マウスはほとんどありません。マウスで記録があるのは、全頭に駆虫薬を投与したとか、マイコプラズマでバタバタと死んでおり結局全頭殺処分したとかの記録だけです。

 きっとマウスも、モルモットなどと同じようにちょっとケガをしたりということがあるはずですが、そういったケースの治療の記録はありません。集計・分析結果については、追って公開したいと考えています。

 話し合いの当日は、飼育係が終生飼育というのは聞いたことがないと言っているところの録音も出され、皆で聞きましたので、実態が園の説明と違っていたのは事実だったのではないかと思います。

 ふれあいコーナーの職員の数については、以前の回答で9名とのことでしたが、シフトも考慮すると常時出ているのは5名程度。奥にいる人員もいるので、外のふれあいには3名程度しか出ていないことになるとのことでした。これでは来園者に対して圧倒的に少なすぎますので、ほとんど係の人が見えなかったことと一致すると思います。

 また、以前電話の際には、「ヒヨコはあくまでふれあいのために購入しており、結果としてエサにしている形」と聞いていましたが、この日の話し合いの中では、「エサとして購入しているが、与える前に成長させる必要があり、その間にふれあいに出している」という話に変わっていました。

 一体どちらが正しいのでしょうか? 単に「一石二鳥」なのだろうとは思いますが、いずれにしても「ふれあい」の趣旨と矛盾があることについては否定できないと思います。

市からの回答

 上記の要望事項については、すでに横浜市より回答をいただいており、以下の通りとなっています。

横浜市動物園課回答
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 正直なところ、1番以外は全くがっかりです。動物を飼育していて、その程度の意識でいいのか?と思わざるを得ません。1番については、対応を検討中とのことなので、今後には期待をしたいと思いますが、コーナーを有料にしてかなり人数を絞るなどの対応をしないと改善は難しいのではないかと思います。

 シリーズ第1回目に書き忘れましたが、井の頭自然文化園と同じ協会が管理する上野動物園は、無料開園日にウサギを触らせることをしていませんでした。その理由を動物のためだと勘違いをしていたのですが、東京動物園協会に確認したところ、何と、来場者が多いのでクレームが多く飼育係が困ってしまうので、タッチングを中止しているのだそうです。つまり、「あっちの子は触れているのに、うちの子が触れないなんて!」というクレームです。列のどこまでで区切ったらよいかでも悩むと言っていました。動物のストレスがふえることに配慮したのではないという現実に、驚きを禁じえませんでした。(ちなみに、上野は普段からタッチングは1時間限定です)

 おそらくこれが動物園の抱える現実なのだとは思いますが、本当に子どもたちに動物に優しい子になってほしいなら、動物をオモチャのように扱う場を「おかしい」と感じさせる教育が必要なのではないでしょうか。

 しかも、実際には不要な動物の間引き・殺処分を伴っているのです。「命に優しい」などといった教育ができるとは思えません。

 野毛山動物園は、市の直接の運営ではなく指定管理者制度に移行しており、その後に入場数がとてもふえたとのことです。指定管理者制度に移行して宣伝がしやすくなったことと、不景気が続く中、無料スポットであることで人気が出ているのではないかと感じますが、来場者数に合わせて動物の繁殖をふやせば、間引きするオスの数もふやさざるを得なくなります。どこかで悪循環を断ってほしいものです。

 ちなみに、野毛山動物園は、無料であるがゆえに動物取扱業の登録を逃れてきた動物園です。ですから、立入などもされてきていません。届出制ができたときに届出をしようと考えていたところ、動物愛護の部署の側から不要と言ってきたという背景があるとのことですが、この規模の動物園で第一種動物取扱業ではないというのは大変疑問です。 ※追記:2019年に第一種での登録がなされました。詳細はこちら

 そもそもズーラシアができるときに廃園が決まっていた動物園ですし、市が3つも動物園を持っていること自体がもっと批判を受けてもいいのではないかとも思います。

 ふれあい広場に「かわいいね」だけではない残酷な一面があることを、広く知ってほしいと思います。

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