PEACE活動報告ブログ

イルカの生体捕獲についてWAZA・JAZAとの話し合い

すでに今年の猟期が始まってから1か月以上が経ってしまい、ご報告が大変遅くなっており申し訳ありません。

追い込み猟からのイルカの生体の購入について世界動物園水族館協会(WAZA)および日本動物園水族館協会(JAZA)と話し合いを持った件について、エルザ自然保護の会のウェブサイトに詳細が掲載されました。ぜひご覧ください。

また、この話し合いの後、JAZAの会長である鴨川シーワールドの荒井館長とも意見交換の場を持つことが叶い、そのことについては、「海・イルカ・人」のFacebookページに報告が掲載されています。

●WAZAを交えた話し合い

WAZAとの話し合いについては、WAZAがイルカを食用に殺すことのみを残酷ととらえていて、追い込んで捕獲すること自体は問題ない(ストレスはゼロとは言えないだろうがとは言っていましたが)と考えていることがわかり、大きな認識の違いがあったことを感じました。野生からの動物の捕獲、それも特にショーに用いるための捕獲について、もう少し議論を深めたかったですが、時間も限られていたのは残念でした。

また、話し合いの当日にWAZAはすぐリリースを出していますが、当日はWAZAとJAZAだけの話し合いの場が事前に持たれており、NGOとの話し合いの場では出ていなかった話が書かれていたのは大変驚きました。イルカの生体売買については、JAZA加盟館以外の水族館やディーラー、海外輸出について問題が大きいという話も、確かにWAZAは話には出していましたが、NGO側はそれに対してうなづいて否定はしなかっただけで特に何かを話し合ったわけではありません。三者で合意がとれているのは、お互いに現在のイルカ猟に懸念を持っており、今後も対話を続けることなどだけです。

また会合の時点で、今年の猟期からどうするかについてJAZAとWAZAでも合意はとれていないと言っており、リリースに書かれている、WAZAがJAZAに対して2年間のモラトリアムを求めている話も、会合の場では全く議題にのぼりませんでした。WAZAが納得できない点があるのであれば、このことはJAZAに対して継続して強く求めてほしいと感じています。

いろいろ驚いたことがあった会合でしたが、実際に合って話すことで理解が進んだ面もあり、大変画期的な場だったと受け止めています。

●日本サイドでの対話

その後、9月の猟期が始まる直前にJAZAの会長と話し合う場を持つことができ、これまでの経緯などについて詳しく話を伺うことができました。その際、最も驚いたことは、JAZAとWAZAの間でもこれまであまりコミュニケーションがとれていなかったことでした。これは国内のイルカ問題に口を出される拒絶感も原因だったようですが、WAZAとJAZA(と名古屋港水族館)の間で合意されていたはずのイルカ捕獲に関する協定事項についても、両者の間で内容の理解に食い違いがあったことは特に驚きました。

実はWAZAだけではなく私たちも、協定の英文を読んで、JAZA加盟館がイルカを購入できるのは水族館の購入分以外の残りが殺されずにリリースされる9月中に捕獲されたもののみという内容なのかと思っており、実態がそれに違反していると思っていましたが、実際にはJAZA側にはそのつもりはなく、9月は協定の通りだが、10月以降は協定外であり、JAZA加盟館の生体の購入もあるし食用のと殺もあるという認識だったそうです。このことは一番驚きました。やはりコミュニケーションの大切さを感じます。(注:WAZAの倫理綱領は、これとはまた別の文書です)

今期の猟について改善されるのは、JAZA加盟館向けに生体捕獲されるバンドウイルカでは100匹、200匹といった大きな群れでの捕獲は行わず、小さな群れで捕獲する(数を決めたわけではないが、20~30匹くらい?)、そして湾の生簀に入れずに速やかに畜養場所に移す、という点だそうです。群れが大きいと、パニックになったイルカたちがぶつかり合い、血も流れ、混乱状況になるので、とりあえずそれは避け、「やさしく」捕獲するように改善するとのことでした。

しかし、これを監視するのは太地町立くじらの博物館とのことで、その点については疑問だということも話し合いました。また、バンドウイルカ以外のイルカについてはこれらの配慮をするのは太地側が無理とのことで、この点について、WAZAが納得していないとのことでした。

また、小さな群れになるのは10月からで、太地のために1カ月前倒しとなっている9月の間は大きな群れもありえるとのこと。ただし、9月中は、JAZA加盟館と太地町の公社および動物商2カ所は活動してよいが、JAZA非加盟館は購入できず、非加盟館は10月以降に参入できます。

また食用との切り分けについては、JAZA用の群れについては、残りは食用に供さずに海にリリースされますが、10月以降にJAZA非加盟館のみが生体捕獲に関わった群れは、残りは食用もありえますし、バンドウでも大きな群れがありえます。

※2014.11.5追記:上記の説明には、当日聞いた話のうち確実な部分を最小限書いたつもりでしたが、不確かな部分があったので再確認したところ、違っていた点があることが判明しましたので加筆修正しました。詳細はエルザ自然保護の会のレポートをご覧ください。

全体を通じて、捕獲されるイルカの数を減らすという話にはつながっておらず、従来と大きくは変わらないような気持ちになってしまいますが、それでも配慮がなされるようになるのは大きな一歩ですし、現地の反応も以前ほど拒絶的でないという話は希望を感じました。(イルカ猟の実態が食用から展示用の生体捕獲に大きくシフトしてきていることも理由ではないか?とは感じますが……)

ほか、JAZA加盟館だけでも毎年それなりの数のイルカの購入が必要になるのは、それだけ死んでいるからと考えてよいかという問いには、やはりそうだとのことで、繁殖についても日本のレベルが低いとの説明がありました。野生から捕獲できてしまうので努力していないのもあるかとは思いますが、やはり生後初期の死亡率が高く、それを回避するには、ケアと、それができる施設が必要だが、それができていないとのことです。繁殖をしてショーに使うことをいいと思っているわけではありませんが、アメリカでは繁殖個体の割合が70%、日本ではそれが20%と聞くと、やはり状況が全く違うと感じます。

最後になってしまいましたが、立場が違う中、意見交換に応じてくださいました荒井会長に感謝申し上げます。

鴨川シーワールド シャチのタンク
かつては日本一だったシャチのタンク。海がすぐそこに。

鴨川シーワールドセイウチ
鯨類以外も気になりました。

このエントリーをはてなブックマークに追加