世界中に輸出される日本のイルカ

このページは2014年に公開した記事です。その後の統計については、こちらの新しい記事をご覧ください。
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■日本からのイルカの輸出許可に関する調査

昨年(2013年)、6月にCITES(ワシントン条約)上のイルカの輸出許可について、経済産業省と水産庁に申し入れをし、その際、申請書類の情報公開請求の手続きをしました。その後、書類が開示されましたが、貿易統計の輸出実績と突き合わせたところ、開示漏れがあることがわかり、ほぼ半年かかって書類がそろいました。

結果としては、下記に挙げたサンプルを見ていただければわかる通り、ほとんどが墨塗りの状態です。公に許可を得て行われているはずの追い込み猟に関係する書類も、一切詳細が開示されていません。

また、国別の輸出実績と許可数は下記の通りです。(1年半分を開示請求したので、2013年分の許可数は半年分となっています)

注)
*1 2012年から貿易統計のコードが変わり、くじら目と同じコードに鰭脚下目も含まれるようになったため、実績の一部はイルカではない可能性があります。
*2 輸出許可は6カ月の有効期間があり、輸出が許可の翌年になる場合があります。
*3 許可を受けても実際には輸出されないことや、数が少ない場合もあります。

詳細はPDFをごらんください。

日本の野生イルカが、中国などのショービジネスを儲けさせているのが実態です。

2012
2013
輸出実績
(年間)
許可数
(年間)
輸出実績
(年間)
許可数
(半年分)
大韓民国
3
3
6
4
中華人民共和国
31
55
32
33
香港*1
5
0
0
0
台湾 *3
0
13
0
0
ベトナム*2
5
0
5
5
アメリカ合衆国*1*2
1
0
0
0
サウジアラビア
6
6
0
0
ロシア
0
8
15
0
ウクライナ
0
0
20
20
51
85
78
62

 日本からの輸出許可に関する書類一式

サンプルとして、昨年ウクライナへハンドウイルカ20匹が輸出された際のCITESの許可申請書類をご紹介します。一面真っ黒に塗りつぶされているのは、契約書等とのことです。

ちなみに、CITES附属書Ⅱの種については、許可証は次の条件が満たされた場合にのみ発給されます。

(a) 輸出国の科学当局が、標本の輸出が当該標本に係る種の存続を脅かすこととならないと助言したこと。
(b) 輸出国の管理当局が、標本の動植物の保護に関する自国の法令に違反して入手されたものでないと認めること。
(c) 生きている標本の場合には、輸出国の管理当局が、傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように準備され、かつ、輸送されると認めること。

つまり、日本からのイルカの輸出の場合、「科学当局」とは水産庁なので、水産庁が「種の存続を脅かさない」と判断してしまえば、輸出ができることになってしまいます。イルカ捕獲が与えるインパクトについては、環境保護団体は厳しい見方をしていますが、日本政府は楽観的なので、ここでストップをかけることは難しい現状があります。

また、自国の法令に違反して入手されたものでないという証明は、誓約書でした。捕獲証明書もありますが、国や自治体が出したものではなく、許可を受けて追い込み猟をしている組合によるものです(ただし、黒塗りです)。自分たちで誓約したり証明したりすればOKだというのも違和感があります。

また、動物福祉上の理由から許可が下りないようにできるのは準備と輸送ですが、輸送手段についても墨塗りで、事前にどのような内容が提出されているのか、一切知ることができません。

このような開示度では、CITES上の許可が適切なのかどうか国民が知ることは困難ですが、イルカの写真は公開されており、実際にイルカが海外に売却されていることが実感できると思います。

T-WA-13-000500(35P)_01

T-WA-13-000500(35P)_02

T-WA-13-000500(35P)_03
同様の墨塗りが5枚続く

※下記の書類については、ウクライナ側から公開された許可書類がここにアップされています。
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T-WA-13-000500(35P)_09

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T-WA-13-000500(35P)_19
同様の墨塗りが18枚続く

※注:クジラ目は、一部がCITES付属書Iで、それ以外はすべて付属書IIです。ですので、イルカ類もすべて付属書II以上になります。日本は、付属書Iのクジラのうち7種10種(→2021年10月修正)を留保しています。

参考記事

このページを公開したときのブログでのご報告です。

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