PEACE活動報告ブログ

家畜改良センターの動物実験指針改定に対し、意見書を送付

今年、「農林水産省の所管する研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」の運用について農林水産省農林水産技術会議事務局に質問書を送ったところ、独立行政法人家畜改良センターについても指針を遵守していることを確認済みとの回答でした。

しかし、同センターの動物実験指針の内容を確認したところ、誤りや記述が古いままの部分が多く、環境省の指針の改正や学術会議の動向なども、全くフォローされていないことが一目瞭然でした。

また内容も非常に簡素で、動物実験の3Rが適正に担保されてきたとは到底考えられないものでした。2012年の動愛法改正の影響もまったく受けていないことがうかがえます。

同センターでは現在この指針を見直し中とのことで、農水省系列の研究機関も動愛法改正前に対応を進めようとしていることを感じます。

しかし、問題が10年以上続いてきたことは明らかにしておかなければいけませんから、当会として、下記の意見書を送付しました。

家畜改良センターは、承認された動物実験計画の課題名を全て公開しており、ある意味では進んでいるのですが、それ以外の情報公開もまったくありません。


2016年9月16日

独立行政法人家畜改良センター
理事長 佐藤 英明 様

PEACE~命の搾取ではなく尊厳を
東さちこ

「独立行政法人家畜改良センター動物実験指針」の
見直しに関する意見書

 私どもは、実験動物等の取扱いに対し関心を寄せつつ活動しております、動物保護団体のPEACEと申します。「独立行政法人家畜改良センター動物実験指針」(以下、動物実験指針)を拝見したところ、記述が古く誤りがあり、訂正を求めたくご連絡いたしました。また同時に、内容についても時代に合致したものに改めていただきたいと存じます。

動物実験指針の最終改正が平成27年であるにもかかわらず、誤り等が長年放置されてきていること一点をとっても、貴センターの動物実験のあり方が旧態依然であることを感じます。

「農林水産省の所管する研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(以下、農林水産省の動物実験基本指針)には、研究機関等の長の責務が定められており、「研究機関等の長は、研究機関等における動物実験等の実施に関する最終的な責任を有し、動物実験委員会の設置、2に規定する機関内規程の策定その他動物実験等の適正な実施のために必要な措置を講ずるものとする」とされています。

最終的な責任を負う理事長の権限において、以下の点を含めた抜本的見直しを図っていただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

【1】動物実験指針の誤り等について修正してください

「独立行政法人家畜改良センター動物実験指針」の前文の中に、以下の誤りや古いままの記述があります。早急な改定を要望いたします。

  1. 「動物の処分方法に関する指針」が挙げられていますが、現在この指針の名称は「動物の殺処分方法に関する指針」と改正されています。
  2. 日本学術会議の「動物実験ガイドラインの策定について(勧告)」(昭和55年)が挙げられていますが、これは国に対して動物実験ガイドラインを策定するよう勧告する内容であり、当時は実現しませんでした。この勧告の中に書かれている「実験動物取扱い指針」は草案であり、ガイドラインとして成立していないため、存在しません。

    現在どの文書が生きているのかについての当会の問い合わせに対し、日本学術会議は「平成18年(2006年)6月1日に日本学術会議が公表した『動物実験の適正な実施に向けたガイドライン』が唯一のもの」と回答しています。これは、各研究機関が動物実験等に関する規定等を整備するに際してモデルとなる共通ガイドラインを日本学術会議が作成したものです。挙げるとすれば、こちらのほうが適切であり、長年誤ったものが参照されていたことは問題だと思います。

  3. 学術審議会の「大学等における動物実験の実施に関する基本的な考え方について(報告)」(昭和62年)が挙げられていますが、この報告は昭和62年に文部省学術国際局長通知として出された「大学等における動物実験について」に別添されていたものです。現在、この通知自体が廃止となっていますので、この報告についても効力を失っているものと考えられます。
    現在は、文部科学省・厚生労働省・農林水産省が動物実験基本指針をそれぞれ策定していますので、家畜改良センターであれば農林水産省の動物実験基本指針を参照すべきかと思います。早急なご対応をお願いいたします。

【2】動物実験指針の全面改定をしてください

【1】にも書きました通り、現在は各研究機関が定める規定のモデルとして日本学術会議が「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」を策定しています。その内容と比較して、「独立行政法人家畜改良センター動物実験指針」の内容は非常に簡素です。

農林水産省の動物実験基本指針が定める教育訓練や情報公開、点検・評価・検証についての規定もありません。

また、そもそも「動物の愛護及び管理に関する法律」に定められた動物実験の3R(代替、数の削減、苦痛の軽減)をいかに実現するかを目的とするという考え方そのものが盛り込まれていません。同法に動物実験の3Rの原則が盛り込まれてから既に10年の月日が過ぎていますが、今日に至るまでこれらの考え方が機関内規程に採用されていないということに重大な懸念を感じます。

指針を改めると同時に、何のための動物実験計画書の審査なのかを含め、代替、数の削減、苦痛の軽減のそれぞれについて、十分に機関内に周知していただきたく存じます。

また、動物実験指針に違反した者(例えば動物実験計画書の承認を得ずに動物実験を行った者)に対する処分規定についても、明文化してください。

【3】動物実験指針に定められた細目が策定されていないことに対し抗議いたします

動物実験指針第10条に「この指針に定めるもののほか、動物実験の取扱いに関し必要な細目については、理事長が別に定める」とありますが、確認したところ、現在においても細目は存在しないと伺いました。動物実験指針自体が非常に簡素なのは、別途細目を定めるつもりであったためと推察されますが、「定める」とされているものが定められていないことは重大な怠慢です。このことに対し、抗議いたします。

 
以上勘案の上、時代に合致した動物実験の管理体制を構築していただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。


■参考:現行の指針

要望した当時の指針の内容は以下の通りでした。

追記:改正された内容については、こちらでご報告しました。

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